プレスリリースプレスリリースPress Releases

『2018 人工知能ビジネス総調査』まとまる(2018/1/12発表 第18002号)

“働き方改革”でAIの活用が各業種から注目される国内のAI(人工知能)ビジネス市場をソリューション別・業種別に調査

2030年度市場予測(2016年度比)
金融業 コンタクトセンターでAI導入が広がり5,860億円(7.2倍)
RPA×AI 事務作業効率化を目的に、さまざまな業種で導入が進み363億円(51.9倍)

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は労働人口の減少や長時間労働、業務プロセスの改善といった課題解決のために注目されているAI(人工知能)ビジネスの国内市場を調査した。その結果を「2018 人工知能ビジネス総調査」にまとめた。

 この報告書ではAIを活用した分析サービスや、AI環境を構築するためのコンサルティング、SI、AI環境を支えるプロダクト(ハードウェア、ソフトウェア)やクラウドサービス(SaaS、IaaS/PaaS)などのAI関連ソリューションをAIビジネスとし、その市場を調査・分析した。AIビジネス市場の業種別動向や、AI活用が期待される6つの注目市場、AIビジネス参入企業25社の動向を把握するなど、総合的にAIビジネス市場を捉え将来を展望した。

調査結果の概要
AIビジネスの国内市場
2018 人工知能ビジネス総調査:AIビジネスの国内市場動向グラフ  2016年度はAI関連技術で多くの実証実験(PoC)がスタートし、2017年度はAIの本格運用に向けた導入期となった。今後実証実験が進むにつれ、実稼働に移行する案件が増加する。2019年度から2021年度にかけて市場は成長期を迎え、AI関連技術は企業経営に不可欠なIT技術として浸透していくとみられる。
 サービスはSI(システムインテグレーション)中心に市場が拡大するとみられる。AI実装に向けたコンサルティングや導入検証を経て、AI環境の本格的な構築が進むとみられる。
 アプリケーションはAI搭載製品を中心に市場が拡大すると予想される。2016年度はデータマイニング、テキストマイニングなどアナリティクス関連製品のソフトウェア導入が中心となったが、今後は営業支援システム、デジタルマーケティングなど、SaaS化が進んでいるアプリケーションにおいてAI搭載が進むとみられる。2016年度のSaaS利用の割合は全体の31.1%にとどまったが、2030年度には60.2%とソフトウェア導入の割合を上回るとみられる。
 プラットフォームは、クラウドやAPIで提供されるAI/コグニティブサービスに対する需要が高まっている。2016年度は、クラウドでの利用がPoCなど小規模にとどまり、実稼働基盤としてはハードウェア/ソフトウェアを自ら導入してオンプレミスで構築するケースが多くみられた。将来的には機械学習やディープラーニングなど高演算処理が可能なPaaSが普及し、クラウドでの利用が一般的になるとみられる。
業種別動向
 2016年度2030年度予測
プロセス製造業265億円1,540億円
組立製造業383億円2,240億円
金融業813億円5,860億円
公共/教育業169億円1,920億円
 業種別でみると、金融業の割合が大きく、組立製造業、情報通信業と続く。金融業ではAIに対して多額の投資を行っているものの、実証実験が長期化しており実用化は2018年度以降に進むとみられる。製造業ではIoTとの連携が加速しており、他業種よりも早期に実用化が進む。そのほか、働き方改革という業種共通の課題を解決する技術が注目されている。
 プロセス製造業ではロボットや機器に設置したセンサーデータをもとにAIによる制御や管理を行う工場内管理が中心となっている。特に注目されるプラント管理は、実証実験が長期化しているものの、プラント自体の企画・設計から施工、運転・メンテナンスと幅広い領域でのAI活用が期待される。また、バイオ産業に参入する企業では膨大な研究データや実験データを、AIを活用して解析し、新製品の発見や開発などにつなげるといった取り組みが広がっている。
 組立製造業ではセンサーデータをAIで解析し、故障予知、省エネ、機器稼働の最適化、画像による検品や品質管理などで活用が進むとみられる。経営/生産管理では、需要予測、生産適正化の精度を高める手段としてAIの活用が期待され、機器稼働管理は、稼働状況の確認や故障予知、消耗品の補充など、主にアフターサービス分野での需要が増加する。また、製品開発では、ユーザー評価を総合的に解析して製品開発につなげるといった活用が考えられる。
 金融業では積極的にAIの導入が行われており、2016年度はAIビジネス市場全体の30.1%を占めた。顧客管理系ではコンタクトセンターでのAI導入がメガバンクに続き、地銀、証券、保険などでも進んでおり、市場は拡大していくとみられる。審査/予測系では、証券会社における取引システムにAIによる株価予測機能を組み込む動きがみられる。
 公共/教育業では洪水対策、地震対策、台風対策、土砂災害対策など防災対策でAIの導入が進んでおり、実証実験段階の案件が多いものの、徐々に実導入案件も増加している。住民サービス支援は、チャットボットやコンタクトセンターでの問い合わせ対応で導入が検討されている。
注目市場
RPA×AI
2016年度2030年度予測
7億円363億円
 RPAを実現するためのスクリプト開発ツールや実行ツール、ソフトウェアロボットの管理ツール、RPA環境を構築・維持するための上位サービス、システム構築、運用・保守を対象とする。
 大規模なコンタクトセンターや膨大な契約処理が集中する事務処理センターを保有する金融業で導入が先行しているほか、通信キャリアなどの情報通信業でも導入が進んでいる。事務作業はどの業界でも発生するため、今後も需要は増加するとみられる。企業数の多い製造業や卸売/小売業などの業界でも導入が検討されている。
チャットボット×AI
2016年度2030年度予測
僅少150億円
 チャットプラットフォーム(インターネットを含むコンピューターネットワーク上のデータ通信回線を利用したリアルタイムコミュニケーションツール)上において、自然言語処理技術や音声認識技術などを活用した自動応答システムである。自然言語処理や音声認識といったAIエンジン基盤とユーザー側でFAQなどのデータ学習が可能な管理機能を有しているチャットボット専用製品/サービスを対象とする。
 顧客対応ツールとして、FAQなどの自動応答を実現するチャットボットは、ECを展開するネットサービス業を中心に需要が増加している。今後は、ネットサービス業のみでなく、医療や金融など幅広い業種で需要が増加するとみられる。
内容の詳細につきましては『2018 人工知能ビジネス総調査』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)
 

ページトップ