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『次世代映像ビジネス総覧 2020』まとまる(2020/4/3発表 第20032号)

映像ソリューション・ビジネスの国内市場を調査 多様な事業者の参入や映像コンテンツ活用の広がりで拡大が続く

2024年市場予測(2018年比)
映像ソリューション・ビジネス 2兆3,185億円(19.8%増)
AR/VR/MRソリューションやコンテンツ配信プラットフォームなどが大きく伸びる
AR/VR/MRソリューション 448億円(7.6倍)
製造業における現場作業支援、技術研修や安全教育などで需要増加

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、デバイス/機器/システムメーカーに加えて、システム提案・設計からメンテナンスまでを手掛けるSIer・AVディーラー・電設業者や、サービスを提供するソリューションベンダー・通信事業者、コンテンツ制作会社、企画会社・広告代理店など多様な事業者が、さまざまなビジネス・サービス形態で参入し活性化している映像ソリューション・ビジネスの国内市場を調査した。その結果を「次世代映像ビジネス総覧 2020」にまとめた。
 この報告書では、会議や教育、デジタルサイネージ、AR/VR/MRなどに関する映像ソリューション・ビジネス11品目に加え、映像ソリューションを構成する主要なソフト3品目、機器・システム21品目を対象に国内の市場規模推移、メーカー・ベンダーシェア、需要先別動向、技術トレンド、今後の方向性などを捉えた。

調査結果の概要
映像ソリューション・ビジネスの国内市場
  2019年見込 2018年比 2024年予測 2018年比
全体 2兆477億円 105.8% 2兆3,185億円 119.8%
 AR/VR/MR 70億円 118.6% 448億円 7.6倍
 コンテンツ配信 395億円 112.9% 682億円 194.9%
 官公庁自治体向け 197億円 118.7% 324億円 195.2%
AR/VR/MR(AR/VR/MRソリューション)、コンテンツ配信(コンテンツ配信プラットフォーム)、官公庁自治体向け(官公庁自治体向けソリューション)は全体の内数
 一般企業や教育機関における働き方改革やICT環境整備/利活用の推進のほか、インバウンド需要の増加や業務の利便性向上や防犯意識の高まりなどを背景に会議、教育、セキュリティソリューションを中心に市場は拡大している。また、それらに加えて幅広い分野・用途で映像コンテンツの活用が広がり、特にAR/VR/MRソリューション、コンテンツ配信プラットフォーム、官公庁自治体向けソリューションは高い伸びが予想される。
 AR/VR/MRソリューションは、最も高い伸びが予想される。製造業における現場作業支援や技術研修用途などでの需要増に加え、今後も5Gの普及に伴い高速化・大容量通信が可能になることにより、活用の広がりが期待される。
 コンテンツ配信プラットフォームは、スマートフォンやタブレット端末を用いた動画視聴時間が増えており、それに伴う配信需要の増加により伸びている。今後、5Gの普及に伴い高画質なコンテンツが楽しめる環境が整うことから、長期的な伸びが期待される。
 官公庁自治体向けソリューションは、自然災害時に、迅速に情報を取得/表示/共有するデジタルサイネージシステムの導入が大幅に増えるとみられる。
 その他、遠隔画像診断サービスが伸びている医用画像ソリューション、最も市場規模の大きい映像制作ビジネスなども安定した需要が想定される。
映像機器・システムの国内市場
2019年見込 2018年比 2024年予測 2018年比
3,776億円 107.4% 4,539億円 129.1%
 表示機器や配信・伝送機器、会議/通信機器・システムを中心に市場は拡大している。東京五輪後の需要が減少する機器やシステムがあるものの、一般企業や教育機関を中心とした働き方改革やICT環境整備の推進に伴い、今後も多くの機器・システムで安定した需要が予想される。特にパブリックディスプレイやスマートグラス・HMD、タブレット端末などの表示機器は、BtoBにおける映像コンテンツの利活用の増加や、大画面・高解像度化の進行による単価上昇などで伸びが期待される。
 ドローンやスマートグラス・HMDなどは現状の市場規模は小さいものの、個人用途だけではなく業務用途での活用が本格的に広がるとみられ、大幅な伸びが期待される。また、働き方改革推進や教育のICT化に関連するタブレット端末やワイヤレスプレゼンテーションユニット、パブリックディスプレイ、また、5Gの普及により利用用途が多様化するデジタルサイネージ用STBやWeb会議システムなどの機器・システムも伸びが予想される。
注目ソリューション
AR/VR/MRソリューション
2019年見込2018年比2024年予測2018年比
70億円118.6%448億円7.6倍
 AR/VR/MRを実現するために必要となるスマートグラス・HMDとコンテンツ制作を対象とした。
 エンターテインメント用途が市場をけん引してきたが、VRやARの目新しさが薄まっているため、伸びは鈍化している。一方、製造現場などで需要が増加しており、ARは製造業における現場作業支援で、VRは技術研修や安全教育、設計レビューなどで利用が広がりつつある。現状はトライアルが中心であるが、有用性が認められつつあり、2020年以降は本格導入が進むと予想される。5Gの普及に伴い、高速化・大容量通信が実現できるため、Wi−Fiが利用できない環境でもコンテンツのライブ配信が可能になり、活用の幅が広がると期待される。ハードウェアの進化によりシステム構築の幅が広がり、ハードウェアの進化とともにさまざまな用途での需要増加が期待される。
 また、5Gの利便性訴求のためにデモンストレーションとしての活用も多く、通信事業者が5Gの本格普及に向けたデモンストレーションに利用する機会が当面は増えるとみられる。また、キラーコンテンツが登場した場合には大幅な需要増加も期待される。
教育ソリューション
2019年見込2018年比2024年予測2018年比
187億円114.7%222億円136.2%
 授業や講義で利用される機器・システムを対象とする。
 学校ICT環境の整備を進めるため、多人数への情報伝達を主目的に講義システムや電子黒板を含めた大型提示装置として映像機器が導入/活用されている。現状は、価格メリットの大きいビジネスプロジェクターが中心であるが、インタラクティブホワイトボード(FPD型)やパブリックディスプレイは操作性や視認性に対する評価が高いことから、低価格化とともにこれらへのシフトが進むとみられる。小中高校や特別支援学校の普通教室の大型提示装置の整備率は50%強にとどまっていることから、当面はインタラクティブホワイトボード(FPD型)やパブリックディスプレイ、ビジネスプロジェクターなどの導入や整備が続くと予想される。
 教育予算は他のICT機器・設備の整備を含めた編成であるため導入時期の相違はあるものの、引き続きICT環境整備の一環として映像機器・システムの導入が進められることで、今後も安定した需要が期待される。
 また、ハードウェアとしては仕様面でのメーカーや製品間の差が無くなってきているため、他の機器との連携やソフト・アプリを含めた機能面の充実、操作性や使い勝手の向上などによる差別化が図られるとみられる。
デジタルサイネージソリューション
2019年見込2018年比2024年予測2018年比
1,955億円117.8%3,050億円183.8%
 各種ディスプレイおよび配信システムおよび設置/施工を含めた「システム販売/構築ビジネス」、配信システムユーザー向けの「コンテンツ制作/配信ビジネス」「広告ビジネス」を対象とする。
 「システム販売/構築ビジネス」は、パブリックディスプレイやデジタルサイネージ用STBが中心である。東京五輪に向けて首都圏の交通機関、自治体施設、公共施設、大型商業施設などで新設需要や追加・リプレース需要が、機器および配信システムの低価格化もあり好調である。「コンテンツ制作/配信ビジネス」は、クラウド型の配信サービス拡充が進むとみられ、配信システム稼働数/業務委託数の増加に比例して、今後も堅調な伸びが期待される。「広告ビジネス」は、媒体数の増加に加えて、デジタルサイネージアドネットワークによる媒体価値向上や効率化が進むことにより、これまで市場をけん引してきた交通広告に加えて、インストアメディアによるビジネス展開が期待される。
 訪日外国人(インバウンド)向けに交通機関や宿泊施設を含めた公共性の高い施設分野での多言語対応ソリューションや防災・減災ソリューションの提案増加、また、店舗・商業施設ではマーケティングやコミュニティーツールとして顔認証・画像認識や行動・購買分析、チャットボット・音声認識、SNS連携のソリューションなど、従来システムの付加機能や差別化を目的とした周辺・関連ソリューションを絡めた提案の増加なども市場拡大の追い風になると期待される。
注目市場
インタラクティブホワイトボード
2019年見込2018年比2024年予測2018年比
112億円114.3%135億円137.8%
 インタラクティブホワイトボードは、インタラクティブ機能を搭載した電子黒板を対象とした。ディスプレイ一体型製品(FPD型)、プロジェクターに機能を搭載したプロジェクター一体型(PJ内蔵型)、その他(ボード一体型、ユニットタイプなど)に分類される。
 教育機関におけるICT環境整備の推進、一般企業における会議やプレゼンテーションの多様化により、市場は拡大している。当初はFPD型やその他が中心であったが、短焦点製品の増加や高輝度化・低価格化の進展により、PJ内蔵型の需要が増加し、現在はFPD型とPJ内蔵型が市場拡大をけん引している。
 教育機関においては、電子黒板を含む大型装置の整備が進められており、価格メリットの大きいPJ内蔵型が中心である。一方、FPD型は働き方改革の推進が追い風となり一般企業での需要が増加している。
ワイヤレスプレゼンテーションユニット
2019年見込2018年比2024年予測2018年比
16億円160.0%25億円2.5倍
 ワイヤレスプレゼンテーションユニットは、会議室や教室に設置されているディスプレイに本体(受信機)を接続し、ノートパソコンやタブレット端末、スマートフォンなどのデバイスに専用ソフトをインストール、また、送信機を接続することで、ワイヤレスかつボタン一つで複数画面の同時表示や切り替えが可能となる。
 2000年代後半に製品化され、当初はデバイスにあらかじめ専用ソフトのインストールが必要な製品が主流であったが、送信機をUSB端子に装着するだけで使用できる製品が発売され、接続・セッティングの簡便化や操作性の向上が図られたことにより、ユーザー層の広がりと需要増加につながった。さらに、働き方改革の推進に伴う会議の効率化や質の向上に対する意識の高まりを受け、注目度が一層高まっている。参入企業の増加や低価格化の進行、また、潜在需要も大きいとみられ、今後も市場拡大が予想される。
内容の詳細につきましては『次世代映像ビジネス総覧 2020』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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