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『2020年版 高機能コーティングの現状と将来展望』まとまる(2019/12/9発表 第19107号)

機能を付与するコート剤の世界市場を調査

2023年市場予測(2018年比)
ウェアラブル用導電性材料(衣類型向け) 19億円(23.8倍)
16年に立ち上がり、19年はサンプル出荷や性能調査が中心、21年以降に市場本格化
光触媒コート剤 40億円(33.3%増)
内装材で使用可能な製品の登場で18年以降急拡大、ISO規格も決まり海外需要にも期待

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、成膜、表面処理を施すことで機能を付与し、さまざまな分野で材料の高機能化に貢献するコート剤の世界市場を調査した。その結果を「2020年版 高機能コーティングの現状と将来展望」にまとめた。
 この調査では、コート剤とそれにより高機能化された応用製品の市場規模、用途別の需要動向、ニーズ・課題などを分析した。なお、コート剤21品目、応用製品7品目の世界市場と共に、耐油紙用コート剤や耐水紙など、近年注目される紙・脱プラ関連品目を加えたコート剤24品目、応用製品13品目の国内市場も併せて調査した。

注目の応用製品市場
ウェアラブル用導電性材料(衣類型向け)
2020年版 高機能コーティングの現状と将来展望:ウェアラブル用導電性材料(衣類型向け)世界市場グラフ
 銀めっきコーティングや導電性ポリマーを混合・含浸した導電性繊維、導電性ペーストをフィルム上に成形した導電性シートなど、衣類型のウェアラブルデバイスに使用される導電性材料を対象とした。
 市場は2016年に立ち上がり、2019年はサンプル出荷、性能評価を中心に行われている。衣類型のウェアラブルデバイスは、競走馬・牛の健康管理を目的とした製品が展開されており、人が着用する製品については実証実験段階である。使用するたびに洗濯することになるため、導電性材料としては耐久性向上が求められている。
 なお、心拍や心電図の計測などが可能であるが、測定結果がきちんと取得できるかどうかは個体差によるところが大きく、製品化前に多数のサンプルによる評価を行わなくてはいけないことや、測定したデータをサービスとしてどのように展開していくか決めなければいけないなどハードルが高く、導電性材料の市場本格化は2021年以降とみられる。
注目のコート剤市場
光触媒コート剤
2018年2023年予測2018年比
30億円40億円133.3%
 酸化チタンの有する光活性を利用した光触媒コート剤を対象とした。
 セルフクリーニング機能による防汚を目的に建築物のタイルやガラスに使用されており、市場は拡大している。また、近年では可視光に反応することで窒素酸化物やホルムアルデヒドなどの除去や汚れ分解、抗菌・防カビなどの機能を付与するコート剤の採用が壁や天井など内装材で増加しており、2018年以降伸びている。
 市場は日本の需要が大半であるが、2018年3月に国際標準化機構(ISO)より光触媒の性能試験方法に関する国際規格が発行されたことから、今後海外市場の立ち上がりが期待されている。
非シリコーン系離型剤
2018年2023年予測2018年比
240億円286億円119.2%
 フィルム用離型剤のうち、非シリコーン系離型剤を対象とした。シリコーンが付着することで誤作動が起こる可能性があるためシリコーンフリーニーズの高い半導体・実装分野や、シリコーン系粘着剤を使用するフィルムの離型フィルムに採用されている。
 シリコーン離型剤と比較すると離型性で劣ることが課題だったが、研究開発により向上しており、用途拡大や新規用途の獲得が期待されている。現在、フレキシブルOLEDでシリコーンOCAの開発が進んでおり、この離型フィルムにはフッ素系の非シリコーン系離型剤が採用されるとみられ、今後の市場拡大が予想される。
自己修復性コート剤
2018年2023年予測2018年比
27億円32億円118.5%
 塗膜の弾性効果によって衝撃や傷を回復させるコート剤を対象とした。光学フィルムをメインに、モバイル機器(スマートフォン、ノートPC)や建材、自動車でも採用されている。
 光学フィルムやモバイル機器での需要は落ち着きつつあるものの、建材での化粧フィルム、自動車でのボディ用塗料や内外装部品のフィルム需要は好調である。特に自動車は競合するハードコート剤と比較し、クラックが生じない点や加工性の高さから複雑な形状に対応できるため、自動車の軽量化を目的とする樹脂化の進展や樹脂化による意匠性の高いデザインの採用が進むことで需要の伸びが期待される。
電磁波シールドコート剤
2018年2023年予測2018年比
45億円49億円108.9%
 電磁波を反射し、内部への干渉を防止するコート剤を対象とした。プロジェクターなどのエレクトロニクス製品筐体の電磁波シールド材料として使用される。
 電磁波干渉による誤作動防止のため、各種エレクトロニクス製品の開発の際に使用されるケースが多いが、回路などの設計レベルで対応できない際に応急的に使用される側面も強く、継続的に採用されるケースは少ない。そのため、新規採用は多いものの途中で採用中止となることも多く、市場は横ばいが続いてきた。
 近年、RFIDをはじめとするIoT化や、ADASや5G化など高周波通信の電磁波ノイズ対策としてニーズが高まっており、今後の採用増加による市場の拡大が期待される。
調査結果の概要
コート剤の世界市場
2018年2023年予測2018年比
5,276億円6,027億円114.2%
 コート剤21品目の世界市場は2018年5,276億円となった。フレキシブルディスプレイの販売増加、ADASの普及による自動車関連の電装品の搭載増加と放熱・電磁波対策ニーズの増加により拡大し、2023年には6,027億円が予測される。
 品目別では、OLEDで需要が増加しているポリイミドワニス、認知度向上により内装材で需要が増加している光触媒コート剤、ディスプレイや積層セラミックコンデンサーで需要が増加しているシリコーン系離型剤などの伸びが期待される。
応用製品の世界市場
2018年2023年予測2018年比
5,411億円6,213億円114.8%
 コート剤を使用した応用製品7品目の世界市場は2018年5,411億円となった。ディスプレイや半導体・実装関連で採用される品目を中心に好調であり、2023年には6,213億円が予測される。
 品目別では、ウェアラブル用導電性材料(衣類型向け)の伸びが期待されるほか、高硬度ハードコートシートもワイヤレス充電や5G通信の普及による筐体の樹脂化が進行することで拡大が予想される。
内容の詳細につきましては『2020年版 高機能コーティングの現状と将来展望』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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