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『データセンタービジネス市場調査総覧 2024年版 市場編/ベンダー戦略編』まとまる(2024/3/12発表 第24024号)

データセンタービジネスの国内市場を調査 AI活用でGPUサーバーの需要増大など新たな動きがみられる

2028年国内市場予測(2022年比)
データセンターサービス 5兆954億円(52.3%増)
IaaS/PaaSはメガクラウドサービスを中心に伸びが続く。ホスティングは縮小
データセンター用GPUサーバー 725億円(16.1倍)
AI活用の進展にともない需要が急増。GPUサーバー向けハウジングサービスも利用拡大

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋 TEL:03-3241-3490 社長:田中 一志)は、生成AIの基盤となる高発熱なGPUを搭載するサーバーの採用増加に伴い、冷却能力の高いデータセンターの利用が広がるなど、新用途の拡充が注目されるデータセンターに関連する国内市場を調査した。その結果を「データセンタービジネス市場調査総覧 2024年版 市場編/ベンダー戦略編」にまとめた。
 「市場編」ではデータセンターサービス8品目、データセンター関連製品23品目の市場を調査・分析し、将来を予想した。「ベンダー戦略編」ではデータセンター事業者34社(SIer系事業者、キャリア系事業者、データセンター特化系(ファシリティ/サービス)事業者)」の動向を整理するとともに、Webによるユーザーアンケート調査を行った。

調査結果の概要
データセンターサービスの国内市場
 2023年見込2022年比2028年予測2022年比
IaaS/PaaS 1兆4,048億円 117.8% 2兆4,670億円 2.1倍
ハウジング 6,130億円 103.2% 6,560億円 110.4%
共同利用 3,972億円 100.3% 3,904億円 98.5%
ホスティング 2,795億円 98.4% 2,540億円 89.4%
通信回線サービス 1,785億円 108.2% 2,398億円 145.3%
その他 7,901億円 110.5% 1兆882億円 152.6%
合計 3兆6,631億円 109.5% 5兆954億円 152.3%
 市場は2023年から2028年にかけて年平均成長率6.8%で推移し、ITサービスの中でも高い伸びが期待される。ホスティングは縮小するが、IaaS/PaaSやSaaS/DaaS(その他に含まれる)などのクラウドサービスの伸びがけん引するとみられる。特に業務のDXを目的としたITシステムへの投資が進む中、その基盤としてクラウドサービスを利用するケースが増加している。また、AI活用の進展に伴い、GPUサーバー向けハウジングなどの伸びも期待される。
 IaaS/PaaSは、メガクラウドサービスを中心に伸びが続くとみられる。新規システム基盤としての需要だけでなく、既存システムに機能拡張性や柔軟性を持たせるためのクラウド環境への移行需要や、オンプレミスとのハイブリッド環境を再構築する需要が増えている。
 ハウジングはファシリティとインフラ運用の基本サービスは堅調である。安全にクラウドサービスを利用するため、クラウドサービスとの閉域接続を目的としたネットワークラックの設置需要が増加している。また、ISP事業者などが、Webコンテンツやクラウドサービスとの接続帯域量を増やすことを目的に、ネットワークラックを設置するケースも増えている。インフラ/ミドルウェア/アプリケーションまでの運用とファシリティを提供するアウトソーシングサービスは、クラウドサービスへの移行が進んでいるため、需要は減少している。
 共同利用は、主に金融業(銀行/証券など)や公共団体向けの特定のアプリケーション(勘定系システムなど)を提供するサービスである。勘定系システムの共同利用を行う銀行や信用金庫/信用組合向けは、各機関の統廃合により減少しているが、証券業界向けは新NISA関連サービスの拡充、AI活用へ向けた投資などにより、堅調な伸びが期待される。
 ホスティングは、クラウドサービスへの移行が進んでいることから、縮小が続くとみられる。ホスティングサービスを提供する事業者が、ユーザーにクラウドサービスへの移行を提案するケースも多い。ただし、共有型は個人やSOHOなどの根強い需要がみられる。
 通信回線サービスは、ハイパースケールデータセンターの開設増加に伴い、ユーザー拠点向けデータセンター接続サービスやデータセンター間接続サービスの利用が増加しているため、伸びが続いている。
 その他は、SaaS/DaaSが中心であり、法改正や顧客行動の変化、働き方の多様化などを受けて、柔軟性/可変性の高いサービスの需要が高まっており、今後も伸びが予想される。
データセンターの総床面積
 2023年見込2022年比2028年予測2022年比
関東268万9,550m2104.6%388万5,680m2151.1%
関西115万3,750m2107.0%151万920m2140.1%
その他51万1,200m2100.0%58万800m2113.6%
合計435万4,500m2104.7%597万7,400m2143.7%
 大手データセンター事業者やユーザー企業の多くが拠点を持つ関東地域が6割以上を占める。
 今後、新規で開設されるデータセンターの約8割がメガクラウドベンダーの利用を前提としたハイパースケールデータセンターとなるとみられ、その開設エリアとしては、千葉県印西市や東京都西部、川崎市、相模原市、埼玉県の一部を含む関東、大阪府、奈良県、京都府を主とした関西に集中している。
 一方で、その他地域でも新たなデータセンターの開発が今後進み、北海道では2024年以降に3件以上のデータセンターの新設計画があるほか、滋賀県や広島県、和歌山県などで開設されるとみられる。
注目市場
GPUサーバー
 2023年見込2022年比2028年予測2022年比
全体150億円2.5倍950億円15.8倍
 データセンター用113億円2.5倍725億円16.1倍
 GPUサーバーは、CPU(中央演算処理装置)に加え、GPU(画像処理半導体)を搭載したサーバー設備である。GPUは3Dグラフィック描写の計算処理などで利用されていたが、並列演算処理を得意とするため、AI分野や仮想通貨のマイニングでの活用が増えている。データセンター用は、データセンター事業者が自社のハウジングやホスティング、クラウドサービスを提供する際に利用するGPUサーバーを対象とする。
 AI技術の発展や生成AIの登場などを背景に、AIの活用が急速に進展していることから、需要は大幅に増えている。主要ユーザーは、AI関連ビジネスを行うIT企業やスタートアップ企業、大学などの教育機関、製造業の研究機関などである。2023年は特に生成AI関連の需要増で市場は大きく拡大するとみられるが、GPUの供給不足により、納期の遅延も発生した。今後も引き続きAI活用を目的とした引き合いは増加するため、市場拡大が続くと予想される。
 GPUサーバーは、発熱量が大きく排熱量に見合った冷却システムが必要である点や騒音値が高い点、冷却設備や電源設備なども含め消費電力が大きい点などから、データセンターに設置されるケースが多い。需要増加に伴い、データセンター事業者が専用フロアを設けるなど、設置環境を整備する動きもみられる。また、クラウドサービスベンダーが、GPUサーバーの利用を提供するサービスを進めており、その基盤として大規模な導入増加が期待される。
GPUサーバー向けハウジング
2023年見込2022年比2028年予測2022年比
7,900kW4.4倍184,800kW102.7倍
 市場はGPUサーバー向けハウジングの契約電力ベースで算出した。
 AI活用ニーズの拡大に伴いGPUサーバーの出荷台数は大幅に増加しており、GPUサーバーに搭載されるGPU やCPUなどの高機能化とともにサーバー1台あたりの消費電力が増えているため、契約電力量も大幅に拡大するとみられる。世界的な需要増加に伴いGPU調達が不安定であり、GPUサーバーの納期が長期化している点が懸念材料であるが、今後も生成AIに関連した研究開発のニーズは拡大するため、継続的な需要増加が期待される。
内容の詳細につきましては『市場編』『ベンダー戦略編』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3241-3473(窓口:富士経済グループ本社 広報部)

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