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『2023 光通信関連市場総調査』まとまる(2023/11/9発表 第23118号)

光通信関連機器・デバイスの世界市場を調査

2028年世界市場予測(2022年比)
光ファイバー 5,730億円(13.2%増)
FTTxやデータセンターへの投資回復により堅調に拡大
光通信関連機器・デバイス 62兆3,837億円(62.0%増)
データトラフィック量の増加や高速通信ニーズに対応して需要が増加

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋 TEL:03-3241-3490 社長:田中 一志)は、データセンター間接続や通信キャリアの光インフラ構築、欧米におけるFTTxの整備、6G通信基地局の設備投資の伸びなどにより、今後の需要増加が期待される光通信関連機器・デバイスの世界市場を調査した。その結果を「2023 光通信関連市場総調査」にまとめた。
 この調査では、光通信関連機器5品目、光コンポーネント・デバイス(光コンポーネント、光アクティブデバイス、光パッシブデバイス、光ファイバー・光回路デバイス、その他デバイス)36品目、光測定器・関連機器4品目の市場について、現状を調査し、将来を予想するとともに、関連アプリケーションの市場についても捉えた。

注目市場
光ファイバー
2023年見込2022年比2028年予測2022年比
5,040億円99.6%5,730億円113.2%
 2022年は、前半はFTTxやデータセンター向けの順調な設備投資を受けて好調だったが、後半は投資が落ち着いたことから需要は減少した。新型コロナウイルス感染症流行時の通信量増大を受けて、通信キャリアをはじめとした多くのユーザーが在庫確保を進めたことから市場在庫が過剰になっていた面があったものの、輸送費の増加や原材料価格の高騰を受けて製品価格が上昇したことにより、市場は拡大した。
 2023年は、中国でのFTTx向けの減少や、過剰在庫が解消していないことなどから、一時的に市場は縮小するとみられる。2024年以降はFTTxやデータセンターへの投資回復により需要は増加し、市場拡大が続くと予想される。
光トランシーバー
 2023年見込2022年比2028年予測2022年比
ライン側2,530億円106.8%7,220億円3.0倍
100G以上8,665億円96.4%1兆8,830億円2.1倍
10G以上6,889億円81.6%8,025億円95.0%
合計1兆8,084億円91.3%3兆4,075億円172.1%
 ライン側光トランシーバー、100G以上のクライアント側光トランシーバー、10G以上のクライアント側光トランシーバー(10G、25G、50G)を対象とした。データトラフィック量の増加により需要は増えており、2023年の市場は過剰在庫の問題から一時的に縮小するが、2024年以降はライン側と100G以上の順調な伸びにより、拡大が予想される。
 ライン側光トランシーバーは、2022年に半導体不足の影響からユーザーの在庫確保が進んだことから、大きく伸びたが、2023年は前年の反動から、市場の伸びは緩やかになるとみられる。しかし、2024年以降は大容量コンテンツへの対応から幹線系を中心とする帯域の増強が増えるため、堅調な伸びが予想される。容量別では100G/200G製品から400G製品へ需要の中心がシフトしており、特に400G QSFP-DD ZRのような小型タイプが伸びている。また、600G/800G製品は2025年頃から市場が本格化し、当初はラインカードで発売されるとみられる。
 100G以上は、主にデータセンターで採用されており、市場は北米や中国のクラウドサービスベンダーの投資動向に大きく左右される。2022年は後半にデータセンターの投資抑制の影響を受けたものの、前半は好調だったため、大きく伸びた。2023年は投資回復の遅れや在庫が積み上がっていることから縮小するとみられるが、データセンター向けの投資が回復する2024年以降は市場拡大が予想される。現状は100G製品が中心であるが、400G製品の需要が高まっており、今後さらに伸びるとみられる。長期的には800G製品の需要も増えるとみられる。また、2022年後半よりAIサーバーでの本格採用が開始されており、2023年は大幅な増加が期待される。
 10G以上は大半がFTTx向けで使用されているが、2023年は中国での需要減少により、市場は低迷するとみられる。25G製品は主にモバイルフロントホール向けを中心に採用されているが、5G通信の市場が振るわないため苦戦している。50G製品は主にモバイルミッドホールやモバイルバックホールでの採用を目的として開発されているが、現時点では限定的な需要にとどまる。
調査結果の概要
光通信関連機器・デバイスの世界市場
 2023年見込2022年比2028年予測2022年比
光通信関連機器33兆7,730億円113.3%47兆7,970億円160.3%
光コンポーネント・デバイス8兆6,962億円101.3%14兆4,783億円168.7%
光測定器・関連機器1,083億円98.0%1,084億円98.1%
合計42兆5,775億円110.6%62兆3,837億円162.0%
 クラウドサービスの普及によるデータトラフィック量の増加に対応するため市場は拡大を続けていたが、2023年はFTTxやデータセンターへの投資が落ち込んでいることから、伸びは鈍化するとみられる。しかし、中長期的にはデータセンターへの投資回復、6G通信の基地局投資の活発化などに伴う投資増加が期待されるとともに、高速対応製品の比率上昇が伸びを後押しすることなどから、2028年の市場は60兆円を突破すると予想される。
 光通信関連機器は、光伝送装置、ルーター、L2・L3スイッチ、PONシステム、サーバーを対象とする。特にサーバーの規模が大きい。現在、一時的にデータセンター向けが落ち込んでいるものの、2024年以降の投資回復、また、高価格なAIサーバーの需要増加により、引き続き市場をけん引するとみられる。光伝送装置はデータセンター相互接続向け、L2・L3スイッチはデータセンター内通信向けが増えており、継続的な伸びが予想される。PONシステムは、2023年は中国を中心に需要が落ち込んでいるが、欧米を中心にG-PONの導入、10G-PONへの移行需要は大きく、2024年以降は中国市場の回復とともに堅調な推移が期待される。
 光コンポーネントは、出荷数量の増加に加え、高速化に対応するため各光トランシーバーなどの製品単価が上昇していることで市場が拡大している。データセンターでの通信高速化を背景に100G以上のクライアント側光トランシーバーが、100G未満からの置き換えを受け伸びるとみられる。また、2022年頃から800Gのクライアント側光トランシーバーやAOC(アクティブ光ケーブル)の本格採用も始まっている。
 光アクティブデバイスは、2023年は規模の大きいLDチップ(DML・EML)が過剰在庫などを要因に落ち込んでいるが、データセンター向けの回復などにより2024年は伸びに転ずるとみられる。また、光トランシーバーの多レーン化、高速LDの採用増加が中長期的な伸びの追い風になる。HB-CDMやCOSA・IC-TROSAは次世代のライン側光トランシーバーに搭載されるため、データセンター相互接続で使用される400G ZRなどを中心に伸びが期待される。
 光パッシブデバイスは、ライン側で用いられるWSSモジュールが好調である。レンズ関連は、2023年はボールレンズや非球面レンズは苦戦しているが、プラスチックレンズはAIサーバーでの需要が増えている。中長期的には、シリコンレンズの採用拡大やSiPhやCo-Packaged Optics(CPO)採用の影響がポイントとなる。
 光ファイバー・光回路デバイスでは、規模の大きい光ケーブルはデータセンター向けが伸び悩んでいるため、本格的な需要回復は2024年以降と予想される。光ファイバーは、2023年は中国のFTTx需要の減少や、データセンター向けの投資減により縮小するとみられるが、2024年以降は投資回復により堅調な伸びが期待される。POFは、通信や装飾・照明、センサーなどで採用されており、需要増加が続いている。光コネクターはデータセンターなどインフラ投資の回復により、2024年以降は順調に伸びるとみられる。
 その他のデバイスには、仮想化技術や生成AIなどでの採用がけん引して好調な品目がみられる。デジタルコヒーレントDSPは400G ZRなどの小型製品への搭載開始や、800G LRなどクライアント側光トランシーバーへの採用開始により需要が増えるとみられる。PAM用ICは800Gなど、高速光トランシーバーやAOCなどでの採用増加により伸びている。イーサネットスイッチチップは、サーバーとつなぐ下部階層のスイッチ機器の増加により、スマートNICは増大するCPUへの負荷を低減するためのオフロード処理ニーズが高まっているため、堅調な伸びが期待される。
 光測定器・関連機器は光デバイスやコンポーネントの市場と連動している。光スペクトラムアナライザー、オシロスコープ、BERTは主に光トランシーバーの製造ライン検査やR&Dに用いられるため、光トランシーバーの生産動向や高速光トランシーバーの開発状況などの影響を受け、2023年の市場は縮小が予想される。2024年以降は横ばいで推移するとみられる。
内容の詳細につきましては『2023 光通信関連市場総調査』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3241-3473(窓口:富士経済グループ本社 広報部)

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