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『2020 エレクトロニクス実装ニューマテリアル便覧』まとまる(2021/1/29発表 第21012号)

半導体実装関連の世界市場を調査

2026年市場予測(2019年比)
低誘電対応銅張積層板 2,472億円(2.2倍)
5G基地局向け投資の好調やサーバーでの需要増加により、伸長
FC-BGA基板 5,199億円(48.6%増)
各メーカーの投資が続き、市場成長。サーバーやインフラ機器を中心としたロジック用途が増加

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、PCや通信インフラ分野の半導体需要の高まりにより好調な半導体実装関連の世界市場を調査した。その結果を「2020 エレクトロニクス実装ニューマテリアル便覧」にまとめた。
 この調査では、半導体パッケージ3品目と、半導体パッケージ関連材料8品目、プリント配線板6品目、プリント配線板関連材料14品目、熱対策材料7品目、実装関連装置5品目の実装関連市場に加え、スマートフォンなど関連するアプリケーション機器3品目の動向についても調査・分析し、将来を展望した。
 2020年は新型コロナウイルス感染症の影響によりスマートフォンやデジタルカメラ、複写機/複合機、自動車の市場が大きく落ち込む一方で、ステイホームやテレワークの普及によりPCやタブレット端末、ゲーム機、Wi-Fiルーターなどの市場は好調である。PCや通信インフラ関連分野の好調によりIC系やメモリーなどの半導体需要が増加し、それに紐づく実装関連市場も拡大している。特にFC-BGA基板関連材料が好調で、今後の需要増加に向けた大型設備投資も進んでいる。一方、自動車市場が低調であることからディスクリートやパワーデバイス関連の実装関連材料市場は低調である。

調査結果の概要
実装関連の世界市場
 2020年見込前年比2026年予測2019年比
半導体パッケージ関連材料8,722億円104.5%1兆1,846億円141.9%
プリント配線板5兆5,158億円99.8%6兆2,869億円113.7%
熱対策材料1,013億円100.4%2,548億円2.5倍
実装関連装置4,638億円100.5%5,283億円114.5%
合計6兆9,532億円100.4%8兆2,546億円119.2%
市場データは四捨五入している
 2020年の半導体パッケージ関連材料市場は、スマートフォンや自動車関連で需要が減少するものの、半導体および材料使用量の多いPCや基地局、サーバーといった通信インフラ関連で需要が増加し、前年比4.5%増が見込まれる。特にFC-BGA基板やFC-CSP基板の伸びが高い。今後もIoT化の進展により半導体の需要は増加し、市場拡大が続くとみられる。
 2020年のプリント配線板市場は、基地局やサーバーといった通信インフラやPC向けは非常に好調であるものの、新型コロナウイルス感染症の影響による3〜4月の生産停止や、自動車やスマートフォン市場の落ち込みなどにより縮小する品目がみられ、微減が予想される。
 2020年の熱対策材料市場は、シンタリングペースト(加圧タイプ)や低放熱フィラー(アルミナ)など大幅に伸びている品目もみられるが、主な用途先である自動車の市場縮小により横ばいが予想される。今後はEV、HVの需要増加やSiCデバイス、高性能CPU採用などに伴う高放熱ニーズの高まりから、市場は拡大するとみられる。特にEVやHVのPCU向けパワーモジュールやリチウムイオン二次電池向けの需要増加が期待され、2026年には2019年比2.5倍が予測される。
 2020年の実装関連装置市場は、半導体パッケージ基板やモジュール基板向けの投資が好調であり、微増が予想される。今後も大型投資がしばらく続き、2023年までは堅調に市場拡大するとみられる。
注目の市場
低誘電対応銅張積層板
2020年見込前年比2026年予測2019年比
1,204億円109.1%2,472億円2.2倍
 PPE(ポリフェニレンエーテル)樹脂などのPPE系やフッ素系の低誘電対応樹脂を採用した銅張積層板を対象とする。PPE系が市場をけん引しており、通信機器や基地局、サーバー、車載ミリ波レーダーなどで使用される。
 2019年は、データセンターや5G基地局向け投資の活性化などにより市場が急拡大した。2020年は、米中貿易摩擦の影響によるHuaweiの5G基地局基板設計変更による需要減少に加え、ITベンダーのデータセンター向け投資の減少などにより伸びが鈍化する。2021年以降5G関連の設備投資が回復し、高い伸びで市場拡大するとみられる。5G基地局向け投資は2023年頃まで続き、2025年頃からはサーバー向けが大幅に増加すると予想される。
 PPE系は今後も順調な伸びが期待され、市場をけん引するとみられる。フッ素系は、新規の基地局向け投資が4Gから5Gへ移行したことで一部PPE系に切り替えが進んでいる点や、自動車市場の落ち込みなどにより2020年は横ばい、2021年以降は当面車載ミリ波レーダー向けを中心に伸びるものの、2024年頃からPPE系への切り替えが進み、需要の減少が予想される。
FC-BGA基板
2020年見込前年比2026年予測2019年比
3,781億円108.1%5,199億円148.6%
 主にCPUや通信機器などの高性能な多ピンロジックなどで採用されているFC-BGA基板を対象とする。
 FC-BGA基板は、サーバーやPC、ゲーム機などの高性能化に伴い、基板サイズの拡大や多層化が進んでおり、単価が上昇している。2020年は新型コロナウイルス感染症の影響による自動車市場の縮小により近年好調だった車載SoC需要が落ち込んだものの、5G投資やクラウド強化などでデータセンターや基地局で採用される通信機器向けプロセッサーやサーバー用CPUで需要が増加していることに加え、ステイホームやテレワークの影響で、PCやゲーム機向けプロセッサーでの需要も非常に好調であることから前年比8.1%増が見込まれる。
 2021年以降も各FC-BGA基板メーカーの投資が続き、市場成長するとみられる。2020年に落ち込んだ自動車SoCはADAS向けを中心に増加する。しかし、PC向けはPC市場の伸び悩みやチップセットの落ち込みなどにより中長期では縮小が予想される。
低誘電FPCベースフィルム(MPI/LCP)
 2020年見込前年比2026年予測2019年比
MPI100億円2.2倍146億円3.2倍
LCP146億円100.0%208億円142.5%
合計245億円128.3%354億円185.3%
市場データは四捨五入している
 MPI(変性ポリイミド)フィルムとLCP(液晶ポリマー)フィルムの低誘電FPCベースフィルムを対象とする。
 低誘電ベースフィルムは5Gにおける高周波化や対応周波数の増加に伴い、スマートフォンのアンテナケーブルにおいて細線同軸ケーブルから多層FPCへの切り替えが進むとみられ、ニーズが高まっている。
 MPIは主に「iPhone」(Apple)のドック用FPCや「Galaxy」(Samsung El.)で採用されている。2021年以降は中国メーカーのスマートフォンでも採用増加が予想されるが、今後はミリ波対応によりLCPの需要が高まり、市場成長は緩やかになるとみられる。
 LCPはスマートフォンにおいて「iPhone」およびミリ波対応のSamsung El.やMotorolaの機種を中心に採用されている。現時点ではミリ波に対応できるのはLCPのみとされているため、今後ミリ波対応機種の増加に伴い、市場は拡大するとみられる。現状、LCPの用途先は大半がスマートフォンであるが、今後は基地局などの通信インフラや、ミリ波や5G採用拡大が期待される自動車で需要増加が期待される。
シンタリングペースト
 2020年見込前年比2026年予測2019年比
加圧タイプ36億円144.0%232億円9.3倍
無加圧タイプ35億円109.4%232億円7.3倍
合計71億円124.6%464億円8.1倍
 シンタリングペーストは半導体チップを接合するダイボンドペーストやはんだを代替する材料であり、耐熱性や放熱性に優れている。加圧タイプと無加圧タイプがあり、加圧タイプは放熱性や接合強度に優れるほか、基板の反りを防止できる。無加圧タイプは既存のダイボンダーの使用が可能であり、導入ハードルが低い。
 加圧タイプは主に自動車や発電所、電鉄などのIGBTパワーモジュールに使用されている。2017年頃より、IGBTパワーモジュールは欧米の自動車メーカーにおいて採用が本格化し市場は急拡大している。2023年頃から欧米メーカーによる採用車種が増加し、2025年頃から日系自動車メーカーでの採用も本格化するとみられることから、使用される加圧タイプの市場もさらなる拡大が期待される。
 無加圧タイプは放熱性向上を目的に、従来のはんだやエポキシ銀ペーストの代替としてパワーデバイスのほか、大出力LEDやRFデバイスなどに採用されている。特に5G基地局で採用が増加しているGaN RFデバイス向けの伸長が期待される。また、中長期的には鉛規制の強化によりパワーICやセンサーデバイスのチップ接合、Cuクリップ接合などで採用が広がるとみられる。
内容の詳細につきましては『2020 エレクトロニクス実装ニューマテリアル便覧』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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