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『2014 車載ECU関連市場の現状と将来展望』まとまる(2015/1/29発表 第15010号)

車載ECUの世界市場を調査

2025年予測
車載ECU市場 28億638万個(13年比79.7%増)、一台当たりの平均搭載数は22.7個に

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、車載ECUの市場と、関連する半導体・パワーデバイス、基板・放熱関連材料、ハウジング(ケース)材料の世界市場を調査した。その結果を「2014 車載ECU関連市場の現状と将来展望」にまとめた。
 ECU(Electronic Control Unit)とは、センサーなどの情報を基に各システムを制御するコンピューターユニットである。電装化が進む中で自動車一台当たりのECU搭載数が増え、市場は拡大している。しかし、搭載数の増加は部材コストや車両重量の増加に直結することから、ECUの数や重さを抑える動きが出てきている。
 そのため、ECUはハウジングでの樹脂の使用やシステムの一部にECUを組み込む機電一体化による小型軽量化、一台当たりの搭載数を抑えるための機能統合化が検討されている。なお、関連する半導体や材料としては、より温度環境の厳しい箇所への搭載を可能とする放熱技術や放熱材料、高出力モーター制御の増加とHV/EVの燃費改善を背景に高耐圧パワーデバイスやSiCパワーデバイスへのニーズが高まっている。

調査結果の概要
車載ECU世界市場
 2013年2025年予測2013年比
パワートレイン系ECU1億3,136万個2億4,410万個185.8%
足回り系ECU1億842万個2億3,543万個2.2倍
ボディ系ECU10億1,156万個14億6,107万個144.4%
走行安全系ECU9,675万個1億9,202万個198.5%
情報系ECU8,005万個1億6,227万個2.0倍
HV/EV系ECU954万個7,925万個8.3倍
スマートセンサー/アクチュエーター1億2,421万個4億3,224万個3.5倍
数量合計15億6,189万個28億638万個179.7%
金額6兆672億円11兆6,422億円191.9%
 自動車の利便性、快適性、環境対策を重視したシステムの採用により、ECUの搭載数は増加している。自動車メーカーでは一台当たりの搭載数を抑えたいという意向があるものの、機能の高度化によるECUの分散化もあり削減はなかなか進んでいない。
 市場は2013年の15.6億個から2025年には13年比79.7%増の28.1億個が予測される。なお、金額ベースでは情報系ECUや走行安全系ECUなど単価の高いECUの搭載が進むことで、数量ベースより伸びが高くなると予想される。
 ECUの数量を自動車生産台数(トラック・バス含む)で除算した一台当たりの平均搭載数は、2013年の18.6個から2025年には22.7個まで増加すると予測される。自動車のセグメント別には、全長4,100mm未満のCompactクラスでは車体重量や価格を抑えたものが多く、ECUも最低限の機能に絞っていることからECUの機能統合が進み、平均搭載数は微増にとどまるとみられる。一方、全長4,800mm以上のLargeクラスでは、情報系や走行安全系の高機能システムの採用や、エアコンや照明などの機能の高度化による統合ECUからの独立などでECU搭載数が大幅に増え、2025年の平均搭載数は51.9個とみられる。
パワートレイン系ECU:安全性優先で統合化進まず。エンジンルームの搭載増え耐熱性・放熱性重要に
 動力、動力伝達を制御するECUを対象とした。なお、HVやEVに特化したものは対象外とした。
 燃費向上、環境規制対応を背景にシステムの電子制御化が進んだことで、パワートレイン系ECUの搭載数が増加している。搭載数を減少させるためにECUの統合も考えられるが、故障時のリスクの大きさから進んでいない。
 搭載箇所はエンジンルームが中心である。これまでダッシュボード近くに搭載されていたガソリンエンジンECUやトランスミッションECUなども、車内空間の確保や配線の短縮を目的に機電一体化されエンジンルームへ移動しつつある。しかし、エンジンルームでは耐熱性、放熱性の確保が求められ、部材コストが上がることから機電一体化などが進められるのはLargeクラスやMiddleクラスの一部に限られるとみられる。
足回り系ECU:電子制御ブレーキECUがけん引
 走行時の操舵、ブレーキ、サスペンションなどをアシストするシステムのECUを対象とした。
 足回り系ECU市場の半数を占める電子制御ブレーキECUが先進国でのESC(横滑り防止装置)の義務化と、新興国でのABS(アンチロック・ブレーキ・システム)の採用により、堅調に拡大すると予想される。
ボディ系ECU:自動制御など機能の高度化で統合ECUからの独立も
 快適性や利便性に関わるシステムのECUを対象とした。
 ECU市場の半数以上を占めるボディ系ECUは、新興国での自動車需要の増加により市場が拡大するとみられる。ワイパーや照明のオンオフなど比較的単機能な制御を一つにまとめたボディ統合ECUがあるが、エアコンや照明などは自動制御など機能の高度化に伴い、ECUを独立させる動きもみられる。
 搭載箇所はダッシュボードが多い。ダッシュボードは放熱性を確保する必要性が低いためハウジングは樹脂製が多いが、ヘッドランプでは光源から発生する熱や走行中の振動を防ぐため、アルミ合金が使用されている。
走行安全系ECU:ADASの普及進み拡大、しかし統合の可能性も
 事故を未然に防ぐ、もしくは事故が起きた際の影響を最小限に抑えるシステムのECUを対象とした。
 走行安全系ECU市場の中心はエアバッグECUであるが、これまでLargeクラスのハイエンドでの採用にとどまっていたADASが、安価なシステムの導入や機能の安全評価基準の追加などによりMiddleクラス以下にも普及しつつあり、ADAS ECUが今後の市場をけん引するとみられる。しかし、ADASの機能の統合化によりECUの集約が進む可能性もあり、搭載数は抑えられていくとみられる。
 ADASはオプションであることから、ECUの搭載は場所の確保が容易なダッシュボードが多い。現状では車載カメラを用いる場合はカメラモジュールと一体化し、フロントガラスの上部に取り付けるケースも出始めているが、今後は機能の統合が進むことで、ダッシュボード内に統合したECUを置くことが一般的になるとみられる。
内容の詳細につきましては『2014 車載ECU関連市場の現状と将来展望』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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