- ■2050年国内市場予測(2024年比)
- ■容器・包装 5兆6,208億円(47.9%増)
インバウンド需要や省人化・自動包装などを訴求した製品の需要増加が拡大に寄与
- ■ラップフィルム(小巻)1,246億円(56.3%増)
世帯数増加に伴う家庭用の伸びや、外食産業やホテル向けがけん引
- ■チャックテープ 128億円(66.2%増)
食品向け、特にグミ向けの伸びが続く
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋 TEL:03-3241-3490 社長:田中 一志)は、国内人口の減少が進む中、「インバウンド」「省人化・自動包装」「環境対応」をキーワードとした付加価値製品に重きを置いた参入メーカーの展開が進む容器・包装の国内市場を調査した。その結果を「2025年 パッケージングマテリアルの現状と将来展望」にまとめた。
この調査では、液体容器包装11品目、食品容器包装10品目、軟包装10品目、バリアフィルム5品目、その他6品目の市場について、現状を分析し、将来を予想した。また、採用素材や環境対応、リサイクル動向をはじめ、市場のトレンドを整理した。
- ■調査結果の概要
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■容器・包装の国内市場

参入メーカーが、原料高騰やユーティリティコスト、人件費などの上昇に伴う製品価格への転嫁を進めていることから、市場は拡大が続いている。一方、数量ベースでは2023年から2024年にかけて食品や飲料などの値上げが相次ぎ、消費者の買い控えがみられたこともあり、横ばいや微減となった製品が多い。
市場が成熟する中、期待されるのがインバウンド需要や省人化・自動包装に対応する製品である。インバウンド需要により、ガラスびん、紙カップなどの食品容器・包装の需要が押し上げられるとみられる。直近では訪日外国人の増加を受けて、ホテル用歯磨き粉や日焼け止め用途のラミネートチューブが伸びている。また、多くの業界で人手不足が課題となっているため、自動包装に対応した共押出系バリアフィルムや、スーパーマーケットのインストアパックからアウトパック化でラップフィルム(太巻)などが伸びるとみられる。今後は、環境対応をテーマに脱プラスチックや軽量化、リサイクル可能な素材の採用、フードロス削減などにつながる付加価値製品の需要増加が期待される。長期的には、人口減少を背景に数量ベースでは縮小するものが多いが、ユーティリティコストや人件費上昇の価格転嫁、環境に対応したバイオ樹脂など高価格素材の使用増加により、市場拡大が予想される。
素材別では、現状よりコストアップとなるが2050年に向けたカーボンニュートラルへの対応や、「プラスチック資源循環戦略」の実現に向けて、PETボトルやPET系食品容器などでリサイクル材やバイオ樹脂の採用増加、また、さまざまな製品で各環境対応素材の添加率上昇が予想される。
- ■注目市場
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■ラップフィルム(小巻)
| 2025年見込 | 2024年比 | 2050年予測 | 2024年比 |
| 809億円 | 101.5% | 1,246億円 | 156.3% |
食品保存などに用いられるラップフィルムのうち、家庭用や業務用(外食産業やホテルなど)で使用される小巻タイプの製品を対象とした。採用素材にはPVDC(ポリ塩化ビニリデン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、単層PE(ポリエチレン)、多層PO(ポリオレフィン)系、単層PMP(ポリメチルペンテン)があり、家庭用ではPVDC、業務用ではコスト面で優れるPVCの採用が多い。
今後、単身世帯を中心とした世帯数の増加に伴う家庭用の伸びや、インバウンド需要で外食産業やホテルなどでの使用増加が期待される。製品価格の上昇もあり、小幅ながら市場拡大が続くとみられる。
PVDC素材の製品が5割以上を占める。大半が家庭で使用されており、2024年は物価高を受けて内食や中食の機会が増えたため、PVDC素材製品の使用も伸びた。今後、数量ベースでは横ばいとなるが、製品価格の上昇により、市場は堅調な拡大が予想される。PVCも市場規模が大きい。安価なため業務用での使用が多く、インバウンド需要が好調な外食産業向けが伸びている。低価格な単層PEフィルムは、家庭用向けが大半を占め、2024年は他素材からのシフトにより好調だった。他素材との競合は激しいが、2026年以降は短期的には世帯数増加に伴う市場拡大が期待される。
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■チャックテープ
| 2025年見込 | 2024年比 | 2050年予測 | 2024年比 |
| 80億円 | 103.9% | 128億円 | 166.2% |
チャックテープは、袋に再封性を持たせるために使用され、ジッパーテープとも呼ばれる。一度に食べ切れない食品用の包装や、何度も袋を開封して繰り返し使用される製品、密封による品質維持が必要な製品で主に採用されている。ここではラミネート製袋工程で後付けされるチャックテープを対象とする。
食品包装向けを中心に採用が増えているため、市場は拡大を続けている。特にグミやチョコレートなどの菓子包装向けでは、持ち運びやすく、少量ずつ消費できるチャック付きパウチ商品のニーズが高まっており、市場拡大をけん引している。今後もチャックテープを使用した新商品の発売は増えるとみられ、需要増加が予想される。特に、2021年頃からグミ商品の販売が大きく増えており、グミメーカーの生産体制強化や新商品発売が進むことから、当面はグミ向けの伸びが市場拡大に貢献するとみられる。
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■スパウト付きパウチ(飲料用)
| 2025年見込 | 2024年比 | 2050年予測 | 2024年比 |
| 189億円 | 105.0% | 512億円 | 2.8倍 |
ゼリー飲料などの清涼飲料に使用される製品を対象とする。ゼリー飲料向けが主要用途であり、飲料メーカーによるCM展開や新製品・ブランド投入の動向に市場は左右される。
スパウト付きパウチを採用したゼリー飲料は、スポーツシーンでのエネルギー補給目的の利用が中心であったが、オフィスワーカーや子ども向けの食事代替や間食など、幅広いシーンで需要を獲得するようになり、市場は拡大している。近年は、ゼリー飲料の医薬部外品などでの新規展開が増えており、ゼリー飲料市場が底上げされていることも需要増加につながっている。
ゼリー飲料は、高齢者のヘビーユーザーも多いため、長期的にもスパウト付きパウチの需要は増えるとみられる。今後は海外の富裕層に向けたゼリー飲料の輸出量増加が市場を押し上げることが期待される。近年のアルミ箔の高騰や、ユーティリティコストや人件費上昇への対応で参入メーカーは値上げを行っており、この傾向は続くとみられるため、今後も市場拡大が予想される。
内容の詳細につきましては『2025年 パッケージングマテリアルの現状と将来展望』をご覧ください。
- ■報道関係のお問い合わせは
- 富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3241-3473(窓口:富士経済グループ本社 広報部)