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『2011年 プラスチック高機能化材料の現状と将来展望』まとまる(2011/3/3発表 第11019号)

添加剤、フィラー・繊維など主要プラスチック高機能化材料と応用部材48市場を調査

2015年予測
難燃剤(無機系・塩素系):5,300億円(5年間の年平均成長率6.5%)HV・EV増により見直し需要期待
PAN系炭素繊維:2,035億円(同14.4%)自動車や航空機向けの大量需要
パラ系アラミド繊維:2,830億円(同9.7%)自動車部品や光ファイバーケーブルの被覆材需要増
セラミックファイバー:830億円(同13.5%)クリーンディーセル、欧州に加えアジア需要拡大予測
低燃費タイヤ(応用部材・国内市場):1,300億円(同25.4%)北米、欧州の制度規制やアジアのニーズも

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町2−5 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、プラスチック製品の多機能化に寄与する材料市場を調査し今後の方向性を分析した。その結果を報告書「2011年 プラスチック高機能化材料の現状と将来展望」にまとめた。
 プラスチックは、成形加工性、耐久性、軽量、安価などの特徴がある。その特性を活かして、大量のプラスチック部材が自動車、電子・電気、包装資材など広範な分野で使用されている。大量に使用される背景には、プラスチックに配合して、熱に弱い、燃えやすい、傷付き易いなどの短所を改善すると共に新たな機能を付与し、製品を高機能、多機能化する様々な特性を持つ材料が開発されたことが挙げられる。
 この調査では、最先端の高付加価値領域で使用される材料および応用部材の中から主要な48品目を取り上げた。
 添加剤、フィラー・繊維など材料別に市場規模や用途展開、研究開発、環境対応などの観点から分析した。
 調査は、対象品目ごとの事情を勘案して国内あるいは世界市場を対象にしている。

注目される機能化材料と応用部材(低燃費タイヤのみ国内市場)
難燃剤
 自動車、電子機器のバッテリーや駆動装置周辺の発熱に対応するためプラスチック難燃剤が用いられる。無機系、塩素系、臭素系、リン系の4種類に分かれる。
無機系・塩素系:10年 3,860億円(前年比137.9%) 15年予測 5,300億円(5年間の年平均成長率6.5%)
 自動車用ワイヤーハーネスなど電線の難燃化に使用され、今後HV・EV車への需要増加により使用規模が拡大すると予測する。主に臭素系難燃剤の補助剤として利用されるため、同難燃剤の動向に比例して拡大する。近年補助剤を使用してコストダウンを図ることからこの材料が見直され、需要が拡大する。
臭素系:10年 2,370億円(前年比135.4%) 15年予測 3,300億円(5年間の年平均成長率6.8%)
 09年、エレクトロニクス分野の需要の落ち込みが大きく前年比約30%減であったが、10年には08年並みに回復した。11年の需要は横ばいと見込まれるが、薄型TVの激しい価格競争から、リン系難燃剤移行の流れが再び安価な臭素系難燃剤使用に戻ると見られる。
 今後需要増加が見込まれる用途は自動車分野である。自動車の軽量化に伴い特に電気周り部材への需要が増加すると考えられる。またHVやEV需要の増加に伴い難燃化ニーズが高まると考えられる。
リン系:10年 795億円(前年比132.5%) 15年予測 1,350億円(5年間の年平均成長率11.2%)
 環境への配慮から、ノンハロ難燃剤の需要が高まり、臭素系の代替として需要が拡大してきた。主にTVやパソコン、携帯電話、OA機器などで利用される。近年は自動車分野での需要が拡大している。特に電気周りの部材で軽量化に伴う樹脂使用が増えており今後はさらにEVやHVの普及により一層難燃要求が高まると予測される。需要の中心である中国で需要が増加しており、これまで難燃基準のなかった発展途上国やBRICsでも規制により家電向け需要が増加している。近年、リン系は臭素系との価格差が少なくなっている。
炭素繊維(PAN系) フィラー・繊維分野
10年 1,040億円(前年比135.1%) 15年予測 2,035億円(5年間の年平均成長率14.4%)
 10年の世界市場は、2.9万トン、1,040億円と推定した。景気後退の影響から回復して産業用、スポーツ・レジャー用、航空機用などすべての用途で伸びて、08年以上の需要を獲得した。中国・台湾ではスポーツ・レジャー向けを中心に不況前の需要水準に回復し、また日本の輸出量は過去最大となった。中長期的には、軽量化を目指す自動車用途での採用が期待される。欧州ではCO2規制の強化によりこの素材を用いた軽量化が進むことが考えられる。
 自動車や航空機向けの大量需要に備えて安定供給体制の整備が求められる。風力発電向けでは米国や中国での需要拡大、ブレードの大型化による採用の動きが進んでいる。最も需要が多い米国では軍需や航空機用が中心である。次いで欧州で航空機や風力発電を中心に需要が拡大している。
パラ系アラミド繊維 フィラー・繊維分野
10年 1,780億円(前年比125.4%) 15年予測 2,830億円(5年間の年平均成長率9.7%)
 強度は鉄の約8倍でありながら、重量は五分の一と軽く摩擦や熱にも強いことから、摩擦材や防弾チョッキなどの産業用途で広く利用される。10年の世界市場は、4.5万トン、1,780億円であった。タイヤやゴムホース、ブレーキパッドなどの自動車部材や光ファイバーケーブルの被覆材として需要が増加している。今後は中国を中心にアジアが需要をけん引し、年率8〜9%で拡大すると予測する。市場はデュポングループと帝人グループ2社が寡占している。
銀粉(予測は10年の地金単価水準と仮定)
10年 1,680億円(前年比135.5%) 15年予測 2,610億円(5年間の年平均成長率9.2%)
 優れた導電性ペーストの材料として利用される。PDP電極向けや太陽電池向けを中心に需要が増加している。LCDが優勢となり、PDP需要が鈍化しているが、シリコン太陽電池が拡大していることから引き続き拡大が見込まれる。需要先は、特に太陽電池材料の生産量が多い韓国、中国などのアジア地域向けのウェイトが高くなっている。さらにタッチパネルの電極や、LEDのボンディング剤などの新規用途にも技術的には使用可能である。今後本格的に開拓を進めることで、タッチパネル、LEDボンディング材の用途も増えていくと予測する。
セラミックファイバー(アルミナ短繊維)フィラー・繊維分野
10年 440億円(前年比125.7%) 15年予測 830億円(5年間の年平均成長率13.5%)
 調査対象のアルミナ短繊維の10年の世界需要は4,500トン、440億円であった。主にディーゼル車の排ガスフィルターとして利用され、環境意識の高い欧州を中心に大きな需要がある。近年世界の排ガス規制強化に伴い、クリーンディーゼル車が市場に投入されており、欧州のみならず中国やインドなどアジアでも需要を拡大すると予測される。
低燃費タイヤ(応用部材・国内市場)
10年 420億円(前年比168.0%) 15年予測 1,300億円(5年間の年平均成長率25.4%)
 転がり抵抗を低減させて自動車の燃費向上を図る低燃費タイヤは、日本で10年に開始された等級表示制度により低燃費車ユーザーを中心に認知度が高まっており、メーカーやタイヤショップ、関連団体などが普及促進に努めていることとも相まって急速に市場を拡大している。10年の市場は、1,700万本,420億円と推定する。
 北米では11年より、欧州では12年から同様制度による規制が始まるほか、中国などアジアでもニーズが高まると予測され世界規模で加速度的に需要が拡大する。
内容の詳細につきましては『2011年 プラスチック高機能化材料の現状と将来展望』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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