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『2017 センサーデバイス/ビッグデータ・IoT市場調査総覧(上巻)』まとまる(2017/4/11発表 第17032号)
IoTへの対応や自動車のADAS、ヘルスケアバンドなどで幅広く活用が進むセンサーの世界市場を調査
- ■2020年度市場予測(2015年度比)
- ■センサーの世界市場 5兆9,755億円(18.4%増)
- 生体センサーや熱的・時間空間雰囲気センサー、光・電磁波センサーの伸びが市場拡大をけん引
- ■圧力センサー 409億円(2.5倍) 指紋センサー 3,998億円(49.2%増)
- スマートデバイス向けの需要を中心に大きく伸びる
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、センシング技術の進展による測定対象や範囲の広がりに加え、センサー自体の小型化や低価格化、低消費電力化、高感度化の実現により、IoTの主要構成ツールとして搭載数が増加しているセンサーの世界市場を調査した。
その結果を報告書「2017 センサーデバイス/ビッグデータ・IoT市場調査総覧 上巻:センサーデバイス編」にまとめた。
この報告書では光・電磁波センサー6品目、音波・磁気センサー2品目、機械的・物理的センサー7品目、熱的・時間空間雰囲気センサー10品目、ケミカル・バイオセンサー4品目、生体センサー4品目、その他センサー2品目について市場の現状を調査し、将来を予想した。なお、「下巻:ビッグデータ・IoT編」ではビッグデータ/IoTソリューションの市場を調査する。
- ■調査結果の概要
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■センサーの世界市場
※グラフ中のその他には音波・磁気センサー、ケミカル・バイオセンサーも含まれる -
センサーの小型化・低価格化を背景に市場は拡大を続けており、今後もさまざまな分野で需要増加が予想される。需要分野別では、電子機器向けの構成比が大きく、今後もドローンやスマートウォッチなどセンサー搭載アプリケーションの増加に伴い伸びるとみられる。特にスマートデバイス向けの圧力センサーや指紋センサーが注目される。また、医療/ヘルスケア向けは健康管理や予防医学などの用途で需要が増えている。ヘルスケアバンドに搭載される紫外線センサー、加速度センサー、脈波センサーなどが大きく伸びるとみられる。車載部品向けはADAS搭載によるセンシング需要の増加、また自動運転の実現に向けた動きの後押しもあり順調な伸びが予想される。特に車載カメラで使用されるCCD/CMOSイメージセンサーなどが注目される。FA(Factory Automation)/PA(Process Automation)向けはIoTへの対応が活発化しているため、今後は多様なセンサーの活用が進むとみられる。社会インフラ向けは新興国での上下水道関連や構造物のヘルスモニタリング用途の需要増加が予想される。
センサー分野別にみると、光・電磁波センサーの市場規模が大きい。電子機器を中心にさまざまな需要分野の光撮像に利用されるCCD/CMOSイメージセンサーが大半を占め、今後もドローンやロボットをはじめ搭載アプリケーションの増加により伸びると予想される。紫外線センサーは、防災やボイラーなどの炎監視用途や産業用のUV測定用途が主体であったが、小型化の進展によりスマートウォッチやヘルスケアバンドなどの民生機器向けの搭載が増えるとみられる。
熱的・時間空間雰囲気センサーは、温度センサー(サーミスタ)が大半を占める。電子部品の過熱防止や安定動作の確保のためスマートフォンやPC、白物家電、車載部品、情報機器などに搭載され、今後も省エネや高機能化、環境対応目的の搭載が増えるとみられる。湿度センサーやほこりセンサーは中国でのPM2.5対策として空気清浄機の需要が回復してきているほか、家庭内の雰囲気計測で利用される環境モニターの需要が各国で立ち上がってきており、堅調な伸びが予想される。
機械的・物理的センサーは、仕掛品や部品の高さや幅、厚み、ぶれなどを検知する変位センサーが工場の省人化や効率化などに対応して需要が増えており、単価が比較的高いこともあり今後金額ベースでは大きく伸びるとみられる。加速度センサーは小型化、低価格化の進展により幅広いアプリケーションで搭載が広がっている。特にスマートフォンに搭載される6軸製品は数量ベースでは大きく伸びるとみられ、また、気圧センサーや電子コンパスなどの統合によるさらなる多軸化も想定される。しかし、低価格化が進んでいるため金額ベースでは縮小が予想される。圧力センサーは民生用途で高い伸びが期待できるのに加え、半導体の製造工程や、車載部品用途も搭載義務化が推進されるTPMS(タイヤ空気圧監視システム)モジュール向けやエアバッグシステムへの搭載により伸びるとみられる。
生体センサーは、スマートデバイス認証用途で搭載される指紋センサーの構成比が高く、今後も低価格化に伴う大幅な搭載増加が予想される。脈派センサーは、スマートウォッチやヘルスケアバンドなどのウェアラブル端末に搭載が進み伸びている。脳波センサーは、現状では玩具向けが中心であるが、今後はメンタルヘルスケアや認知症対策、マーケティング用途や教育理解度チェックなどでの活用による需要増加も期待される。
ケミカル・バイオセンサーは、自己血糖値測定用で利用されるグルコースセンサーが大部分を占めており、糖尿病患者の増加に伴い今後も需要が増えるとみられる。また、空燃比センサーはより高度な燃焼管理のために車両1台当たりの搭載数が増えており伸びている。 - ■注目市場
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■センサー伸長率ランキング
品目 2016年度見込 2020年度予測 2015年度比 1位 圧力センサー(民生用途) 179億円 409億円 2.5倍 2位 感圧センサー 4.9億円 7.1億円 186.8% 3位 味覚センサー 6.5億円 10.2億円 182.1% 4位 脳波センサー 28億円 45億円 180.0% 5位 指紋センサー 3,030億円 3,998億円 149.2%
圧力センサー(民生用途)は、スマートフォン向けが伸びをけん引しており、今後もハイエンド端末を中心に搭載数が増えるとみられる。今後はウェアラブル端末やドローンなどの新規アプリケーションで搭載増加が予想される。
感圧センサーは、市場規模は小さいものの、今後デジタルペンや電子楽器などの電子機器、車載インターフェース、リハビリ・介護向け製品などの医療・ヘルスケア用途で搭載が増えるとみられる。また、FA/PAや医療介護向けのロボットにフィードバックセンサー(調整用センサー)として搭載され、今後の伸びが期待される。
味覚センサーは、主に食品メーカーや原料サプライヤーの品質管理やマーケティングなどで利用されており、ユーザー購買情報やPOS情報などとの相関分析によりユーザー属性に最適な商品開発が可能となるため、今後の需要拡大が予想される。
脳波センサーは、ゲームや玩具向けの新たなインターフェースとして搭載されている。ヘッドマウントディスプレイへの搭載でAR/VRと連携するエンターテインメントや、教育(理解度の向上)、マーケティング(ニューロマーケティング)、ヘルスケア(メンタルヘルスケア、認知症対策)分野での応用が拡大するとみられる。
指紋センサーは、2013年の「iPhone 5s」での搭載が契機となり、他スマートフォンメーカーが相次いで搭載したことにより市場は大きく伸びた。低価格化の進展によりミドルレンジ製品への搭載も増えている。モバイル向けの利便性、認知度向上により車載部品向けの搭載も増えるとみられる。
他には、RFIDセンサーや変位センサー、紫外線センサーなどの伸びが大きい。RFIDセンサーは、中国メーカーが低価格のRFタグを供給しているため、物流業界や小売業界で導入が進んでいる。今後はロボットと組み合わせた自動化実現の手段として、製造業や医療機関の物品在庫管理や小売業のセルフレジなどで利用が広がるとみられる。変位センサーは、Industrie4.0などに対応した工場の省人化、生産性向上へのニーズが高く、引き続き伸びるとみられる。紫外線センサーはヘルスケアバンドなどの医療/ヘルスケア用途で需要増加が予想される。
内容の詳細につきましては『2017 センサーデバイス/ビッグデータ・IoT市場調査総覧(上巻)』をご覧ください。
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