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『2023年 高機能コーティングの現状と将来展望』まとまる(2023/7/6発表 第23077号)

高機能コート剤とその使用製品の市場を調査

2026年予測(2022年比)
高機能コート剤20品目の世界市場 1兆7,046億円(119.3%)
黒色分散液が堅調に伸びるほか、環境対応を背景に生分解性コート剤などが大きく伸びる。
生分解性コート剤の世界市場 68億円(2.1倍)
脱プラスチックを背景に需要が増加。エマルジョンタイプの伸びに期待。

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋 TEL:03-3241-3490 社長:田中 一志)は、ある基材に成膜または表面処理を施すことによって耐候性、撥水撥油性、導電性など高い機能性を付与するコート剤と、それらを使用した注目使用製品の市場を調査した。その結果を「2023年 高機能コーティングの現状と将来展望」にまとめた。
 この調査では、センシング技術や、EV・PHVの電池向けなどに使用され、脱プラスチックによる環境対応などを背景に需要が高まる高機能コート剤29品目の市場の現状を明らかにするとともに、将来を展望した。また、コート剤を使用した製品の市場についても調査を行った。

調査結果の概要
高機能コート剤20品目の世界市場
2023年見込2022年比2026年予測2022年比
1兆5,166億円106.1%1兆7,046億円119.3%
 規模の大きい黒色分散液が塗料やインキ分野に加え、EV・PHVの電池に使用される導電助剤向けで伸びている。生分解性コート剤など環境に配慮した製品も伸長、自動運転を目的としたセンシング技術に関わる赤外線透過インキや赤外線カットコート剤、電磁波シールドコート剤が伸びるため、2023年の市場は前年比6.1%増が見込まれる。
 今後も、自動車のEV化進展によって黒色分散液が堅調に推移するほか、脱プラスチックの流れに伴い生分解性コート剤が大きく伸長する。また、センシング技術の普及などを背景に、低誘電接着剤などエレクトロニクス分野の高機能化に寄与するコート剤も伸びることなどから、2026年の市場は拡大が予想される。
注目市場
生分解性コート剤の世界市場
2023年見込2022年比2026年予測2022年比
41億円128.1%68億円2.1倍
 紙やフィルムに塗る生分解性樹脂(溶融、エマルジョン、水溶液)を対象とする。微生物の働きで最終的にCO2と水に分解されることから、石油化学系を代替するコート剤である。海洋汚染などのプラスチックごみの課題解決やCO2排出量を減らせることから、注目が集まっている。
 プラスチックフィルム代替で使用される溶融タイプが中心であったが、2022年12月にエマルジョンタイプが発売されて伸びている。エマルジョンや水溶液タイプは、樹脂層の薄膜化や樹脂量の削減が可能であり、紙のリサイクル性向上につながることから、脱プラスチックの動きが強い欧州を中心に引き合いが増加している。また、ラミネートフィルムの代替が可能であり、モノマテリアル化実現に寄与する材料として需要が高まっており、2023年の市場は前年比28.1%増が見込まれる。
 今後も、脱プラスチックニーズにより、需要増加が予想される。溶融タイプはシール強度が高い用途向け、エマルジョンタイプ・水溶液タイプは薄膜化可能なため多様な用途で採用が進むとみられ、2026年の市場は2022年比2.1倍の68億円が予測される。
黒色分散液の世界市場
2023年見込2022年比2026年予測2022年比
9,700億円107.8%1兆1,250億円125.0%
 カーボンブラックや酸化鉄などを原料とする黒色分散液やコート剤を対象とする。塗料やインキ、化粧品、導電・帯電防止剤などに使用される。特に、塗料やインキ分野では色材調整に欠かせない材料であることからニーズが高い。
 2023年は、新型コロナウイルス感染症の影響によって縮小していた自動車市場の回復や、自動車のEV化の加速で電池用導電助剤向けの需要が高まるとみられ、市場は2022年比7.8%増が見込まれる。
 さまざまな用途で使用されているため、今後は、世界的な景気の回復や人口増加で需要が増加すると予想される。また、自動車のEV化に伴う電池の生産強化が進むとみられ、市場拡大が予想される。
注目使用製品市場
ウェアラブル用導電性材料の世界市場
2023年見込2022年比2026年予測2022年比
21億円105.0%24億円120.0%
 バイタルセンシングが可能なアンダーウェアやスポーツウェアなどの衣類に使用される導電性繊維および導電性シートを対象とする。
 作業員の熱中症対策として健康管理を行うためウェアラブル端末の利用ニーズが高まっていることから、導電性材料の需要も増えており、2023年の市場は拡大するとみられる。一部では牛や競走馬などの動物向けの健康管理での採用されている。
 現在は、作業員の健康管理やスポーツ向けの展開が中心であるものの、2025年以降は医療など新規用途での採用も進み、2026年に向けて引き続き市場拡大が予想される。
ヒートシール紙の国内市場
2023年見込2022年比2026年予測2022年比
11億円122.2%18億円2.0倍
 紙基材にヒートシール層を塗工することで、ヒートシール性(加熱・加圧による接着を可能にする)を付与した紙である。各種フィルムや一部ラミネート紙の代替となり、それらと比べてプラスチックの使用量を減らせる。主に二次包装として利用される。
 現在は、環境対応を目的にプラスチックから紙への移行を進める食品包材分野での採用が中心である。2022年から2023年は、主要菓子メーカーや食品メーカーに加え、トイレタリーや化粧品メーカーも包材での採用を増やしていることから市場は拡大するとみられる。
 また、コスト面やシワになりやすいといった課題、原料高騰による新規開発の延期などがあるものの、今後も採用は増加すると予想される。特に、CVS各社は2030年までに50%のPB商品を脱プラスチックによる環境配慮商品にすることを目指しているため、ヒートシール紙の採用を増やすとみられ、2026年の市場は2022年比2.0倍が予測される。
内容の詳細につきましては『2023年 高機能コーティングの現状と将来展望』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3241-3473(窓口:富士経済グループ本社 広報部)

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