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『2022 人工知能ビジネス総調査』まとまる(2022/9/13発表 第22096号)

AIビジネスの国内市場を調査 2027年度には2兆円弱の予測

2027年度予測(2021年度比)
AIビジネスの国内市場 1兆9,787億円(170.4%)
アプリケーションの高度化や特定業務に特化したシステムのニーズが高まり、市場拡大
機械学習プラットフォーム市場 247億円(2.3倍)
高度な知識や技術を求めない機械学習モデルの機能が充実し、ユーザー数増加

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋 TEL:03-3241-3490 社長:田中 一志)は、新たなビジネスの創出、自社製品やサービスの高度化に向けて投資が増加し、注目が集まるAIビジネス関連市場を調査した。その結果を「2022 人工知能ビジネス総調査」にまとめた。
 本調査では、サービス5品目、アプリケーション1品目、プラットフォーム10品目を対象にAIビジネスの市場を明らかにした。また、AIビジネス各品目の8業種の動向についても調査した。加えて、AI活用ソリューション14品目やエッジAIコンピューティング市場の動向を分析し、将来を展望した。

調査結果の概要
AIビジネスの国内市場
2022年度見込2021年度比2027年度予測2021年度比
1兆3,139億円113.2%1兆9,787億円170.4%
 2021年度は、デジタル上でのデータ管理や業務のオンライン化などDXに向けた需要が増加し、業務にAIを組み込む企業が増えたことから、市場は拡大した。
 2022年度も引き続き、DXへの投資が伸びており、AI開発やAIを内製化しての活用が進展している。PoC(概念実証)段階から稼働や運用、保守までPDCAサイクルを実現する企業も増え、本格的な導入が進んでいることから、市場は前年度比13.2%増が見込まれる。
 2023年度以降は、アプリケーション機能の高度化や特定業務に特化したシステム活用への投資が増えるとみられる。アプリケーションやシステムをユーザーの要望に合わせて複雑化させると、コストや開発スピードなどの要因から外注よりも内製化するケースが多くなると予想される。それに伴い、特に内製化に関連するミドルウェアやサーバー/ストレージ/IaaSなどの品目が大きく伸長することから、2027年度は2021年度比70.4%増の1兆9,787億円が予測される。
注目AIビジネス
機械学習プラットフォーム
2022年度見込2021年度比2027年度予測2021年度比
132億円121.1%247億円2.3倍
 コンピューターが自らデータのパターンやルールを見つけ、データに関する予測や判断を行う機械学習モデルの開発を実現する製品やサービスを対象とする。
 これまでは、ユーザーの機械学習モデルの開発や活用を実現するツールとして、ノウハウのある技術者を有した大手企業やSI/AIベンダーを中心に導入されてきた。
 2022年度は、前年度に引き続き、企業のDXに対する需要が高く、データを基軸とした企業経営や業務効率化に向け、積極的なIT投資が増加している。そのため、ユーザーの裾野が広がり、金融業や製造業、流通業などの大規模事業者を中心に導入が進んでおり、市場は拡大するとみられる。
 今後は、AIの開発や活用に向けた企業の体制がさらに整うほか、高度な知識や技術がない場合でも機械学習モデルを開発できる機能が強化されるとみられ、ユーザーの幅が広がり、企業の規模を問わず導入数が増えることから、2027年度の市場は2021年度2.3倍の247億円が予測される。
統合AI/コグニティブサービス
2022年度見込2021年度比2027年度予測2021年度比
86億円114.7%148億円197.3%
 画像や音声、自然言語などの認識/処理を行う複数のソフト間で、それぞれが持つ機能の共有や、コンピューターが自律的に課題発見、学習、判断を行うAI/コグニティブ機能を追加できるよう連携させたパッケージの提供を行うサービスを対象とする。
 AI人材やDX人材を有する企業での内製化や、SIベンダーなどシステム構築ベンダーがユーザーのシステム構築に利用するケースが多い。内製化は、大手製造業や大手金融業を中心に増えており、2022年度の市場は前年度比14.7%増の86億円が見込まれる。
 近年、音声処理や自然言語処理のAIサービスを活用し、コールセンター業務におけるカスタマーサポート業務の高度化や自動化を図る企業も増加している。そのため、大規模なコールセンターを有する金融業や社会インフラ業、通信業、小売業などでの導入も始まっており、2027年度に向けて市場は拡大していくとみられる。
注目AI活用ソリューション
チャットボットソリューション
2022年度見込2021年度比2027年度予測2021年度比
275億円114.1%441億円183.0%
 AIを搭載したチャットボットや自動応答ツールに加え、これらの構築・コンサルティングや、学習データ収集、ナレッジ作成をはじめとするサービス、サーバー、ストレージなどを対象とする。
 製品やサービスに関連する問い合わせやクレーム対応など顧客対応では、従来オペレーターが担ってきたカスタマーサポート業務の効率化のために導入が進んでいる。社内利用では、総務や経理部門の問い合わせ対応のために導入されることが多い。
 本製品の導入には、機械学習データの用意や調整、社内で蓄積された知見や情報の整理、共有などが必須であるほか、ユーザーごとのUI/UXのニーズに合わせて開発するため、サービスの伸びが市場の拡大に貢献している。導入支援のほか、導入後に正答率を向上させるため収集した知見や情報の共有、学習データも必要であり、運用サービスも市場の成長を押し上げていることから、2022年度の市場は前年度比14.1%増の275億円が見込まれる。
 今後も、カスタマーサポート業務の効率化を目的に導入が増加するほか、運用サービスが引き続き伸長するため、2027年度に向けて市場は拡大していくと予想される。
行動分析ソリューション
2022年度見込2021年度比2027年度予測2021年度比
133億円133.0%256億円2.6倍
 人物の行動や振る舞いをカメラなどで観察し、行動を分析することで、店舗内の顧客行動に合わせたマーケティング施策実現や、公共エリアでの不審者、急病者の早期検知を支援するソリューションを対象とする。
 売上向上や販売促進など直接的な利益につながるため顧客分析の需要が旺盛であり、2021年度は、画像データを取得するためのネットワークカメラやAIカメラといったハードウェアに加え、分析対象や内容について個別対応を行うサービスが市場の拡大に貢献している。2022年度も前年度に引き続きハードウェアやサービスが伸び市場は拡大している。
 今後は、顧客行動分析を売上伸長に繋げるためのノウハウや成功事例が蓄積されることで、顧客行動分析の有効性が広く認識されることが期待される。それにより、このソリューションの需要は流通業を中心に高まるため、2027年度の市場は2021年度比2.6倍の256億円が予測される。
内容の詳細につきましては『2022 人工知能ビジネス総調査』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3241-3473(窓口:富士経済グループ本社 広報部)

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