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『データセンタービジネス市場調査総覧 2016年版(上下巻)』まとまる(2016/4/15発表 第16031号)

IaaS/PaaSの需要が高まるデータセンタービジネスの国内市場を調査

2020年(2015年比)
データセンターサービスの国内市場 2兆2,820億円(29.8%増)
   ホスティングは微減となるも、IaaS/PaaSを中心に拡大
IaaS/PaaS市場 5,263億円(2.7倍)
   メガクラウドサービス需要が増加。新規システム基盤として利用が活発化

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、「AWS」などのメガクラウドサービスに代表されるIaaS/PaaSの需要増加などにより拡大を続けているデータセンタービジネスの国内市場を調査した。IaaS/PaaSの普及拡大に伴い、データセンタービジネスは多様化・複雑化しており、事業者にとってはホスティングやハウジング、通信回線サービスなどの既存ビジネスとクラウドコンピューティングビジネスを共存させるための戦略が重要になってきている。

 その結果を報告書「データセンタービジネス市場調査総覧 2016年版(上下巻)」にまとめた。

 「上巻:市場編」でデータセンターサービス8品目、データセンター関連製品13品目の市場を分析し、将来を予測すると共に、「下巻:事業者戦略/ユーザー実態編」で有力データセンター事業者の動向整理とWebアンケートによるユーザー調査を行った。

調査結果の概要
データセンターサービスの国内市場(DinDは含まない)
ビッグデータ/IoTソリューション国内市場:構成比グラフ
 2015年の市場は1兆7,585億円となった。2020年には2015年比29.8%増の2兆2,820億円が予測される。2020年に2015年比2.7倍の5,263億円が予測されるIaaS/PaaSを中心に、ハウジングや通信回線サービスなども伸びるとみられる。一方、ホスティングは微減となり、全体に占める割合は縮小すると予想される。
 IaaS/PaaSの需要が急増している。要因としては「AWS」(アマゾン ウェブ サービス ジャパン)などのメガクラウドサービスの普及があげられる。従来のデータセンタービジネスは、ユーザー所有のITプロダクトをデータセンターで預かるハウジングが中心であったが、クラウドコンピューティングの普及と共にITプロダクトを“所有する”から“利用する”という考えがユーザーに浸透し、IaaS/PaaSのセキュリティや機能向上が進んだことなどから、情報系システムやインターネット関連システム、開発環境などで積極的に利用されている。現在は既存システムからの移行が中心であるが、今後は新規システム基盤として利用が活発化し、2020年には全体の20%以上を占めるとみられる。
 ハウジングは2015年時点で全体の30%弱を占めており、依然としてデータセンタービジネスの主力である。IaaS/PaaSへの移行が進んでいるものの、基幹系システムなどの重要なシステムはハウジングの需要が高いため、今後も堅調な成長が予想される。
 ホスティングは市場縮小が予想される。インフラ部分までを運用領域とする基本サービスは、Webサーバーの需要がIaaS/PaaSに、メールサーバー系の需要がSaaSに移行しており、参入ベンダーの統廃合も進んでいる。ミドルウェア、アプリケーション部分までを運用領域とするアウトソーシングサービスは微減が続くものの、プライベートクラウド向けの需要は比較的好調を維持すると予想される。
 通信回線サービスはデータ通信量の継続的な拡大、特にIoTやビッグデータの基盤としてクラウドサービス利用が増加することで、今後も毎年2%程度の伸びが予想される。共同利用は銀行、証券、信用金庫などの需要が中心である。既に共同利用サービスを利用しているユーザーが、個別システムをさらに共同利用へと切り替えるとみられ、緩やかな伸びが予想される。
地域別データセンターサービスの国内市場(DinDは含まない)
 2015年2020年予測2015年比
関東1兆2,306億円1兆6,061億円130.5%
関西2,712億円3,518億円129.7%
その他地域2,567億円3,242億円126.3%
関東は茨城、神奈川、群馬、埼玉、千葉、東京、栃木。関西は大阪、京都、滋賀、奈良、兵庫、和歌山。
 国内の主要企業、また主要データセンター事業者が集中する関東が70%弱を占めた。主要メガクラウドサービスのサービス拠点も集中しており、IaaS/PaaSの需要増加に伴い今後さらに構成比を高めるとみられる。
 関西やその他地域は、各地域の自治体や金融業向け、関東の企業のBCP(事業継続計画)/DR(ディザスタリカバリ)需要が中心である。関西はBCP/DRや地場企業向けのハウジング、SIer系事業者のIaaS/PaaSのサービス拠点などの需要が中心であり、今後はメガクラウドベンダーが新たな拠点を設置するとみられる。その他地域は、地場企業によるハウジングやホスティング需要が中心である。一方、IaaS/PaaS拠点の地方設置の増加や、九州/沖縄地方ではBCP/DR需要の高まりもみられる。
データセンター関連の設備投資動向
 2015年2020年予測2015年比
合計2,536億円2,894億円114.1%
 ITプロダクト1,713億円1,818億円106.1%
ファシリティ402億円418億円104.0%
データセンター建築物368億円596億円162.0%
ITプロダクト、ファシリティ、データセンター建築物は合計の内数。
 東京五輪に伴うビル建設ラッシュの影響による建設技術者不足などにより、データセンターの建設が停滞する2017年に市場は縮小するが、以降は回復に向かうとみられる。2020年にはビル型データセンターの建設が大幅に増えるため、それに伴いITプロダクトやファシリティの需要も増加し、全体で2015年比14%を超える拡大が予想される。
 ITプロダクトはサーバー、ストレージ、スイッチが好調である。サーバーはクラウドベンダー向けの需要増加により伸びている。また、新規システム開発やシステム更改を契機とした導入増加も期待される。ただし、クラウドサービスの利用増加に伴うサーバー集約化の進行により伸長率は鈍化するとみられる。ストレージはIaaS/PaaSやオンラインストレージ向けが伸びている。今後はHDDよりも性能が高いオールフラッシュアレイを採用する事業者が増えるとみられる。スイッチはクラウドサービスの需要増加、データセンターを利用するISPの提供サービス拡大に伴い伸びている。今後、イーサネットファブリックやSDNといった、仮想化に対応したネットワークを構成するための高機能スイッチの需要が高まるとみられる。
 ファシリティはデータセンターの建設が停滞する2017年に一度縮小するものの、2019年には2015年の水準に回復し、2020年は418億円が予想される。特に空調製品のチラーは省エネ性と投資分散性が評価され、今後標準的な空調設備になるとみられ、市場の伸びが期待される。
内容の詳細につきましてはこちらのページ(上巻下巻)をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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