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『2020 ディスプレイ関連市場の現状と将来展望』まとまる(2020/9/28発表 第20101号)
ディスプレイデバイス、関連部材の世界市場の調査結果 2020年は在宅勤務の広がりでノートパソコンやパソコン用モニター向けが増加
- ■2025年市場予測(2019年比)
- ■大型AMOLED 6,279億円(2.2倍)
- 2020年はノートパソコンやパソコン用モニターで需要増。今後はOLED−TVの伸びに期待
- ■マイクロOLED 2,804億円(33.0倍)
- スマートグラス向けで2021年以降大きく伸びる
- ■QDシート 286億円(70.2%増) QDインク 416億円
- QDインクは2021年のQD−OLEDの量産化に伴い市場形成
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、2020年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う在宅勤務の広がりにより、ノートパソコンやパソコン用モニターなどで需要が増える一方、スマートフォンや自動車で需要の落ち込みが目立つ、ディスプレイデバイスの世界市場を調査した。その結果を「2020 ディスプレイ関連市場の現状と将来展望」にまとめた。
この調査では、大型・中小型TFT、大型・中小型AMOLED、マイクロOLEDなどのディスプレイデバイスに加えて、それらを構成する部品材料、また、関連するアプリケーション機器の市場について、現状を調査し、将来を予想した。
- ■調査結果の概要
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■主要ディスプレイデバイスの世界市場
2020年見込 2019年比 2025年予測 2019年比 大型TFT 6兆5,233億円 94.9% 5兆9,001億円 85.8% 中小型TFT 1兆8,975億円 78.3% 2兆1,199億円 87.5% 大型AMOLED 3,284億円 116.6% 6,279億円 2.2倍 中小型AMOLED 2兆449億円 100.4% 2兆3,236億円 114.1% マイクロOLED 97億円 114.1% 2,804億円 33.0倍
2020年上半期は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、世界的に在宅勤務が広がったことから個人向けパソコンの需要が高まり、パソコン用モニターやノートパソコン向けが増加したほか、医療用モニターで特需が発生した。一方、テレビ向けはセット生産の低迷によりパネル出荷が落ち込んだため低調であった。2020年下半期は、パソコン用モニターや医療用モニター向けが引き続き好調で、テレビ向けの出荷が回復しつつあるものの、通年では2019年比5.1%減が見込まれる。2021年以降はパソコン用モニターやノートパソコン向けは減少に転じ、長期的にはOLED−TVの台頭によりテレビ向けも縮小するため、今後市場は微減で推移するとみられる。
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中小型TFTは、スマートフォン向けのウェイトが60%以上を占めていることから、その需給動向に市場が左右される。2019年はスマートフォンのセット生産が減少したのに加え、AMOLEDの採用比率が高まったため、中小型TFTの市場は2018年比9.5%減となった。
2020年は、ヘッドマウントディスプレイ向けは好調であるが、主力のスマートフォンや車載ディスプレイ向けが新型コロナウイルス感染症の感染拡大や米中貿易摩擦の影響により、大幅に減少するとみられ、市場は2019年比21.7%減が見込まれる。2021年以降は車載ディスプレイでの需要増加により、市場は回復に向かうものの、2025年時点でも2019年の市場を下回ると予想される。
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大型AMOLEDは、テレビやパソコン用モニター、ノートパソコン、タブレット端末、パブリック・サイネージモニター、医療用モニター、カラーマネジメントモニター、放送局用モニター向けを対象とした。
2020年上半期の市場は、主力のテレビ向けが低迷した一方、ノートパソコンでの採用が急速に本格化している。2020年下半期は、引き続きノートパソコンやタブレット端末向けが好調であり、また、テレビ向けも回復しつつあるため、2019年比16.6%増が見込まれる。
2021年以降は、テレビ向けに加え、ノートパソコンやタブレット端末向けが市場拡大をけん引するとみられる。サイズが大きく高単価であるテレビ向けを中心とした市場構造が続くものの、ノートパソコンの大幅な需要増加も市場拡大に寄与するとみられる。
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中小型AMOLEDは、スマートフォン向けが80%以上を占める。大手スマートフォンメーカーによるプラスチックAMOLEDの採用増加を背景に市場拡大が続いている。2020年は、スマートフォンのセット生産が落ち込んでいるものの、TFT LCDからの置き換え需要を取り込んでいるため、市場は微増が予想される。特に付加価値性が高いプラスチックAMOLEDの需要増加が市場拡大に寄与している。
2021年以降は、スマートフォン向けを中心に、スマートウォッチ・ヘルスケアバンド、ヘッドマウントディスプレイ、車載ディスプレイ向けの増加が予想される。2022年にはヘッドマウントディスプレイの新機種が投入され、また、車載ディスプレイでは高コントラスト、優れた黒色表示、ベンダブル応用を目的に、コスト高ではあるものの一部車種で採用が期待される。
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マイクロOLEDは、電子ビューファインダー(EVF)やスマートグラス、ヘッドアップディスプレイなどで採用されている。2019年時点ではミラーレスカメラおよびデジタルカメラ(DSC)のEVF向けが80%以上を占めている。
ミラーレスカメラおよびDSCにおけるEVF搭載率は上昇しているため、当面はEVF向けで堅調な需要が予想される。今後は、スマートグラスで急速な需要増加が予想され、2021年にはEVF向けを超えるとみられる。特にBtoC向けのMRスマートグラスでの採用が想定され、大きな伸びが期待される。
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■LCD・OLED関連部品材料の世界市場
2020年見込 2019年比 2025年予測 2019年比 LCD 1兆2,460億円 95.2% 1兆2,187億円 93.1% OLED 1,904億円 108.4% 3,885億円 2.2倍 LCD・OLED共通 8,832億円 93.5% 9,729億円 103.0%
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OLED関連部材9品目の2020年の市場は、2019年比8.4%増が見込まれる。プラスチックAMOLEDのTFT基板として採用されるポリイミドワニスやフォルダブル用カバー材料、Y−OCTA用オーバーコート剤が好調である。今後、中小型AMOLEDで「Y−OCTA」タイプのタッチセンサーが主流になるため、特にY−OCTA用オーバーコート剤が大きく伸びるとみられる。
- LCD・OLED共通関連部材6品目の2020年の市場は、各品目が前年割れになるとみられる。2021年には多くの品目が増加に転じるとみられ、以降は微増での市場推移が予想される。
- ■注目市場
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■QDシート、QDインク
2020年見込 2019年比 2025年予測 2019年比 QDシート 216億円 128.6% 286億円 170.2% QDインク − − 416億円 −
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QDシートは、LCDのバックライトユニットに採用される量子ドットシートを対象とした。
2019年時点では、需要の大半はSamsung El.の「QLED」向けであり、「QLED」製品の拡販に伴いQDシートの需要は増加している。2020年はテレビ市場が縮小する中でも「QLED」製品は比較的好調であり、また、新興メーカーを含めた他メーカーもハイエンドテレビ向けの技術としてQDシートの採用を進めていることから、市場は2019年比28.6%増が期待される。
2021年には、Samsung DisplayがQD−OLEDを量産する計画であり、2021年、2022年と大幅な市場拡大が期待される。また、中国テレビメーカーはミニLEDバックライトを採用したLCD−TVでHDR(ハイダイナミックレンジ)対応を進めるケースもみられ、ミニLEDを搭載するLCD−TVにおいてQDシートの採用増加が期待される。
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QDインクは、QD材料をバインダー樹脂に分散したインクジェット用材料を対象とした。QD−OLEDにおいて、光源の青色光を赤色光や緑色光に変換させるQD−CF向けの材料として検討が進められている。
Samsung Displayは2021年に青色OLEDとQD−CFを組み合わせたQD−OLEDを量産する計画であり、それによりQDインクの市場が立ち上がるとみられる。また、QD−CFはマイクロLEDディスプレイでの採用も想定され、今後はBtoBやホームシアターなどの最上位テレビに応用されるとみられることから、QDインクの需要増加が期待される。2021年以降、市場は順調に拡大し、2025年には416億円が予測される。
内容の詳細につきましては『2020 ディスプレイ関連市場の現状と将来展望』をご覧ください。
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