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『車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2023 下巻』まとまる(2023/4/28発表 第23051号)

ECUの世界市場を調査 ドメインコントローラーへの集約が進む

2035年予測(2021年比)
ECUの世界市場 33兆9,916億円(2.9倍)
電動化と自動運転の高度化により、xEVや走行安全系がけん引
パワートレイン系は電子制御化、ボディ系は快適性確保、情報系はコネクテッド化の機能追加で伸長
ドメインコントローラーの世界市場 4兆9,127億円(15.1倍)
パワートレイン系や走行安全系など車両制御でも統合が進む

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋 TEL:03-3241-3490 社長:田中 一志)は、高度な制御が要求される自動運転システムの実現に向けて搭載数が増える一方で、将来的にはドメインコントローラーによる集約も進んでいくとみられるECUと関連デバイスの世界市場について調査した。その結果を「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2023 ≪下巻:ECU関連デバイス編≫」にまとめた。
 この調査では、6領域(パワートレイン系、xEV系、走行安全系、ボディ系、情報系、センサー/アクチュエーター)のECUについて国・地域別に市場を分析し、それらを構成するデバイス30品目の動向を捉えた。なお、車載電装システムやその構成デバイスの市場調査結果については「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2023 ≪上巻:システム/デバイス編≫」でまとめており、2月9日にその概要を発表している。

調査結果の概要
ECUの世界市場
 2022年見込2021年比2035年予測2021年比
パワートレイン系1兆4,114億円112.1%1兆5,776億円125.3%
xEV系1兆7,949億円2.1倍8兆515億円9.2倍
走行安全系2兆3,044億円122.4%6兆868億円3.2倍
ボディ系2兆1,407億円120.9%4兆226億円2.3倍
情報系3兆952億円121.5%5兆4,287億円2.1倍
センサー/アクチュエーター3兆9,741億円120.9%8兆8,244億円2.7倍
合計14兆7,208億円126.7%33兆9,916億円2.9倍
市場データは四捨五入している
 各種電装機器の搭載によって、それらを制御するECUの搭載数は増加しており、2022年の市場は14兆7,208億円が見込まれる。為替の影響もあり数量ベースと比較して高い伸びとなっており、特に電動化の進展によりxEV系が大幅に拡大している。
 今後の伸びが特に大きいのは、xEV系と走行安全系である。環境規制の強化を背景とした電動化によりxEV系が大きく伸びていき、走行安全系もエアバッグシステムやESCなどの搭載が標準化しているシステムの堅調な需要と自動運転の高度化により伸びるとみられる。各領域の伸びに伴い、2035年の市場は2021年比2.9倍の33兆9,916億円が予測される。
 パワートレイン系はエンジンや変速機を制御するECUなどを対象とする。内燃機関を搭載しないEVの生産台数増加もあり、伸びは緩やかである。
 車内空間の確保を目的として、エンジンECUへの集約化が行われており、HVやPHVなどではインバーターやモーターとの一体化による搭載スペースの削減が進んでいる。また、自動運転の高度化により、パワートレイン系ECUは自動運転ECUとより一層の協調が必要となるが、自動運転システムでは電子制御との親和性が高いことから、エンジン負圧やエンジンを動力源として利用していた車載システムの電子制御化が進むとみられる。
 xEV系は駆動用/駆動補助用モーターやメインバッテリー、電圧の昇圧降圧を制御するECUなどを対象としており、2050年のカーボンニュートラルに向けた電動車シフトにより、長期的に大幅な市場拡大が予想される。
 今後追加が期待される機能としては、コネクテッド化の進展を受けたリモート操作による充電状態の確認、EVスタンドへの誘導やバッテリー交換サービスの案内などテレマティクスサービスとの連動、V2Hシステムとの連動などが挙げられる。
 走行安全系はブレーキ制御やステアリング制御など、走行性能に直結するシステムの足回り系ECU、ESC-ECUやEPS-ECUなどのパッシブセーフティ系ECUと、ADAS-ECUや自動運転ECUなどのアクティブセーフティ系ECUを対象とする。運転支援機能や自動運転の高度化とともに制御が複雑化するため、搭載個数と搭載コストの増加が予想されるため、市場が拡大していくとみられる。
 自動パーキングシステムなどの新規機能は新たなECUの搭載につながるが、標準搭載が進むことによりADAS-ECUや自動運転ECUなどへの統合も想定される。
 ボディ系は、エアコンなど自動車内における快適性や利便性に関わるシステムを制御するECUを対象とする。販売価格が高い車両ほど1台当たりの搭載数が増える傾向にあり、快適性の確保を目的に自動車メーカーが積極的に搭載を進めていることから、今後も堅調な需要が予想される。
 快適な空間を提供するための機能追加と搭載数増加が期待されるが、ドメインコントローラーによる制御も増えていくとみられる。
 情報系は、情報通信系システムのECU、車外通信システムや車内通信システムに採用される通信系ECUを対象とし、カーナビやオーディオ機器のアフター製品に搭載されるECUは含まない。自動車のコネクテッド化やADAS/自動運転システムなどとの連携を背景とした、車外通信機能の追加や車内エンターテインメント機器の増加などにより市場は拡大が予想される。
 センターインフォメーションディスプレイの搭載増加に伴うIVI(In-Vehicle-Infotainment)の搭載率上昇、ヘッドアップディスプレイやテレマティクスコントロールユニット、乗員モニタリングシステムなど新たな機能の追加が進んでいくとみられる。また、自動運転が高度化することで車内での過ごし方をサポートするために、エンターテインメント機能の拡充も期待される。
 センサー/アクチュエーターは、センサーユニットなどの制御対象の状態を検出し送信する機器や、モーター/バルブなどといったセンサーに検出された状態に応じた物理的、機械的な動作をするモーターユニット、LIDARやミリ波レーダーといったその他センサーを対象とする。
 電動化により補機モーターやその他の小型モーターの搭載も進むとみられ、電子制御化によるモーター数の増加や、ADAS/自動運転システムの普及に伴う各種センサー類の増加により市場拡大が予想される。
ドメインコントローラーの世界市場
2022年見込2021年比2035年予測2021年比
4,568億円140.6%4兆9,127億円15.1倍
 ECUやセンサー、アクチュエーターなどの機能統合を行うドメインコントローラーを対象とする。
 自動車に搭載されたECUやセンサー、アクチュエーターなどをつないだシステム構造であるE/Eアーキャテクチャーは、現在、一つの機能を一つのECUで制御する分散型が主流である。しかし、ECUの搭載増加によりワイヤーハーネスも増え、車体重量が増加していることや、ADASの高度化によりECUやセンサー、アクチュエーターに加え、外部サーバーとの連携、走行データや地図データの交信などで多量のデータ転送と処理が必要となることから、データ転送速度の低下などが問題点として挙がっている。
 そのため、ドメインコントローラーを設置し、ドメイン別に関連機器のECU、センサー、アクチュエーターを統括するドメイン型のE/Eアーキャテクチャーが2020年ごろから登場している。関連ECUを統合・集約しドメインコントローラーで管理することでデータ転送と処理の効率化でき、ワイヤーハーネスの削減も可能であることから、量産車への搭載も始まっている。
 情報系やボディ系など走行に関係ないシステムから徐々にドメインコントローラーへ集約されており、2022年の市場は4,568億円が見込まれる。今後は、パワートレイン系や走行安全系などでも統合が進んでいき、2035年の市場は2021年比15.1倍の4兆9,127億円が予測される。
ECU構成デバイスの世界市場
 2022年見込2021年比2035年予測2021年比
センサー1兆7,296億円125.7%2兆6,691億円193.9%
半導体4兆4,895億円135.8%11兆3,804億円3.4倍
回路部品1兆5,156億円132.5%3兆3,830億円3.0倍
その他10兆3,258億円117.8%14兆2,428億円162.5%
合計18兆605億円123.8%31兆6,753億円2.2倍
 2022年のECU構成デバイス市場は、前年比23.8%増の18兆605億円が見込まれる。ECUの自動車1台当たりの搭載数は増加しており、これに伴い、半導体部品や回路部品、基板製品といったECUの構成デバイス、ECUとECUやセンサーを接続するワイヤーハーネスや車載コネクターなどの需要が増え、市場は拡大している。
 センサーは、環境規制強化に向けた内燃機関の高度化ニーズやADAS機器などの走行安全装置のニーズ、車内快適性向上需要の高まりにより、搭載が増えていることから市場が拡大している。流量センサーやガス濃度センサーは電動車の普及により将来的には減少していくが、圧力センサーや磁気センサー、温度センサーなどは内燃機関関連での需要減少の一方で、電動車への搭載が増えることから、伸びが続くとみられる。また、走行安全系システムの搭載義務化や自動運転の高度化により加速度センサー/角速度センサー、イメージセンサーなども伸びが予想される。
 半導体不足が2022年後半から徐々に解消へと向かっており、半導体や回路部品はセンサーの搭載増加に加え、電子制御の割合が高い電動車の伸びもあり市場拡大している。
 その他では、ワイヤーハーネスや車載コネクターがECUの搭載増加により伸びていくが、長期的には車体構成の変化やECUの統合などにより配線数が減少するため、伸びは鈍化していくとみられる。
内容の詳細につきましては『車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2023 下巻』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3241-3473(窓口:富士経済グループ本社 広報部)

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