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『2025 クラウドコンピューティングの現状と将来展望 市場編』まとまる(2025/9/5発表 第25090号)

パブリッククラウドの市場を調査

2030年度の国内市場予測(2024年度比)
パブリッククラウド 6兆2,515億円(81.5%増)
企業間競争やユーザーニーズの多様化などに対応するため、年々利用する企業が増加
マルチクラウドビジネスの浸透、VMwareなどによるライセンス改定、生成AIの普及も市場拡大を後押し

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋 TEL:03-3241-3490 社長:田中 一志)は、国際的な企業間競争の激化やユーザーニーズの多様化などを背景に、最新技術を用いたシステム活用が可能なことから、年々利用する企業が増加しているクラウドサービスの市場を調査した。その結果を「2025 クラウドコンピューティングの現状と将来展望 市場編」にまとめた。
 この調査では、パブリッククラウド市場全体の動向を把握し、VMwareなどによるライセンス改定や生成AIの普及といった近年のトレンドが与える市場への影響などを加味しながら将来を予想した。また、主要海外クラウドベンダーおよびパートナーのビジネス戦略分析やクラウドサービスの利用動向を中心としたユーザーアンケートを実施した。
 なお、同時にクラウドビジネスに参入しているベンダーの戦略や実績、近年のトレンドに対する見解や対応動向などを調査し、その結果を「2025 クラウドコンピューティングの現状と将来展望 ベンダー戦略編」にまとめている。

調査結果の概要
1. パブリッククラウドの国内市場(リソース提供)
2025 クラウドコンピューティングの現状と将来展望 市場編:パブリッククラウド(リソース提供)の国内市場規模推移グラフ
 2024年度の市場は3兆4,444億円となった。2030年度には、2024年度比81.5%増の6兆2,515億円が予測される。
 クラウドサービスを利用する企業は年々増加している。既存システムのモダナイズは重要課題となっており、ミッションクリティカルシステムも含め、基幹系システムのリフト&シフト案件が増加している。こうした案件は規模が大きく、市場拡大要因となっている。
 また、マルチクラウドビジネスの浸透がクラウドサービスの普及に寄与している。特に、IaaS/PaaS市場においては、メガクラウドの寡占化が進展しており、自社IaaS/PaaSを展開していたベンダーや、特定サービスしか取り扱っていなかったベンダーが、マルチクラウドビジネスへ転換するケースが増加している。
 VMware製品のライセンス改定も今後の市場拡大要因になるとみられる。VMware製品は、さまざまなクラウドサービスにおける仮想化ソフトとして稼働しており、クラウドベンダーはサービスの値上げや他サービスへのリプレースなどの対応に迫られている。また、多くのユーザー企業もVMware製品をシステム基盤として採用(特にオンプレミス)しているため、ライセンス改定に伴う投資コストの増大は避けられず、クラウドサービスへの移行を検討するフェーズとなっている。
 さらに、生成AIの普及も市場に大きな影響を及ぼしている。生成AI関連サービス/基盤の多くはクラウドベースであるほか、企業が円滑な生成AI活用に向けて、大量のデータを学習させるケースや情報源であるデータをクラウド上に格納するケースなどもあり、今後クラウドを軸としたシステム環境整備を進める企業の増加が予想される。
 SaaS
 2024年度は、人手不足対策に伴う業務削減や、業務のデジタルシフトに向けたSaaS活用が進んだ。
 業種汎用型SaaSは、業務システム領域における業務削減に向けた中小企業への導入や、業務プロセスをシステムの標準機能に合わせる「Fit to Standard」の機運が高まり、大手企業におけるSaaS移行が進展した。また、情報分析/コラボレーション領域において、時間や場所にとらわれない働き方の実現に向けて企業規模を問わずSaaS導入が進み好調であった。
 業種特化型SaaSは、ユーザー企業におけるサービスの強化を目的に、自社の業務に合わせたIT環境の整備ニーズが高まっており、活用が進んでいる。
 DaaS
 2024年度は、ハイブリッドワークやゼロトラストセキュリティの実現を目的とした新規導入や利用の増加が引き続き進んだことで市場が拡大した。業界としては、金融業や公共におけるクラウド化の進展に伴い、クラウド上で構築したシステムの利用環境として採用が進んでいる。
 今後は、「オフィス回帰の加速」「セキュアFAT端末の登場」「VMwareおよびCitrix Systemsによるライセンス改定」などが市場成長に影響を与えるとみられる。「オフィス回帰の加速」によってDaaSを全社利用していた企業を中心に、ユーザー数を縮小する動きが強まっている。社外でのPC利用やテレワークに対応するため、一定数は利用を継続するとみられるが、「オフィス回帰の加速」は、市場成長阻害要因としての色が強い。また、「セキュアFAT端末の登場」によって、それを運用するためには、業務データを基本的にクラウドなどの共通基盤上に集約する、といった周辺環境の整備などが必要になるほか、さまざまなツールを利用することによる企業側の管理負担増加などが課題となっている。その中で、DaaSは運用面や認証関連との親和性の高さなどで優位性があるため、中長期的には再度DaaS利用を検討する企業が増加するとみられるが、短期的には市場成長を阻害する要因の一つとなっている。一方、「VMwareおよびCitrix Systemsによるライセンス改定」はオンプレミスのVDI環境からDaaSやセキュアFAT端末への移行が進んでおり、市場成長を後押しする要因となっている。
 IaaS/PaaS
 2024年度は、オンプレミス環境からの移行案件が引き続きけん引したが、生成AI関連の案件増加も市場拡大に寄与した。メガクラウドベンダー中心の市場構造となっているが、為替変動によるサービス単価の上昇や、生成AI関連サービスの拡充などの取り組みが進んだことも市場拡大要因の一つとなった。
 IaaS/PaaSへ移行可能なオンプレミス環境上のシステムはいまだ数多くあるとみられ、今後も市場拡大における重要な要因になるとみられる。企業が移行検討を開始するタイミングとしては、既存のインフラ/アプリケーションの更改時期やEOSのタイミング、既存プロダクトの単価上昇/料金形態の変更などが挙げられる。直近ではVMware製品のライセンス改定があったものの、他インフラ(サーバーなどのハードウェア製品など)の減価償却などの関係から、すぐに基盤移行するユーザー企業は多くなかったが、インフラ環境の刷新を検討する企業は増加しており、中長期的な市場拡大要因になるとみられる。
2. ユーザーアンケート
 1) IaaS/PaaSの利用状況
 「利用している」と回答した割合は、全体で51.0%であった。
 業種別にみると、「利用している」と回答した割合が全体より高かったのは、製造業、金融業、流通業であった。
 IaaS/PaaSの非利用理由で、最も多かった回答は、「社内に対応可能な技術者がいない/十分な人数の確保ができないから」である。次いで多かったのが「セキュリティ対策に不安がある」であった。IaaS/PaaSの導入には、サービスに対して十分な社内体制や知見が必要としていることが推測できる。
 2) 生成AIの業務での利用状況
 生成AIを業務で「利用している」と回答した割合は約4割であり、「利用していないが、検討中」とした回答を含めると割合はおよそ三分の二であり、企業における業務での生成AIの利用が推進されつつあることがわかる。
 「利用している」とした回答のうち、利用状況で最も多かった回答は「アプリケーションを利用している」であった。その他の「AI/MLプラットフォーム上で開発/運用している」や「GPUサーバー上で自社独自の基盤モデルを開発/運用している」「GPUクラウド上で自社独自の基盤モデルを開発/運用している」などの回答もあったが、「アプリケーションを利用している」とした回答の半数にも満たない。
内容の詳細につきましては『2025 クラウドコンピューティングの現状と将来展望 市場編』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3241-3473(窓口:富士経済グループ本社 広報部)

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