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『2019 ディスプレイ関連市場の現状と将来展望(下巻)』まとまる(2020/2/25発表 第20016号)

OLEDやLCDなどディスプレイの関連部材市場を調査 フォルダブル用部材、広色域を実現するQD部材などに注目

2024年世界市場予測
フォルダブル用カバー材料 455億円
2019年に本格的に市場形成され、透明PIフィルムがけん引
QD関連 936億円(2018年比7.1倍)
QDシートがTV向けを中心に採用、QDインクは量産技術が確立される22年以降急拡大

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、ディスプレイの需要増加によりOLED関連部材が好調で、高コントラストや広色域を実現する高付加価値LCD向けの拡大が期待されるLCD関連部材など、ディスプレイ関連部材の世界市場を調査した。その結果を「2019 ディスプレイ関連市場の現状と将来展望(下巻)」にまとめた。
 この調査では、LCD・OLED共通関連部材5品目、LCD関連部材15品目、OLED関連部材14品目、タッチパネル関連部材6品目を調査・分析した。なお、ディスプレイデバイスの市場は「同(上巻)」でまとめており、結果は2019年12月2日に発表している。

注目市場
フォルダブル用カバー材料世界市場
 2019年見込2018年比2024年予測2018年比
透明PIフィルム34億円392億円
フレキシブルガラス僅少63億円
合計34億円455億円
 フォルダブルディスプレイのカバー材料に使用される透明ポリイミド(以下、PI)フィルムとフレキシブルガラスを対象とする。
 2019年に発売されたフォルダブルスマートフォンには透明PIフィルムが採用されており、市場は34億円が見込まれる。透明PIフィルムは耐久性や光学特性に課題があるため、折れ筋が発生せず筐体が歪まないフレキシブルガラスの採用も検討されている。しかし、フレキシブルガラスは割れに対する強度や屈曲半径の小径化が課題であり、当面は透明PIフィルムが中心になるとみられ、市場は2024年で透明PIフィルムが392億円、フレキシブルガラスが63億円と予測される。
参考:ディスプレイ(フォルダブルAMOLED)世界市場
2019年見込2018年比2024年予測2018年比
114億円3,315億円
 フォルダブルディスプレイは、折りたためるディスプレイである。
 2019年にSamsung El.「Galaxy Fold」やHuawei「Mate X」など、AMOLEDを採用した見開き型のフォルダブルスマートフォンが発売された。これによりフォルダブルAMOLED市場が形成され、2019年の市場は114億円が見込まれる。2020年にはSamsung El.の新機種フォルダブルスマートフォン投入により市場は引き続き拡大し309億円が予測される。
 フォルダブルAMOLEDを採用する最終製品としては、スマートフォン以外にも、タブレット端末、ノートPCなどが想定されている。端末需要の増加とフォルダブルAMOLED市場の拡大には、フォルダブルを生かせるアプリケーションの開発なども重要とみられる。
QD関連世界市場
 2019年見込2018年比2024年予測2018年比
QDシート200億円152.7%407億円3.1倍
QDインク529億円
合計200億円152.7%936億円7.1倍
 QD(Quantum Dot/量子ドット)は、特殊な光学特性を持つ半導体のナノ粒子であり、ディスプレイに応用することで広色域を実現できる。材料はセレン化カドミウムが代表的だが、カドミウムは重金属であるため環境規制に抵触するケースが多く、カドミウムフリー材料の開発が重要になっている。
 QDシート
 LCDのバックライトユニットに採用されるQDシートを対象とした。高付加価値LCD向け材料であり、QDシートをバックライトに組み込んだQD-LCDが量産され、TVを中心に採用されている。
 Samsung El.のQD-LCD(QLED)TV向けを中心に需要が増加している。Samsung El.のほか、Vizio、TCL、Hisenseなど中国メーカーもQDシートを採用したTVを投入しており、2019年の市場は200億円が見込まれる。QDシートの低価格化が進んでいることから、2020年はSamsung El.がQDシートを採用したTVの展開をミドルレンジまで広げるほか、HuaweiからもQDシートを採用したTVの投入が予定されおり、QDシート市場の拡大が続くとみられる。
 今後は、中国TVメーカーによるQDシートの採用が増えるとみられるが、Samsung El.はQDシートを使用しないQD-OLEDの開発を進めており、2022年以降は市場の伸びは落ち着き、2024年には407億円が予測される。
 QDインク
 QDをバインダー樹脂に分散したインクジェット用材料を対象とした。光源の青色光を赤色光や緑色光に変換させる材料として、LCD、OLEDとマイクロLED向けでの採用を想定した開発が行われている。
 2019年は開発用のサンプル出荷のみであり、市場は形成されていない。QD-OLEDの開発が難航しており、量産技術の確立には時間を要するとみられることから、QDインクの市場形成時期は2022年ごろになるとみられる。
 また、QDマイクロLED向けの市場も立ち上がると予想されるが、マイクロLEDはQD-OLED以上に量産技術の確立とコストダウンが課題になっており、まずは非コンシューマー向けの展開が中心になるとみられる。
 2022年以降QD-OLED、QD-マイクロLEDの拡大とともに材料需要が喚起され、2024年にはQDシートの市場を上回る529億円が予測される。
調査結果の概要
LCD・OLED関連部材世界市場
 2019年見込2018年比2024年予測2018年比
LCD関連部材 2兆7,734億円 96.9% 2兆8,413億円 99.3%
OLED関連部材 2,020億円 114.1% 4,642億円 2.6倍
LCD・OLED共通関連部材 9,216億円 94.2% 9,702億円 99.2%
 OLED関連部材はスマートフォン、TV向けを中心としたAMOLEDディスプレイの需要増加により市場が拡大している。蒸着型発光材料(EML)や円偏光板などの部材が今後も安定した需要が予想されるほか、将来的には、フォルダブル用カバー材料などフォルダブル用部材、塗布型発光材料などインクジェット対応部材、QDインクなどQD−OLED用部材といった新規ディスプレイデバイス向け部材の拡大も期待される。
 LCD関連部材やLCD向けの比率が高いLCD・OLED共通関連部材の市場は、2019年第三四半期以降のTV用LCDの生産調整の影響により低迷している品目も多く、共に縮小が予想される。今後はディスプレイの安定的な枚数や面積ベースの増加、車載ディスプレイに関わる部材、高コントラストや広色域を実現する高付加価値LCD用部材などの伸びにより緩やかながら拡大するとみられる。
内容の詳細につきましては『2019 ディスプレイ関連市場の現状と将来展望(下巻)』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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