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『ウェアラブル/ヘルスケアビジネス総調査 2020』まとまる(2020/3/9発表 第20021号)

ヘルスケアビジネス関連市場を調査 新たなヘルスケアサービス、利活用が一層進むウェアラブル端末市場を展望

2024年国内市場予測(2018年比)
オンラインフィットネスは12億円(3.0倍)
特に、女性の利用が伸長。法人需要も増加
スマート衣料は135億円(15.0倍)
スポーツ関連では新たな用途の掘り起こしが進展、医療関連では医療機器としての展開に期待
スマートウォッチは550億円(52.8%増)
機能向上とともに用途が広がり需要が増加

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、国民の健康寿命延伸を図った政府のヘルスケアに関する取り組みが進む一方で、AI/IoTやウェアラブル端末の利活用により高機能化/高付加価値化が進展するヘルスケア関連のサービス/システム、機器、計33品目の市場を調査・分析した。その結果を「ウェアラブル/ヘルスケアビジネス総調査 2020」にまとめた。
 この調査では、ヘルスケア関連のサービス/システム13品目、機器16品目、計29品目の国内市場を「健康管理・増進」「医療・介護・サポート」「動物・ペット管理」「ヘルスケア周辺機器」の4カテゴリーに分類し、カテゴリーごとの分析も行った。なお、機器に関しては、利活用が一層進むウェアラブル端末について別途抽出し、市場の将来を展望した。

注目市場(国内)
1. オンラインフィットネス(サービス/システム)
2019年見込2018年比2024年予測2018年比
5億円125.0%12億円3.0倍
 スマートフォンやタブレット端末、PCなどを通じて、専属トレーナーから食事指導、エクササイズやトレーニングメニューの提供を受けられる有料サービスを対象とした。
 「仕事や子育てなどでフィットネスクラブに行く時間が確保できない」「フィットネスクラブが近所にない」「低価格でパーソナルトレーニングを受けたい」「筋力強化よりもダイエットのために気軽に生活習慣を見直したい」などといった理由から市場が拡大しており、特に、女性の利用が伸びている。また、厚生労働省の「安全衛生優良企業公表制度」や経済産業省の「健康経営優良法人認定制度」などから、法人需要も増加している。
 ヘルスケアに関わるBtoCビジネス企業と協業した健康食品メーカーや保険会社などによる、トレーニングという側面での消費者アプローチも増加していることから、今後も市場は拡大すると予想される。
2. スマート衣料(機器)
2019年見込2018年比2024年予測2018年比
18億円2.0倍135億円15.0倍
 導電性繊維などを使用し、着用することでバイタルセンシングを行う、人向けのウェアラブル端末を対象とした。肌着やスポーツウェア、靴下、ストッキング、帽子、ネックレスなど、さまざまなタイプがある。
 2018年は繊維業界から主要企業の新規参入、製品投入が活発化し、市場は企業の従業員健康管理向けを中心に拡大した。2019年には帝人フロンティアが参入したことで、さらに市場が活性化している。
 スポーツ関連ではモーションセンシングなど、新たな用途の掘り起こしが進むとみられる。また、医療関連では心電計や解析ソフトウェアの搭載によって不整脈の検知、てんかん発作の事前通知、入院患者や介護施設入居者のデータ計測や健康管理用の着衣としても開発が進められており、2022年頃には医療機器としての展開も期待される。試験導入しているところも多く、今後成果として従業員の健康増進や働き方改革、業務効率化につながるなどのエビデンス構築が進めば、市場はさらに拡大すると予想される。
3. スマートウォッチ(機器)
2019年見込2018年比2024年予測2018年比
400億円111.1%550億円152.8%
 スマートウォッチは大半の製品が心拍数や歩数などのバイタルデータを計測でき、ヘルスケアやトレーニング関連で活用が増えている。海外では参入メーカーが増加しており、2018年と2019年はヘルスケアへの関心が高い北米や欧州と、関心が急速に高まっている中国で市場が大きく拡大している。
 国内では、バイタルデータ計測や東京五輪を契機としたスポーツ関連の需要増加に伴い、市場が拡大している。2021年以降も機能向上とともに用途が広がり、需要増加が続くと予想される。なお、多機能で安価な製品を展開する中国メーカーのシェアが徐々に高まるとみられることから、単価は少しずつ下降していくと予想される。
4. ベットシート型センサー(機器)
2019年見込2018年比2024年予測2018年比
22億円137.5%160億円10.0倍
 身体には装着せず、マットレスなどの下に設置してその上に寝ることで心拍、呼吸、体動、いびきなどを検知して睡眠状態などを把握する製品を対象とした。収集したデータにより快眠のためのアドバイスなどが可能となる。また、寝ているか・起きているか、座っているか・横になっているかなど、ベッドにいる状況を確認することができるため、介護施設や老人ホームなどでは入居者の見守り用途で使用されている。
 高齢者人口が増えていることから介護施設や、運送事業者などでも需要が増加すると予想される。厚生労働省による介護ロボットの開発・普及の促進や国土交通省の事故防止対策推進事業における「過労運転防止のための先進的な取り組みに対する支援」などの補助金を利用した導入が多くなるとみられる。介護施設などでは睡眠状態をリアルタイムで計測できる製品もあることから効果的な入居者ケアができる。また、運送事業者では休息期間における運転者の睡眠状態を把握し、安全運転の可否判断に役立てることができる。今後も市場は堅調に拡大すると予想される。
調査結果の概要
国内ヘルスケアビジネス関連市場
1. 全体市場
 2019年見込2018年比2024年予測2018年比
サービス/システム2,346億円109.6%3,856億円180.2%
機器1,272億円108.4%2,125億円181.2%
合計3,619億円109.2%5,981億円180.5%
注:市場データは四捨五入している
 サービス/システムおよび機器29品目を対象とした国内市場は、2024年にかけて年平均10%超の成長が続くと予想される。
 サービス/システムでは、BtoC向けの健康管理支援サービスが無料アプリの増加や継続的な課金ユーザーの獲得に苦戦していることから微増にとどまる。一方、BtoBtoC向けのPHR(Personal Health Record)関連システムや保健指導支援サービスは政府による健康経営推進施策や、働き方改革/人手不足に伴う効率的な労働環境の整備に企業が注力していることから、また、簡易検査サービスやDTC遺伝子検査サービスなどは健康に関する意識の高まりから堅調な伸びが期待される。
 機器では、バイタルデータの計測が活動量計やヘルスケアバンド、ランニングウォッチから多機能化が進むスマートウォッチへ移行している。また、スマート衣料の伸びも市場拡大に寄与するとみられる。伸長率が高いのはスマートグラスである。
2. カテゴリー別市場
 2019年見込2018年比2024年予測2018年比
医療・介護・サポート2,332億円109.7%3,939億円185.3%
健康管理・増進851億円106.4%1,114億円139.3%
動物・ペット管理20億円142.9%106億円7.6倍
ヘルスケア周辺機器415億円111.0%822億円2.2倍
 医療・介護・サポート市場が全体市場の60%以上を占める。高齢者人口の増加とともに市場は拡大が予想される。規模が大きいのは高齢者見守りサービスで、その伸長が市場の拡大をけん引していくとみられる。また、規模は小さいが遠隔診療サービスが伸び、介護支援システムは堅調な需要が期待される。機器では、ベッドシート型センサーが睡眠状態とその質の検知、把握、また、見守りなどといった用途で今後の本格的な普及が期待される。
 健康管理・増進市場はBtoBtoC向けの伸びとともに拡大するとみられるが、普及が一段落した機器も多いことから、今後全体市場に対する構成比は縮小していく。
 健康管理支援サービスは課金サービスが伸び悩む一方で、画像認識によって自動で料理写真からカロリー管理をするサービスなど、テクノロジーを駆使した新しいサービスは好評である。保健指導支援サービスやオンラインフィットネスなど、人的アドバイスが連動したサービスも健康管理マインドの向上から支持されている。従業員向け健康管理サービスは過酷な環境下での適切な労働管理や交通機関ドライバーの健康管理を目的に導入が進んでいる。スマート衣料は新たな用途の掘り起こしなどが進み今後も伸長するとみられる。その他の機器は東京五輪の影響で一時的に伸びる製品もあるが、普及が進んだことやスマートウォッチへの需要流出により横ばいとみられる。
 動物・ペット管理市場は動物健康管理ウェアラブルとペット管理用チップを対象としている。市場規模は小さいが、2024年にかけて年平均40%超の高成長が予想される。動物健康管理ウェアラブルは効率的な管理につながるなど、今後も高成長が期待される。ペット管理用チップは2019年6月に改正動物愛護法が施行され、装着が義務化されたことで、ペットショップにおける標準装着や飼育ペットでも装着が徐々に進んでいる。
 ヘルスケア周辺機器市場はスマートウォッチの需要増加に加え、スマートグラスの本格的な製品投入によって、2024年にかけて拡大するとみられる。
 スマートウォッチはバイタルデータが計測できることからヘルスケア利用の位置付けが上昇しており、参入メーカー各社の注力度も高まりつつある。スマートグラスは作業管理向けなどが多く、現状、利用用途は限定的である。今後は5G環境が整備されることによりAR/VRなどを活用した映像伝送などで2022年頃から高成長が期待される。また、作業管理向けにバイタルデータ計測機能なども今後搭載される可能性もあり、ヘルスケア利用の増加も期待される。ヘッドホン/イヤホンのうち、耳でバイタルデータを計測するヒアラブルデバイスは、音楽鑑賞など日常利用と同時にバイタルデータを計測したいユーザーからの需要増加が期待される。
内容の詳細につきましては『ウェアラブル/ヘルスケアビジネス総調査 2020』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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