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『デジタルサイネージ市場総調査 2025』まとまる(2025/8/19発表 第25083号)
デジタルサイネージ市場の調査を実施
- ■2030年予測(2024年比)
- ■国内デジタルサイネージ市場 4,609億円(68.2%増)
デジタルマーケティング、DX化、オーバーツーリズム対策などをキーワードに導入増加
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(東京都中央区日本橋 社長 田中 一志 03-3241-3490)は、ディスプレイの大画面化や薄型軽量化、ネットワーク環境の整備や低コスト化によって他拠点への一括配信や管理、リアルタイムの情報更新、エリア・ロケーション・時間帯に応じたコンテンツの切り替えなどが可能となり活用の幅が広がったこと、また、交通広告やインストアメディアなどの広告媒体が増加したことが近年の拡大につながっているデジタルサイネージの国内市場を調査した。その結果を「デジタルサイネージ市場総調査 2025」にまとめた。
この調査では、デジタルサイネージ市場をシステム販売/構築市場、コンテンツ配信/運営サービス市場、広告ビジネス市場に分類し、市場規模をはじめターゲット分野や需要先の動向、先端技術、ニーズやトレンドなどを分析し、将来を予想した。また、デジタルサイネージの付加価値を高める周辺/関連のソリューションについても市場の方向性などを分析し、デジタルサイネージ市場と併せ、デジタルサイネージビジネスの全貌を把握した。
- ■調査結果の概要
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■国内デジタルサイネージ市場

2024年の市場は、前年比14.7%増の2,740億円となった。デジタルマーケティング用途やOMO(Online Merges with Offline:Web(EC)と実店舗の融合)の強化、広告効果の最大化などを目的とした導入に加え、作業負担軽減、業務効率化、無人化や省人化、オペレーション改善、輸送コスト削減といったDX化への対応を目的とした導入が市場拡大をけん引した。また、演出や販促の強化、顧客体験の向上、表示情報のリアルタイム化や精度向上など、施設の利用者や来店客の利便性向上を目的とした導入も増加している。さらに、2025年4月に開幕した「大阪・関西万博」関連の案件や関西圏を中心とした設備投資も多く、オーバーツーリズム対策としてデジタルサイネージを活用した接客業務などの負担軽減や、無人化や省人化を積極的に進めるユーザーも見られた。
システム販売/構築市場は、2024年に前年比18.0%増の1,409億円となった。「大阪・関西万博」関連の案件や、外食店のメニューボード採用や駅などでの空間ジャック広告の増加といった大型案件に加え、各分野で小口案件も多かったことが拡大要因である。
コンテンツ配信/運営サービス市場は、2024年に前年比8.7%増の451億円となった。クラウド型のコンテンツ配信/管理サービス(CMS)などが増えており、施設や店舗における職員や従業員の作業負担軽減、業務効率化、無人化や省人化などを目的とした導入が増加している。
広告ビジネス市場は、2024年に前年比12.8%増の880億円となった。新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって人流が減少したことで屋外媒体での配信需要低下、クライアントの業績悪化や広告宣伝費の削減もあり大きく縮小していたが、徐々に回復に向かい、2019年のピーク時(約830億円)を上回る規模となった。なお、2024年は駅構内やコンコースなどの駅メディアが特に好調であったことから、交通広告が占める割合が大きくなっている。 -
■周辺/関連ソリューション市場
デジタルサイネージ周辺/関連のソリューション15品目を対象とした。2024年 2023年比 2030年予測 2024年比 917億円 114.8% 2,047億円 2.2倍
2024年の市場は、デジタルサイネージの高度化ニーズに対応して堅調に拡大し、前年比14.8%増の917億円となった。最も規模が大きいのが建設/工事現場向けソリューションで、市場の20%強を占める。周辺住民に情報発信するために導入が必須となっており、一定規模の建設現場や工事現場には普及が進んでいることから、今後は微増が予想される。
2030年の市場は、2024年比2.2倍の2,047億円が予測される。このうち400億円超と、最も規模が大きくなるのは、デジタルサイネージアドネットワークである。デジタルサイネージに広告を一括配信可能なサービスである。交通機関関連の広告会社がこのサービスの提供に注力していることから、今後は高伸長が続くと予想される。
デジタルサイネージアドネットワークのほかに伸び率が高く、かつ100億円を超える規模になると予想されるのは、属性取得/動線分析ソリューション、人流解析ソリューション、混雑状況可視化ソリューション、多言語対応ソリューション、工場可視化ソリューションである。人の行動をカメラやセンサー、マイクで取得し、AIを用いて分析することでマーケティングや製造現場の効率化、また、インバウンドに対してデジタルサイネージで最適なコンテンツ表示を行うといった運用の高度化目的とした導入が増加している。
双方向型音声対話ソリューションやARソリューションは、付加価値機能の提供やアイキャッチ促進につながるソリューションであるが、導入必須性が低いため緩やかな伸びになるとみられる。
このほか、オフィスサイネージソリューションやバスロケーションソリューション、自治体向けソリューション、院内情報サービスは、特定分野に向けて展開され、インフォメーション発信用としてシステム販売を中心に広がると予想される。 - ■注目市場
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■データ分析ソリューション市場
周辺/関連ソリューションのうち、属性取得/動線分析ソリューション、人流解析ソリューション、混雑状況可視化ソリューション、効果測定ソリューションをデータ分析ソリューションとする。2024年の市場は、前年比18.5%増の243億円となった。2030年には2024年比3.1倍の764億円が予測される。2024年 2023年比 2030年予測 2024年比 243億円 118.5% 764億円 3.1倍
属性取得/動線分析ソリューションは、ディスプレイに内蔵もしくは接続されたカメラの映像から、施設の利用者や来店客の属性などを取得し、最適なコンテンツの表示、施設内や店舗内などの動線の分析を行うソリューションである。マーケティング用途や業務面のDX化を目的とした導入を中心に伸びている。また、増加するインバウンドに対するアプローチ方法の模索などを目的とする導入の増加も伸長要因となっている。
人流解析ソリューションは、通信キャリアの基地局、スマートフォンなどのデバイスにおける位置情報やアプリデータなどを基に人流データの取得や解析を行うソリューションである。主な導入目的は、店舗出店時の売上予測や店舗施策、競合分析、消費者の行動傾向などを得るためのマーケティング用途である。デジタルサイネージでの広告配信やデジタルサイネージベンダーへのデータ提供など、現状では一部にとどまっている。
一方で、広告媒体事業者やデジタルサイネージの導入を検討するロケーションオーナーなどは、施設の利用者や来店客に届くコンテンツや広告の配信を求めており、属性データなどと並んで人流データの取得や解析に高い関心を示しているケースが多いことから、今後はデジタルサイネージでの活用も増加していくとみられる。
混雑状況可視化ソリューションは、施設内や店舗内の混雑状況やトイレなどの利用状況をカメラやセンサーで取得し、連携しているデジタルサイネージに表示するソリューションである。施設の利用者や来店客の利便性向上を目的とした導入が増加しているほか、施設や店舗における職員や従業員の無人化や省人化を目的としたニーズも高まっていることから伸びている。
効果測定ソリューションは、デジタルサイネージ導入における効果を可視化するソリューションである。デジタルサイネージがあらゆる分野に普及してきたことから、導入後の活用最適化やより効果的なロケーションへの設置を図るための導入が増えている。
内容の詳細につきましては『デジタルサイネージ市場総調査 2025』をご覧ください。
- ■報道関係のお問い合わせは
- 富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3241-3473(窓口:富士経済グループ本社 広報部)

