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『2016 ディスプレイ関連市場の現状と将来展望(下巻)』まとまる(2016/12/14発表 第16102号)

OLEDやLCDなどディスプレイの部品・材料市場を調査

2021年のOLED関連部材市場は2015年比2.8倍の2,607億円…スマートフォン向けに加えTV向けが本格化

 マーケティング&コンサルテーションの富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、ディスプレイデバイスの市場調査に続き、今回は関連部品・材料の世界市場を調査した。その結果を報告書「2016 ディスプレイ関連市場の現状と将来展望(下巻)」にまとめた。
 この報告書では、OLED関連部材8品目、LCD関連部材19品目、OLED/LCD共通関連部材8品目、タッチパネル関連部材10品目の市場の現状と今後の動向をまとめた。

調査結果の概要
ディスプレイ関連部材の世界市場
 2016年見込15年比2021年予測15年比
OLED関連1,071億円116.2%2,607億円2.8倍
LCD関連3兆5,928億円84.8%3兆3,802億円79.8%
OLED/LCD共通関連2兆5,025億円84.3%2兆5,338億円85.4%
注:部品およびその構成材料も積算しため、ダブルカウントがある
 OLED関連部材8品目の市場は、2015年に前年比44.7%増の922億円となった。Samsung El.のほか、中国スマートフォンメーカーにもAMOLEDの採用が広がったため、部材需要が増加した。2016年はスマートフォン向けが引き続きけん引し前年比16.2%増が見込まれ、2017年以降はTV向けも本格化し、2021年には2015年比2.8倍の2,607億円が予測される。
 市場構成比が最も高い低分子発光材料は、将来的には使用効率の改善(パネル面積当たりの需要量の減少)により伸びが鈍化していくとみられる。塗布での膜形成に対応できる高分子発光材料は、2018年から市場が立ち上がると予想される。
 LCD関連部材19品目の市場は、2015年に前年比10.1%増の4兆2,367億円となった。TV用パネルやスマートフォン用パネルで台頭する中国パネルメーカー向けが市場拡大をけん引した。また、スマートフォン用バックライトの薄型化や高輝度化、また、TVやスマートフォン用ディスプレイの広色域化に寄与する高付加価値部材の需要が拡大した。しかし、以降はTFTパネル出荷面積の拡大ペースが鈍化し、2021年には2015年比20.2%減の3兆3,802億円が予測される。
 TV用バックライトユニットは、一部のハイエンド機種を除いて薄型に優れるエッジ型から、より低価格な直下型へシフトしていくとみられ、2015年から2021年の年平均成長率はマイナスが予想される。一方、量子ドットコンポーネントは、Samsung El.がLCD-TVに採用したことにより、2015年に市場が急拡大した。中国メーカーも続いて採用しているため、今後プラス成長が期待される品目である。
 OLED/LCD共通関連部材8品目の市場は、2015年に2兆9,670億円、前年比0.6%減と僅かに縮小した。2016年は為替変動の影響もあり前年比15.7%減が見込まれ、以降、微減・微増を繰り返し、2021年には2015年比14.6%減の2兆5,338億円が予測される。
 ブラックレジスト・ブラックカラムスペーサー以外の品目は、2015年から2021年の年平均成長率がマイナスとなる。ブラックレジスト・ブラックカラムスペーサーは、フォトスペーサーとブラックレジストの機能を兼ね、工程数の削減に寄与するブラックカラムスペーサーの採用が増加し、年平均成長率はプラスとなる。
注目市場
1. フレキシブルOLED用ポリイミド(OLED関連部材)
2016年見込15年比2021年予測15年比
2億円100.0%15億円7.5倍
 ここではフレキシブルOLED製造に使用されるポリイミドのワニスを対象とした。Samsung El.のフラッグシップモデルである「Galaxy S」シリーズ、Appleの「Apple Watch」でフレキシブルOLEDが採用されたことにより、市場が本格化しはじめた。
 2016年は「Galaxy S7 edge」が好調であり、市場はそれに連動している。2017年以降はAppleの「iPhone」シリーズでフレキシブルOLEDが採用されるとみられる。また、Huaweiなど中国メーカーでもフレキシブルOLEDの採用意欲は高く、Samsung Display、LG Displayの設備増強、日系・中国などのパネルメーカーの新規参入が予想され、市場拡大が続くとみられる。
2. 円偏光板(OLED関連部材)
2016年見込15年比2021年予測15年比
297億円138.8%893億円4.2倍
 OLEDは陰極にアルミ系合金などの金属電極を使用しており、外光を反射しやすい構造を持つ。円偏光板はディスプレイ内に入った外光の反射防止を目的に採用される。
 2015年の市場はSamsung Displayがスマートフォン向けAMOLEDを増産したことで高成長した。2016年はSamsung Displayが引き続きフル稼働生産しているほか、LG DisplayがTV用OLEDを増産していることから、市場は前年比38.8%増の297億円が見込まれる。
 これまでの需要はスマートフォンに依存していたが、今後はOLED-TVの需要が急速に拡大していく。最終製品数はスマートフォンやスマートウォッチが多いが、1製品あたりの面積が小さく市場へのインパクトは小さい。2018年にはOLED-TV向けがスマートフォン向けを逆転し、2020年以降はOLED-TV向けを中心に市場が拡大していくと予想される。
3. 低分子発光材料(OLED関連部材)
2016年見込15年比2021年予測15年比
448億円107.2%911億円2.2倍
 ここではディスプレイ用途の低分子発光材料を対象とした。低分子発光材料は真空蒸着プロセスで成膜される蒸着型と、印刷・塗布プロセスに対応した塗布型に分けられる。現在標準採用されているのは蒸着型であるが、蒸着法ではマスクやチャンバー内に発光材料の大半が付着し材料使用効率が低い。材料使用効率を改善するために、塗布・印刷対応の材料開発を欧米材料メーカーが中心となって進めている。
 2015年の市場は前年比21.2%増の418億円となった。Samsung Displayがスマートフォン用パネルの外販を進めたこと、LG DisplayがTV向け大型パネルの量産を開始したことなどが需要の増加につながった。
 蒸着材料の使用効率は依然として低いものの、パネルメーカーではチャンバー内に付着した蒸着材料のリサイクルを進めている。リサイクルを含めた使用効率は将来的に改善されていくとみられ、市場の伸びは次第に鈍化していくと予想される。
4. 量子ドットコンポーネント(LCD関連部材)
2016年見込15年比2021年予測15年比
217億円91.6%507億円2.1倍
 量子ドット(QD)コンポーネントとしてディスプレイに用いられるQDシート、QDガラス管を対象とした。量子ドットは化合物半導体や酸化物半導体の微粒子であり、粒子径を調整することで照射する光の波長をコントロールできる特徴を有している。ナローピークで色純度の高い発光を得ることが可能であり、広色域LCDを実現するための技術の一つとして実用化されている。
 QDシートは2015年にSamsung El.が色域性能の差別化を図り、フラッグシップモデルシリーズのLCD-TVで採用を本格化させたことから市場が大幅に拡大した。2016年はTCLもQDシート搭載LCD-TVの生産を開始している。
 QDガラス管もLCD-TV用途を中心に市場が拡大している。欧米や日本向けTVでの採用はみられないが、中国TVメーカーが採用を拡大させている。LCD-TV以外ではPCモニター向けの出荷が拡大している。PCモニターはハイエンドモデルでQDガラス管が搭載されており、販売地域は中国である。
 QD技術はITR-U勧告BT.2020で規定される色域のカバー率を100%に近づける技術の一つと位置付けられており、今後もハイエンド超高精細LCD-TV向けを中心とした市場拡大が続くと予想される。
内容の詳細につきましては『2016 ディスプレイ関連市場の現状と将来展望(下巻)』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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