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『2023 脱炭素社会に向けた自動車部品市場の将来展望』まとまる(2022/12/27発表 第22136号)

脱炭素社会の進展に影響を受ける自動車部品の世界市場を調査

2045年予測(2021年比)
自動車部品34品目の世界市場 38兆7,773億円(59.3%増)
センサーの搭載増加や軽量化に伴う材料の変化、部品の高機能化が拡大を後押し
ミリ波対応エンブレム 539億円(3.0倍)
フロントミリ波レーダー搭載車の増加で拡大。LED搭載型やコスト低減技術の開発が進む

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋 TEL:03-3241-3490 社長:田中 一志)は、電動化や軽量化、自動運転化、快適性/意匠性向上など自動車に要求される変化を受けて、材料や構造、製造方法などで新たな動きがみられる自動車部品の市場や動向を調査し、その結果を「2023 脱炭素社会に向けた自動車部品市場の将来展望」にまとめた。
 この調査では自動車部品が影響を受ける環境の変化として電動化、軽量化/CN(カーボンニュートラル)、自動運転化、快適性/意匠性向上の4点に着目し、自動車部品34品目の市場動向をまとめ、2045年までの長期予測を行った。

調査結果の概要
自動車部品34品目の世界市場
2023 脱炭素社会に向けた自動車部品市場の将来展望:自動車部品34品目の世界市場グラフ
 2022年は為替変動の影響を受けて、市場は前年比10%以上の伸びが予想され、この傾向は2023年も継続するとみられる。一方、数量ベースは自動車生産台数の減少を受けて2022年に前年を下回るとみられるが、2023年には自動車生産台数の回復に伴い拡大が期待される。
 電動化の影響を受ける部品は、世界的な電動化の流れで伸びる品目が多いが、冷却ファンなどは電動車の冷却方式の設計の影響を受けて長期的には縮小が予想される。各部品はEVの航続距離の延長や車室内スペース確保のため小型化・軽量化が進められている。内燃機関向けの部品は電動化により減少が予想されるが、電動パワートレイン向けへの応用・転換により今後も搭載される可能性がある。
 軽量化/CNの影響を受ける部品は、燃費向上のニーズに応えるため軽量化が求められる。このため今後は高価格な軽量材料の利用が増え、短期的には市場は拡大していくとみられる。ドアや内装部品など、軽量化に向けた開発の余地が大きい品目が伸びる一方で、内燃機関に用いられるエンジンブロックやトランスミッションハウジングなどが電動化を受けて今後苦戦するとみられる。
 自動運転化の影響を受ける部品は、自動運転の高度化によって各種センサーや通信機器類の搭載が増加するため、多くの品目が長期的に伸びるとみられる。センサーの搭載が増加することで搭載箇所や搭載方法の工夫、自動車部品へのセンサー内蔵といった対応が取られており、部品自体の高機能化が進んでいくとみられる。
 快適性/意匠性向上の影響を受ける部品は、EVならではの先進的なデザインが増加することや、自動運転の高度化に伴い車室内での過ごし方が変化すると想定されることから、より付加価値の高い製品の需要が高まっていくとみられる。
注目市場
ミリ波対応エンブレム【自動運転化の影響を受ける部品】
2022年見込2021年比2045年予測2021年比
213億円120.3%539億円3.0倍
 フロントエンブレムのうち、フロントミリ波レーダー(77〜81GHz帯)搭載車に採用されるミリ波対応エンブレムを対象としている。
 市場はフロントグリル内に搭載される長距離向けのミリ波レーダー市場に比例する。欧州ではAEB(衝突被害軽減ブレーキ)の搭載が義務化されており、日本でも2021年11月以降搭載が義務化されたことにより、ミリ波レーダー搭載車が急増している。今後も世界各国でフロントミリ波レーダー搭載車が増加することにより市場は拡大し、長期的にはADAS/自動運転システムの機能高度化が追い風となって、2045年の市場は539億円が予測される。
 現在、LED搭載のミリ波対応エンブレムの開発が行われており、今後EVならではの先進的なデザインの実現に寄与するとみられる。また、材料に希少金属のインジウムを用いて電磁波透過膜を成膜しているが、インジウムは成膜が難しく、コストや歩留まりの課題があるため、近年、素材の表面に特殊な塗料を使用した成膜技術の開発が行われている。
制振材【快適性・意匠性向上の影響を受ける部品】
2022年見込2021年比2045年予測2021年比
1,940億円103.7%2,668億円142.6%
 主にロードノイズなどの低周波振動を摩擦によって熱エネルギーに変換し、ルーフパネル、ボディパネル、ドアパネルの振動を低減させる部品を対象とする。
 電動車では動力源がモーターに代わり、エンジン音でかき消されていた雑音が気になる事が想定されることから、今後電動車が増えることにより、制振材の需要も増加していくとみられる。また、自動運転車では車室内での過ごし方が変化すると考えられ、映画鑑賞やWEB会議への参加などにより、車室内の静寂性ニーズも一層高まると予想される。
 自動車の軽量化が求められる一方、制振材は重量が増すと制振性が高まるとされる。軽量化と制振性の向上という相反するニーズの実現に向け、現在メーカー各社で開発が進められている。
コンプレッサー【電動化の影響を受ける部品】
 2022年見込2021年比2045年予測2021年比
機械式コンプレッサー4,909億円92.2%129億円2.4%
電動コンプレッサー3,973億円178.2%2兆3,282億円10.4倍
 エンジンの回転またはバッテリーから供給される電力を用いてモーターを回転させ、エアコンに使用する冷媒を圧縮し液化する部品である。機械式コンプレッサーは主にICE(内燃機関車)で、電動コンプレッサーは主に電動車で使用され、市場はカーエアコンシステムと連動する傾向がある。
 機械式コンプレッサーは電動車の普及に伴いICEが減少するため、今後市場はカーエアコンシステムの伸びに関わらず大きく縮小するとみられる。
 電動コンプレッサーは2022年に前年比78.2%増と大幅な伸びが見込まれる。今後も世界的なカーエアコンシステムの搭載率向上と電動車の普及により順調な伸びが期待され、2045年の市場は2兆3,282億円が予測される。電動車においては、暖房でエンジンの廃熱利用ができないことによるヒートポンプとしての需要増加や、電池や電子部品の作業効率維持のための冷却ニーズなど電動コンプレッサーの役割は拡大しており、耐久性能の向上も求められている。
内容の詳細につきましては『2023 脱炭素社会に向けた自動車部品市場の将来展望』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3241-3473(窓口:富士経済グループ本社 広報部)

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