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『2022 光通信関連市場総調査』まとまる(2022/3/1発表 第22019号)

光通信関連機器、デバイスの世界市場を調査

2026年予測(2020年比)
光通信関連機器、デバイスの世界市場 15兆8,874億円(62.6%増)
FTTxが短期的には欧州や米国、中長期的にはインドや東南アジア、南米で伸び、市場拡大
ライン側光トランシーバー 1,795億円(3.0倍)
伝送されるデータ量の増加と新技術導入の進展で、市場拡大

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋 TEL:03-3241-3490 社長:田中 一志)は、世界規模でのSNSや動画サービスの普及、また、クラウドサービスの利用増加などから伝送されるデータ量が増えている光通信関連機器、デバイスの世界市場を調査した。その結果を、「2022 光通信関連市場総調査」にまとめた。
 この調査では、通信機器4品目、光コンポーネント・デバイス31品目(光コンポーネント6品目、光アクティブデバイス8品目、光パッシブデバイス6品目、光ファイバー・光回路デバイス4品目、その他デバイス7品目)、光測定器・関連機器5品目を対象とし、2026年に向けた光通信関連市場を展望した。また、光通信アプリケーション4品目の動向を明らかにした。

調査結果の概要
光通信関連機器、デバイスの世界市場
 2021年見込2020年比2026年予測2020年比
通信機器7兆950億円105.5%9兆760億円134.9%
光コンポーネント・デバイス3兆3,803億円116.9%6兆6,204億円2.3倍
光測定器・関連機器1,619億円106.4%1,910億円125.5%
合計10兆6,372億円108.9%15兆8,874億円162.6%
 ITベンダーによる活発なデータセンター投資が続いており、2021年の市場は前年比8.9%増の10兆6,372億円が見込まれる。今後、短期的には欧州や米国でのFTTx(Fiber To The x)や敷設が進む海底ケーブル、5G通信基地局への投資増加によって市場拡大するとみられる。また、中長期的にはインドやインドネシア、ベトナムなど人口の多いアジア地域や、南米などでFTTxが伸長することで、2026年の市場は2020年比62.6%増が予測される。
 通信機器は、ハイパースケールデータセンター向けが伸びており、2021年の市場は前年比5.5%増の7兆950億円が見込まれる。今後もデータセンターでの高い需要は続くとみられ、特に、光伝送装置やネットワークを中継しデータを適切な行き先に転送するL2・L3スイッチが伸長することで、2026年の市場は9兆760億円が予測される。
 光コンポーネント・デバイスは、光コンポーネントが光トランシーバーの高速化に伴い伸長している。また、光モジュールなどの高速化による多レーン製品の増加で光アクティブデバイスの引き合いが高まっていることや、光ファイバーの伸びなどにより、2021年の市場は拡大が予想される。
 今後は、ライン側光トランシーバーのうち伝送速度400G ZRが、100Gや200Gの代替としてデータセンターに導入されるほか、クライアント側光トランシーバーも伸長することなどから、2026年の市場は2020年比2.3倍が予測される。
 光測定器・関連機器は、光ファイバー同士を接続する融着接続機の規模が最も大きく、新規と買い替え需要の両方が増加していることから、2021年の市場は前年比6.4%増が見込まれる。光波形の時間変化を測定するオシロスコープで広帯域の計測が可能な製品の研究開発や製造評価に対する需要が高まっており、今後は、新製品の開発や融着接続機の安定した伸びによって、市場は拡大していくとみられる。
注目市場
ライン側光トランシーバー
2021年見込2020年比2026年予測2020年比
620億円104.9%1,795億円3.0倍
 幹線系やメトロ系、データセンター向け、デジタルコヒーレント技術を用いた伝送速度40G以上(40G・100G・200G・400G・600G・800G)の長距離伝送の光トランシーバーを対象とする。
 新型コロナウイルス感染症の影響によりテレワークや動画配信、ゲームの需要が高まっており、伝送されるデータ量が増加している。それに伴うシステムの根幹を担う基幹ネットワークの構築や増強ニーズの高まりにより、2021年は市場拡大が予想される。
 現在は200G光トランシーバーが主流であるものの、2024年以降は400Gが中心となる。また、2026年には600Gや800G光トランシーバーの投入が始まるとみられる。伝送されるデータ量の増加とともに新技術導入が進展することで需要は増加し、2026年の市場は2020年比3.0倍の1,795億円になると予測される。
クライアント側光トランシーバー(100G・200G・400G・800G〜)
2021年見込2020年比2026年予測2020年比
5,386億円134.9%1兆7,685億円4.4倍
 光伝送装置のインターフェース用や、スイッチ、ルーター用、伝送速度は100G以上(100G・200G・400G・800G〜)、伝送距離は最短100mから最長40kmのものを対象とする。
 現在、100Gに加えて、大手クラウドサービスベンダーなどで400Gや800G光トランシーバーの導入が進んでおり、市場は拡大している。
 2022年前半には、800G光トランシーバーの規格化が行われるとみられる。今後、200G光トランシーバーから400Gや800G光トランシーバーへ移行するとともに新規導入も進み、2026年の市場は2020年比4.4倍が予測される。
光ファイバー
2021年見込2020年比2026年予測2020年比
4,370億円137.4%5,770億円181.4%
 光の伝送に用いられる製品であり、心線の主材料に石英を用いた石英光ファイバーを対象とし、POFやスペシャリティファイバーは対象外とする。
 不安定な製品価格が影響して2020年前半までは価格下落が続いており、市場は低迷していた。2021年は、テレワーク普及や巣ごもり消費に伴う前年からのネットワーク需要の高まりを受け、光ファイバーの余剰在庫整理が進んだ。また、物流停止に伴う輸送費増加、原材料価格高騰、北南米・欧州・中国における積極的なインフラ投資継続による旺盛な需要を受け製品価格が上昇したため、2021年の市場は拡大するとみられる。
 今後は、物流状況の改善や原材料価格高騰の解消などにより、再び価格が下落する可能性はあるが、旺盛な需要を背景として導入が進むため、2026年の市場は2020年比81.4%増が予測される。
PAM用IC
2021年見込2020年比2026年予測2020年比
144億円189.5%670億円8.8倍
 光トランシーバーの高速化ニーズに対応する変調方式の一つとして実用化が進むPAM4(4値パルス振幅変調)用のICを対象とする。
 PAM用ICは、光トランシーバー内部でNRZ信号とPAM4信号間を変換する製品で、データセンターにおいて伝送するデータの増加や高速化の需要を受け開発され、2019年に市場が立ち上がった。
 PAM4技術によって2倍のデータが送信可能であるため、データセンターで導入が進んでおり、2021年の市場は大幅に拡大するとみられる。
 今後、次世代光トランシーバーのうち伝送速度が800G以降の製品は、長距離伝送を可能とするデジタルコヒーレント技術をデータセンター内でも使用するとみられ、10kmのPAM変調製品は、デジタルコヒーレント製品に代替されると予想される。しかし、10km未満の製品に関しては引き続き、PAM用ICの導入が進み、2026年の市場は2020年比8.8倍の670億円になると予測される。
内容の詳細につきましては『2022 光通信関連市場総調査』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3241-3473(窓口:富士経済グループ本社 広報部)

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