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『2011 ネットワークセキュリティビジネス調査総覧(上下巻)』まとまる(2011/9/29発表 第11092号)

ネットワークセキュリティビジネスを調査

国内ネットワークセキュリティ市場予測
2015年度に10年度比44%増の4,990億円
セキュリティツール、サービスともにシステム利用や企業経営におけるリスク管理需要を獲得し安定成長

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町2−5 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、情報漏洩や内部脅威のセキュリティ対策、法令順守のため拡大する国内のネットワークセキュリティビジネスを調査した。その結果を報告書「2011 ネットワークセキュリティビジネス調査総覧(上下巻)」にまとめた。
 報告書の上巻では、ネットワークセキュリティ17サービスとネットワークセキュリティツール30品目の市場概況や潜在需要、今後の方向性などについての調査・分析結果をまとめた。また、下巻ではネットワークセキュリティソリューションプロバイダ40社、ネットワークツールベンダ16社の事業戦略についての調査・分析結果をまとめた。

調査結果の概要
国内ネットワークセキュリティ市場
 2010年度前年度比2015年度予測10年度比
セキュリティツール2,230億円106.0%3,077億円138.0%
セキュリティサービス1,234億円104.1%1,913億円155.0%
合計3,464億円105.4%4,990億円144.1%
 2010年度の市場は前年比5.4%増の3,464億円となった。セキュリティツール、セキュリティサービス共にシステム利用や企業経営におけるリスク管理としての需要を獲得することで安定的な成長が予想される。2010年度時点ではセキュリティツールが市場の64%と過半を占めるが、セキュリティサービスもモバイルセキュリティ管理サービスなどの新サービスが伸びることで徐々に市場構成比を高めていくと予想される。
 セキュリティツール市場では、ファイアウォール/VPN関連製品やウイルス対策ツールなど、これまでセキュリティ対策として中心的な役割を担ってきた外部脅威対策ツールの規模が大きい。この外部脅威対策ツールを核として、内部脅威対策ツールや情報漏洩対策ツールなどへのニーズの高まりが市場拡大を促している。また昨今はモバイルセキュリティなど新たなセキュリティ対策分野の拡がりも市場拡大に寄与している。
 セキュリティサービス市場では、セキュリティの維持・管理における人員確保や導入/運用負担の大きさからマネージドサービスの利用が進んでおり、運用や監視系のサービスは安定成長するとみられる。近年はWebアプリケーションの脆弱性を突いたセキュリティ被害が多発していることからWebアプリケーション脆弱性検査サービスへの需要が高まっている。また、既存のシステムにおけるセキュリティ監査サービスなども情報漏洩やセキュリティ強化を目的とした継続的な利用が増加している。更に先の東日本大震災を受けて事業継続性やシステム利用の継続を目的としたデータ保管などのニーズが高まっており、コンサルティングや危機管理に関するサービスも拡大している。
注目市場
1. モバイルセキュリティ管理サービス(MDMサービス)
2010年度前年度比2015年度予測10年度比
0.3億円59.0億円196.7倍
 MDM(Mobile Device Management)サービスとは、モバイル端末のセキュリティポリシーを一括で適用したり、端末を紛失した際に遠隔で端末ロック、データ削除、初期化したりするなどの機能を提供するサービスである。
 これまでもWindows Mobile向けサービスは提供されていたが、搭載端末が企業(法人)にあまり普及していなかったことから、MDMサービスの利用も進まなかった。2010年度はスマートフォンを導入する企業が増加し、そのセキュリティ対策として多数のサービスが開始され市場が立ち上がった。現状では1社当たりのスマートフォン導入規模は数十台から数百台、業種に係わらず営業やフィールドエンジニア、経営層の利用が中心となっている。
 2011年度は生保・損保で大規模な導入の検討が進んでおり、MDMサービスの利用が期待される。また、MDMサービスはデバイス証明(ICカードやUSBトークン、各種バイオメトリクス製品などを用いる認証)やワンタイムパスワード(一回限りのパスワードを都度発行して本人認証を行うシステム)を組み合わせることでセキュリティを向上させる取り組みが進められている。
2. モバイルセキュリティ対策ツール
2010年度前年度比2015年度予測10年度比
9.4億円268.6%134.3億円14.3倍
 モバイルウイルス対策ツール、モバイルフィルタリングツール、USBメモリセキュリティツール、モバイル暗号化ツール、モバイル認証ツールを対象としている。2010年度時点で市場が本格形成されているのはUSBメモリセキュリティ、モバイル認証である。
 USBメモリセキュリティツールは、2005年の個人情報保護法の施行からUSBメモリに対するセキュリティ意識が高まり、USBメモリ内のファイルの暗号化やウイルス感染防止などの専用ソフト、ウイルスチェック機能を搭載したUSBメモリが登場して市場を形成・拡大してきた。しかし、USBメモリのセキュリティ対策に関しては、USBメモリ対応機能が追加された既存セキュリティ製品の導入による対策が一般化しているため、市場は小規模に留まっている。ただ、ウイルス対策や暗号化機能を搭載したUSBメモリの普及が今後も進むとみられることから、市場は堅調に拡大すると予想される。
 モバイル認証ツールは、スマートフォンやタブレットPC向けのワンタイムパスワードと公開鍵暗号基盤を活用した電子認証サービスを対象としている。市場はiOSやAndroid OS対応機能を追加した製品、サービスが登場した2009年頃から立ち上がっている。スマートフォンが企業に普及する中、企業ネットワークへのリモートアクセス需要は高まっており、リモートアクセス時の端末認証、本人認証に利用されている。また、MDMサービスの1機能としても採用されており、MDMサービスの需要増に伴い、市場も拡大するとみられる。市場は形成されたばかりで小規模であるが、企業のスマートフォンやタブレットPC利用の増加に伴い、拡大していくと予想される。
 モバイルウイルス対策ツール、モバイルフィルタリングツールは2011年度、モバイル暗号化ツールは2012年度に市場が本格形成されるとみられる。
 モバイルウイルス対策ツールは、スマートフォンやタブレットPCがウイルスに感染しているかどうかを検出し除去するツールである。Android OSはソースコードが公開されていることからOSの脆弱性が発見されやすいことや、不正アプリケーションが作られやすいことが指摘されている。その為、iOS端末向けよりも、Android端末向けが中心となって市場を形成していくとみられる。モバイルフィルタリングツールは、スマートフォンやタブレットPCによるWebブラウザの閲覧の許可・禁止やアプリケーションのダウンロードの管理を行うツールである。スマートフォンやタブレットPCはWebブラウザへのアクセスが容易なためフィルタリングツールの必要性は高い。個人向けは利用が若年層に限定されるが、企業向けはユーザー層に限定がなく、各業種の営業部門や医療・教育機関などを中心に利用が進み拡大すると予想される。モバイル暗号化ツールはスマートフォンやタブレットPCを紛失した場合の情報漏洩対策として、内部メモリや外部メディアのデータを暗号化するツールである。市場はiOSやAndroid OS対応製品の登場が予想される2012年度から本格的に立ち上がるとみられる。暗号化機能単体よりも、他のモバイル端末管理機能と組み合わせたMDMサービスの1機能としての提供が主流になるとみられることから、MDMサービスの普及に伴い拡大すると予想される。
内容の詳細につきましてはこちらのページ(上巻下巻)をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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