- ■2035年の世界市場予測(2024年比)
- ■LPWAモジュール
Licensed 2兆580億円(31.8%増)
Unlicensed 1兆190億円(2.1倍)
コンシューマー用途では家電やホームIoT機器で需要が増加、産業用途では省人化や防災・減災といった観点で搭載が増える
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(東京都中央区日本橋 代表取締役 稲葉 視朗 03-3241-3490)は、スマートフォン、ノートPCなどで増加する“AI対応製品”や、工場やインフラ、農業、スマートホーム、ヘルスケアなどの領域で導入が進む“IoT機器・サービス”に実装され、さまざまな機能をもたらすモジュール/デバイスの世界市場を調査した。その結果を「AI/IoTを実現するモジュール/デバイス関連市場 2026」にまとめた。
この調査では、通信分野、センサー分野、発電・給電分野、アクチュエーター分野における注目のモジュール/デバイスの市場動向や技術動向、メーカー・研究機関の取り組み、注目アプリケーション動向を分析し、将来市場を展望した。
- ■注目市場
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1. LPWAモジュール(Licensed、Unlicensed)

LPWAモジュールは、低消費電力で広範囲の通信を可能にするLPWA(Low Power Wide Area)ネットワークを利用するためのモジュールである。コンシューマー用途では家電やホームIoT機器で需要が増加、産業用途では省人化や防災・減災といった観点で搭載が増えるとみられる。
ここでは移動体通信事業者が構築したネットワークインフラを介して通信するLicensedのモジュールと、そのインフラを介さずに民間・公共独自で通信ネットワークを構築するUnlicensedのモジュールに大別した。
Licensedは、通信規格LTE-MやNB-IoT、Cat.1 bisに対応するモジュールを対象とした。LTE-MやNB-IoTのそれぞれに対応する単体モジュールよりも、二つの規格に対応するコンボモジュールの需要が高まっている。近年は、通信規格LTE Cat.1と同等の高速通信、LTE-M並みの低消費電力と低価格を併せ持つCat.1 bisが台頭しており、世界的にLTE-MやNB-IoTからの移行が進んでいる。特に、NB-IoTは送信できるデータ量が少ないということもあり、中国を筆頭とするインドや韓国、ロシアなどの地域でCat.1 bisへの移行が進むとみられる。なお、市場は、アフリカや中東などの2G/3Gのセルラーモジュールを使用している地域においてLPWAの採用が進むことで、拡大していくと予想される。
Unlicensedは、通信規格LoRaやSigfox、Wi-SUN、ZETA、ZigBeeなどに対応するモジュールを対象とした。LoRaアライアンスには約400社が加入しており、海外では公共のLoRaWANが広がっている。そのため導入がしやすく、中国や欧米を中心に採用が進んでいる。欧米やオセアニアなどを中心にスマートメーターでの新規採用や寿命による置き換えなど安定した需要があり、LoRaモジュールの伸びは続くとみられる。Sigfoxも低消費電力と低価格という強みを生かして、産業で用いるセンサーや家畜監視などに採用されている。日本ではLoRaよりもSigfoxの採用率が高い。
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2. Wi-Fiモジュール
| 2025年見込 | 2024年比 | 2035年予測 | 2024年比 |
| 4,581億円 | 100.8% | 5,357億円 | 117.9% |
Wi-Fiチップや周辺回路などが一つにパッケージ化されたモジュール(規格区分:Wi-Fi4、Wi-Fi5、Wi-Fi6、Wi-Fi6E、Wi-Fi7)を対象とした。現在の主流はWi-Fi6とWi-Fi6Eである。なお、BluetoothやGPSとのコンボモジュールも含めた。
2025年の市場は、前年比0.8%増の4,581億円が見込まれる。スマートフォン向けとTV向けが市場をけん引している。スマートフォンは、半導体チップをメイン基板に直実装するチップオンボードが多いが、AppleやGoogleではモジュールを搭載している。TVは、モジュール搭載率が世界出荷台数の約8割となっている。Wi-Fi5が主流であるが、ハイエンド機種ではWi-Fi6Eの採用が増えている。アジアやアフリカ向けは、Wi-Fi未搭載のTVが主流であるが、今後は搭載が増えるとみられる。プリンターとゲーム機は、Wi-Fi搭載率がほぼ100%で、いずれもモジュールでの搭載である。プリンターに搭載されている規格はWi-Fi6が主流だが、今後Wi-Fi7の搭載も期待される。エアコンは、ハイエンド機種出荷台数の約2割にモジュールが搭載されているが、2035年にかけ搭載率は約4割まで上昇するとみられる。
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3. ワイヤレス給電
| 2025年見込 | 2024年比 | 2035年予測 | 2024年比 |
| 10億円 | 2.0倍 | 169億円 | 33.8倍 |
電力を使って発振器が作り出した高周波の電磁波(マイクロ波)/レーザーをアンテナから放出し、それを受電側のアンテナがキャッチして電力に変換するマイクロ波方式のモジュールを対象とした。IoT機器向けやセンサー向けにはマイクロ波式を用いた空間伝送型WPTシステムが注目されている。
使用されている主な周波数帯は920MHz帯、2.4/5.7GHz帯、24GHz帯である。920MHz帯は波長が長く低損失であり、長距離かつ広範囲の給電が可能だが、ビームの指向性が低く制御が難しい。2.4/5.7GHz帯は中距離から長距離の給電を可能とし、920MHz帯よりも高精度な送電を行えるが、Wi-FiやBluetoothとの干渉などが懸念されている。24GHz帯は波長が短く高精度であり、ビームを絞ってピンポイントに送電することができる。しかし、伝送距離が短く、障害物があると給電が難しくなるうえ、コストが高い。
2025年の市場は、前年比2.0倍の10億円が見込まれる。920MHz帯と2.4GHz帯の製品が市場を形成している。現状、920MHz帯の製品は、特定の空間で多数の送電装置を使用して温湿度をはじめとした多数の環境センサーに給電する必要があるビルマネジメントシステムでの採用が多い。
各国・地域では電波の干渉などを考慮して法規制されている。実証実験や安全性の確保状況に応じて規制が緩和されていくとみられるが、現状では5.7GHz帯や24GHz帯を中心に、規制緩和が進んでいない国や地域が多い。日本では920MHzの規制が2025年に緩和され、世界的にも開発が進んでいる5.7GHz帯についても2026年度には規制緩和が期待される。
- ■調査結果の概要
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■分野別モジュール/デバイスの世界市場
| 分野 | 2025年見込 | 2024年比 | 2035年予測 | 2024年比 |
| 通信 | 6兆8,798億円 | 100.4% | 9兆6,569億円 | 141.0% |
| センサー | 5兆3,976億円 | 103.7% | 8兆3,375億円 | 160.1% |
| 発電・給電 | 780億円 | 3.0倍 | 9,850億円 | 37.3倍 |
| アクチュエーター | 8,705億円 | 106.6% | 1兆1,828億円 | 144.8% |
| 合計 | 13兆2,258億円 | 102.5% | 20兆1,621億円 | 156.3% |
通信分野11品目の市場は、2025年に前年比0.4%増の6兆8,798億円と見込まれる。LPWAモジュールは、IoT向けで搭載が期待されており、特に、LPWAモジュール(Unlicensed)が伸びるとみられる。Wi-Fiモジュールは、医療機器に搭載して遠隔医療に向けた動きが注目される。基地局用デバイスは、6G通信が2030年頃にサービスインするとみられることから、2029年から2030年にかけて大きく伸びると予想される。また、6G通信のサービスインにより移動体に向けた接続性の良い低遅延サービスが提供され始めることで、RFモジュール(5G ミリ波・6G)が2030年以降、自動車やスマートグラスなどで徐々に採用が増加していくと予想される。フィルターデバイスは、新たな周波数帯、通信規格の登場により、従来のデバイスから材料や形状の変化が想定される。特に、6Gで運用が想定されるテラヘルツ波は短距離超高速伝送を訴求しており、アプリケーションとしてサーバー内、サーバー間通信の無線化などが想定される。
センサー分野10品目の市場は、2025年に前年比3.7%増の5兆3,976億円と見込まれる。自動車用LiDARは、自動運転レベル3以上の車両への搭載が期待されているが、2024年は中国を中心にレベル2の車両への搭載が急速に進んだ。今後はレベル3の車両の増加とともに伸長していくとみられる。産業用LiDARも省人化や自動化、リモート化のトレンドを背景に、スローモビリティ、測量、交通インフラ、建機・農機向けが引き続き伸びるとみられる。ミリ波レーダーは、屋内をメインとして用いられる人感センサーが主用途であるが、2030年以降は車室内モニタリング用途で採用が増加し、伸長していくとみられる。小型力覚センサーはヒューマノイドロボットの指で採用が期待され、においセンサーは産業分野をはじめ、食品、医療、酪農など多分野での展開が想定され、いずれも2028年に市場が立ち上がると予想される。脳波計測機器は、医療向けを皮切りに採用が始まるとみられ、2030年以降量産化に進むと予想される。
発電・給電分野5品目の市場は、2025年に前年比3.0倍の780億円と見込まれる。ワイヤレス給電は電波法改正による周波数帯の規制緩和の進展、熱電発電や振動発電などのエネルギーハーベストはIoTモジュールの増加に伴って伸長するとみられる。ペロブスカイト太陽電池は、国内・海外で量産化に向けた開発・実証実験が活発化している。有機薄膜太陽電池は、環境意識の高い欧州において、鉛フリーであることを訴求した製品展開が行われている。
アクチュエーター分野4品目(※センサー付きロボットフィンガーは市場未算出のため除外)の市場は、2025年に前年比6.6%増の8,705億円と見込まれる。サーボモーターは、2024年までは中国の景気減退やユーザーの過剰在庫などの影響をうけたが、2025年以降は堅調に推移すると予想される。ハプティクス用アクチュエーターは、エンターテインメント、遠隔作業、ウェアラブル機器などが今後の有望用途になるとみられる。ピエゾアクチュエーターは、HDDサスペンションでの採用が多くなっている。ソフトアクチュエーターは、実証実験段階の製品が多く、本格的な市場形成には至っていない。
内容の詳細につきましては『AI/IoTを実現するモジュール/デバイス関連市場 2026』をご覧ください。
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