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『2020 クラウドコンピューティングの現状と将来展望(市場編)』まとまる(2020/5/28発表 第20055号)

パブリッククラウドの国内市場の調査結果 オンプレミス環境からの移行やデジタルトランスフォーメーションの実現を目的に導入が続く

2023年度予測(2018年度比)
パブリックラウドの国内市場 2兆1,887億円(2.1倍)
PaaS、IaaSが大幅に伸長。SaaSは2023年度に1兆円超え
SI全体市場に占めるパブリックラウド関連の割合 36.7%
コンサルティング/導入支援、ITリソース提供などの需要が増加

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現に向けて、迅速なシステム開発やIT環境の変化に対応するためますます需要が高まっているパブリッククラウドの市場を調査した。その結果を「2020 クラウドコンピューティングの現状と将来展望(市場編)」にまとめた。
 この調査ではパブリッククラウド(SaaS(業種汎用型/業種特化型)をはじめ、DaaS、IaaS/PaaS(仮想共有型/仮想専有型、物理専有型))の国内市場の現状を分析し、将来を予測した。また、「2020 クラウドコンピューティングの現状と将来展望(企業編)」では、メガクラウドベンダー3社、外資系ベンダー3社、コンピューターベンダー3社、SIベンダー4社、キャリア/サービスプロバイダー7社、CIベンダー12社のビジネス実績や戦略などを整理した。

調査結果の概要
パブリッククラウドの国内市場
 2019年度見込2023年度予測2018年度比
SaaS7,238億円1兆574億円168.6%
DaaS276億円468億円199.1%
PaaS1,603億円4,372億円4.0倍
IaaS3,474億円6,473億円2.4倍
合計1兆2,591億円2兆1,887億円2.1倍
 オンプレミス環境からの移行ニーズを捉え、市場は拡大を続けている。企業の基幹系システムでもコストや運用負担の低減を目的として、パブリッククラウドの利用は一般化しつつある。依然としてオンプレミス環境の社内システムを利用している企業は多いため、今後も市場拡大が予想される。また、経済産業省の「DXレポート」で指摘された「2025年の崖」※1の克服を目的に、システムの刷新やDXの実現を目指したパブリッククラウドの利用促進も期待される。
※1 複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムの残存や企業IT担当者の不足などに起因するさまざまな企業システムを取り巻く問題が2025年に表面化するとされている
 今後、複数のSaaSを組み合わせた利用やシステムごとにIaaS/PaaSを適材適所で活用するマルチクラウド、DXの実現を目的に、新規システム構築に際してパブリッククラウドを第一に優先するクラウドファーストの検討が増えるとみられる。広くパブリッククラウドの利用が進み、市場拡大を後押しすると予想される。
 カテゴリー別では、SaaSの構成比が大きく今後も堅調な伸びが予想されるが、PaaSやIaaSはさらに大幅な伸長が期待される。特に、PaaSはAIやIoT、データ分析などを推進するDXの実現、サーバーレスやコンテナなどの技術を活用しシステム基盤からアプリケーションまでをクラウド環境に最適化するクラウドネイティブの実現を目的としたニーズ拡大に伴い、大きく伸びるとみられる。
 SaaSは、スクラッチ開発やパッケージベースからの移行に加え、新規利用も拡大している。業種汎用型は、現状は情報系SaaSがけん引しているが、今後は基幹系SaaSやセキュリティ系SaaSの伸長が予想される。業種特化型は、「クラウド・バイ・デフォルト原則」※2を背景に公共向けSaaSの拡大が顕著である。
※2 各府省が政府情報システムを整備するにあたって、クラウドサービスの利用を第一候補として検討する方針
 DaaSは、運用負担の低減やセキュリティ強化などのニーズ拡大に伴い伸びている。特に、働き方改革をはじめとした職場環境の整備が目的の導入が伸びを後押ししている。また、2020年1月にサポート期間終了を迎えた「Windows 7」からの移行を背景とした利用も増えている。
 PaaSは、アプリケーション開発・実行・連携およびデータベース/データウェアハウスとしての需要が増えている。DXやクラウドネイティブの実現を目指したニーズが伸びを後押しするとみられる。特にAI領域に関しては、サービスラインアップが拡充しており、今後も高い伸びが期待される。
 IaaSは、社内システムのオンプレミス環境からの移行が進んでいることから、需要が増えている。仮想共有型/仮想専有型がけん引しているが、セキュリティや処理能力に優位性のある物理専有型も好調である。今後は、データ蓄積/処理などを目的としたDX用途での需要増加も期待される。
SI全体市場に占めるパブリッククラウド関連市場
 2018年度2023年度予測2018年度比
SI全体10兆8,400億円12兆5,200億円115.5%
 パブリックラウド関連1兆8,305億円4兆6,000億円2.5倍
パブリッククラウド関連は全体の内数
 パブリッククラウドの普及により、関連SIの市場も拡大し、2023年度には2018年度比2.5倍の4兆6,000億円が予測される。
 SI全体市場におけるパブリッククラウド関連の比率は、2018年度で16.9%となった。今後もパブリッククラウド関連SIの比率は拡大し、2023年度には36.7%になるとみられる。
 レイヤー別では、アプリケーション、プラットフォームともに伸びるが、特にプラットフォームでコンサルティング/導入支援、ITリソース提供、運用サービスなどの大幅な伸長が予想される。
注目市場
IaaS/PaaS市場(リソースタイプ別)
 2019年度見込2023年度予測2018年度比
仮想共有型/仮想専有型5,364億円1兆930億円2.7倍
物理専有型954億円1,983億円2.6倍
合計6,318億円1兆2,913億円2.7倍
市場はクラウドインテグレーション(コンサルティング/導入支援、運用サービス)を含む
 仮想共有型/仮想専有型は、ソーシャルゲームのプラットフォームをはじめとしたサービスプロバイダー向けのサービス基盤として導入が先行していたが、近年は一般企業の社内システムにおける基幹系システムの移行需要が高まっており、市場拡大に寄与している。拡張性の高さや導入までの迅速さなどがユーザーに受け入れられている。
 メガクラウドベンダー※3が、スケールメリットを生かしたビジネスを展開しており、多くの国内ベンダーもユーザーニーズに対応するために、メガクラウドサービスの取り扱いを推進している。特にPaaSでは、国内ベンダーがメガクラウドサービスを主体にユーザーに提案するケースが増えている。
※3 アマゾン ウェブ サービス ジャパン、グーグル・クラウド・ジャパン、日本マイクロソフト
 業種別では、サービスプロバイダーの利用が先行したこともあり、情報通信サービス業をはじめとしたサービス業の比率が高いものの、製造業や金融業、流通業などの一般企業や公共向けの比率が拡大している。金融業や公共では、セキュリティの信頼性向上をはじめ、以前よりも利用の障壁が低くなってきており、金融業では、新規ビジネスにおけるシステム基盤用途での利用が先行し、基幹系システム用途での採用も増えている。公共向けでは、2018年6月に政府が公表した「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」における方針の一つとして「クラウド・バイ・デフォルト原則」が打ち出されたことを契機に、中央省庁および地方自治体で需要が増えている。
 物理専有型は、基幹系システムなど社内システムの基盤としての導入が増えている。これまでは外資系やコンピューターベンダーによるサービス展開が中心であったが、メガクラウドベンダー各社も物理専有型の提供を開始しているほか、注力度を高めるクラウドベンダーもみられ市場は活性化しており、今後の拡大が期待される。
 基幹系システムをはじめとした社内システムの基盤として利用されるケースが多く、製造業や流通業などの一般企業の比率が高い。セキュリティ面で強固な利点もあり、今後は金融業や公共の導入増加が期待される。
内容の詳細につきましてはこちらのページ(市場編企業編)をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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