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『2023 コミュニケーション関連マーケティング調査総覧』まとまる(2023/11/28発表 第23126号)

国内の通信機器・サービス市場の調査を実施

2027年度市場予測(2022年度比)
インフラシェアリングサービス 416億円(6.4倍)
新規参入、サービス拡充により市場拡大
ワイヤレスプレゼンテーションシステム 53億円(2.4倍)
Web会議サービスとの連携ニーズは増えており、対応した製品の増加が市場拡大を後押し

注目市場
1. インフラシェアリングサービス
2023年度見込2022年度比2027年度予測2022年度比
123億円189.2%416億円6.4倍
 インフラシェアリングサービスは、移動体キャリアやJMCIA(公益社団法人移動通信基盤整備協会)以外の事業者が、移動体キャリアにアンテナやDAS(アンテナ分散型システム:Distributed Antenna System)、基地局を設置するための土地、建物、鉄塔などを提供するサービスである。市場はサービスの利用料とした。
 移動体キャリアに対する屋内向けのサービスは、2022年度の市場は4G、5G通信に対応したサービス案件に加え、設備老朽化に伴うリプレースを獲得したことから拡大した。既存の事業者に加え、新規に参入した事業者がサービスを拡充させていることから、2023年度以降も市場は拡大すると予想される。ただし、移動体サービスのARPU減少を受け、移動体キャリアはサービス利用も含め、インフラへの投資を抑制する傾向にあることから、市場の成長率は緩やかになっていく。
 屋外向けのサービスは、2022年度の市場は既存事業者の実績に加え、NTTグループからタワーの移管を受けた事業者が本格的にサービス提供を開始したことから拡大した。NTTグループからタワー移管を受ける事業者によるサービス拡充、山間や離島などのルーラル地域へのタワー新設が進み、2023年度以降も市場は拡大すると予想される。ただし、NTTグループのタワー移管は2023年度中に一段落するとみられること、また、複数の移動体キャリアが基地局を設置しておらず、かつ、必要となる場所を探すのは難しく、事業者が新規でタワーなどを増やすのは容易ではないことから、今後大幅に市場が拡大するのは、移動体キャリアから新たなタワー移管が生じる際になると予想される。
2. ZTNAサービス
2023年度見込2022年度比2027年度予測2022年度比
103億円133.8%350億円4.5倍
 ZTNA(Zero Trust Network Access)サービスは、事前に定義されたアクセス制御ポリシーに基づき、アプリケーションやサービスに対するアクセス要求が発生するたびに検証を行い、定義を満たす場合にのみアクセス権を付与することでよりセキュアなリモートアクセス環境を提供するサービスである。市場はサービスの利用料とした。
 普及の背景には、法人企業における業務システムのクラウド化、テレワークやリモートアクセスサービスの定着がある。これまでは、社外から社内ネットワークへのアクセスにおけるセキュリティ対策としてVPNが活用されていたが、認証をIDやパスワードのみで行っているサービスも少なくなく、脆弱性を突いた標的型攻撃や不正アクセスなどへの対策強化として、代替するZTNA、その先のSASEやSSEへの投資や注目度が高まっている。参入ベンダーはまだ少なく、現状では外資系ベンダーが中心となっているが、ゼロトラスト/SASEの考え方が浸透するにつれて、今後は日系ベンダーの本格参入も期待される。
 市場は2022年度から2024年度頃まで、VPNからの移行による案件や従来サービスからのリプレースなどを中心に拡大していくとみられる。現状では引き合いは多いが、実導入に至る案件は多くない。また、閉域網の需要が底堅く、期待ほど閉域からインターネットへの移行が進んでいない。しかし、コロナ禍で構築したネットワークの更新が多く訪れるとされる2025年度頃が転換期になり実導入が増えてくると予想される。
3. ワイヤレスプレゼンテーションシステム
2023年度見込2022年度比2027年度予測2022年度比
28億円127.3%53億円2.4倍
 会議室などに設置されているディスプレイやモニターに受信機を接続し、ノートPCやタブレット端末などのデバイスにボタン搭載型の送信機や専用ソフトウェア/アプリケーションを接続またはインストールすることで、デバイスからワイヤレスに画面の切り替えや複数画面の同時表示を可能にするシステムを対象とした。なお、「Apple TV」や「Google Chromecast」などのミラーリング専用機器は対象外とした。
 市場は2020年度、2021年度と、コロナ禍に伴うテレワークの普及により集合型(リアル)会議が減り、需要が減少したことから縮小したが、2022年度は出社比率を高める企業が増えたことや、Web会議サービスとの連携可能な製品が発売され、テレワークや遠方からの会議参加者の対応ができるようになったことから需要が増加し拡大した。教育機関などでは、2020年度に前倒しで実施された『GIGAスクール構想』により構築されたネットワーク環境や配備された1人1台端末の有効活用、授業の質向上を目的とした導入が見られた。また、「Chromebook」に対応したシステムが増えたことも導入を後押しする要因となった。
 2023年度は、大手や拠点の多い企業などでは、本社の会議室に導入した後に、地方の事業所や営業所などに導入するケースも見られる。Web会議サービスと競合するものの、以降も市場は拡大推移するとみられる。Web会議サービスとの連携ニーズは増えており、対応した製品の増加が市場拡大を後押しするとみられる。また、送信機や子機を必要しない、「AirPlay」「Google Cast」「Miracast」などの各種OS内蔵機能に対応した製品へのニーズが増加すると予想される。
4. 会議用360度カメラ
2023年度見込2022年度比2027年度予測2022年度比
29億円131.8%51億円2.3倍
 会議室などの中央に設置することで、レンズ角度を調整せずとも室内全体を映し出し、室内どこからの声でも拾うことが可能なマイク、発信するスピーカーを搭載した製品を対象とした。発言者に自動的にフォーカスするため、多人数会議や、オンライン会議とリアル会議を掛け合わせたハイブリッド型会議での円滑なコミュニケーションを実現する。PCとはUSBによる接続が一般的であるが、Wi-FiやBluetoothを用いたワイヤレス接続が可能な製品もある。ほとんどのWeb会議サービスに対応しており、同時に活用することが可能である。
 2020年1月に「Kandao Meeting」(Kandao Technology)が発売され市場が立ち上がった。当初はハイブリッド型会議がわずかであったため、普及は限定的であったが、4月以降新型コロナウイルス感染症の流行が追い風となったほか、7月に「Meeting Owl pro」(ソースネクスト)が発売されたことで、認知度が向上し需要が高まった。一部ではWeb会議サービスと連携可能なワイヤレスプレゼンテーションシステムなどを採用するケースもみられたが、会議室にカメラやマイク、スピーカーなどを設置していたユーザーを中心に導入が増加した。
 市場は2021年度、2022年度は、出社比率を高めつつもテレワークを併用する企業や拠点間の出張に制限を設ける企業、オンライン授業を併用する教育機関におけるニーズの高まりから拡大した。
 2023年度は、コロナ禍の収束に伴って、出社比率や登校比率を高める企業や教育機関が増加しているが、地方や海外の事業所や営業所などとの会議やミーティングで需要が高まっており、中には複数台導入するユーザーもある。今後も市場はハイブリッド型会議の定着を背景に拡大するが、参入企業が増加しており低価格化が進むと予想されるから、徐々に成長率は鈍化していく。
調査結果の概要
通信機器・サービスの国内市場
 2023年度見込2022年度比2027年度予測2022年度比
通信機器3兆7,210億円100.5%3兆6,615億円98.9%
通信サービス11兆1,684億円102.0%11兆8,648億円108.4%
合計14兆8,893億円101.6%15兆5,262億円106.0%
市場データは四捨五入している
 2022年度の通信機器市場は、移動体キャリアの基地局への設備投資が抑えられたほか、コロナ関連の特需も落ち着いたが、ネットワーク関連製品を中心に半導体不足緩和に伴う販売増やオフィスワークとテレワークを組み合わせたハイブリッドワークの環境構築需要などを獲得したことからプラス成長となった。
 今後はネットワーク関連製品では高速大容量通信や『IOWN構想』に伴う関連製品に対する需要、会議関連製品ではコロナ禍で導入されたテレワークやWeb会議関連製品の買い替え、移動体通信端末では『GIGAスクール構想』で導入されたタブレット端末のリプレースが期待される一方で、音声関連製品ではクラウド化の進展、移動体通信基地局関連製品では移動体キャリアの投資抑制による影響を受けることから、市場は2025年度まで拡大するものの、以降縮小推移が予想される。
 2022年度の通信サービス市場は、データトラフィック量の増加に伴う広帯域ニーズやハイブリッドワーク環境の構築需要を獲得したが、個人向け移動体通信サービスの低容量低料金プランに対する需要増加が大きく響き、マイナス成長となった。
 今後はインターネット接続サービスではサービスの切り替え需要や分散型インターネット網に対する需要、移動体通信サービスでは個人向けで大容量プランのユーザー増加によるARPUの下げ止まり、固定データ通信サービスでは閉域網における広帯域ニーズとゼロトラスト/SASEによる新たなネットワーク環境に対する需要などが期待され、音声関連サービスでは多様化する働き方への対応として音声通話環境の構築が継続されることなどから、市場は拡大推移が予想される。
内容の詳細につきましては『2023 コミュニケーション関連マーケティング調査総覧』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3241-3473(窓口:富士経済グループ本社 広報部)

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