- ■2025年の世界市場予測
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■通信用半導体レーザー 2,814億円 米国のデータセンター向け需要で堅調に拡大
■ファイバーレーザー 1,649億円 CO2レーザーから切り替えが進み、切断・溶接向けで拡大
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、レーザー光源・発振器と、通信、材料加工分野から医療・美容、計測・分析・センシング、自動車分野まで広がるレーザー搭載アプリケーションの世界市場を調査した。
その結果を報告書「2016 高効率レーザー関連市場総調査」にまとめた。
この報告書では、レーザー光源・発振器として半導体レーザー(LD)4品目と非半導体レーザーである気体レーザー4品目、液体レーザー1品目、固体レーザー1品目、次世代・注目レーザー4品目の計14品目、これらが搭載されているアプリケーション9分野30品目について市場動向を分析し、将来展望を明らかにした。
- ■レーザー光源・発振器市場
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| 2015年 | 2025年 | 2015年比 |
| 5,591億円 | 8,631億円 | 154.4% |
※半導体レーザー4品目と非半導体レーザー10品目を対象とする。
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半導体レーザーは中国のFTTx向けと米国のデータセンター向けの需要の伸びを背景に、光通信分野が好調である。光通信分野以外では、従来市場をけん引してきた光ストレージ分野やプリンター向けなどに変わり、プロジェクター、ヘッドアップディスプレイ、ヘッドマウントディスプレイなどのディスプレイ・エンターテインメント分野、TOF方式距離画像センサーなどの計測・分析・センシング分野、ヘッドライトシステム、レーザーレーダーなどの自動車分野向けの拡大が期待され、注目される。
非半導体レーザーは、材料加工分野において、市場をけん引してきたCO2レーザー、YAGレーザーなどの固体レーザーなどから、新興タイプであるファイバーレーザー、ディスクレーザー、DDLなどへのシフトが進んでいる。材料加工分野で最も市場の大きい板金切断向けでは、特に薄板・中厚板加工においてはCO2レーザーからファイバーレーザーへと切り替えが進んでいる。
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■注目の半導体レーザー
| | 2015年 | 2025年 | 2015年比 |
| 通信用半導体レーザー | 949億円 | 2,814億円 | 3.0倍 |
ここでは半導体に電流を流してレーザー発振させる素子のうち、通信用途で使用されるものを対象とした。2014年から2015年にかけて、中国のFTTx向けと、米国のデータセンター向けの需要が急速に伸び、市場は大幅に拡大した。2017年以降、FTTx向けがピークを迎えるが、データセンター向けでデータ伝送の高速・大容量化がさらに進み、今後も市場は拡大するとみられる。
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■注目の非半導体レーザー
| | 2015年 | 2025年 | 2015年比 |
| ファイバーレーザー | 916億円 | 1,649億円 | 180.0倍 |
| エキシマレーザー | 616億円 | 856億円 | 139.0% |
| 極短パルスレーザー | 450億円 | 529億円 | 117.6% |
| CO2レーザー | 814億円 | 549億円 | 67.4% |
増幅媒質に光ファイバーを使用したファイバーレーザーはレーザーにより材質の表面を溶かす、焦がすなどすることでロゴや商品名、シリアル番号や型番などを印字するマーキング向けで市場が立ち上がったが、近年は切断や溶接向け高出力タイプの需要が増加している。CO2レーザーや固体レーザーからの切り替え需要のほか、レーザー以外の方法で行われていた加工でもレーザーが用いられるなど新規需要も発生している。2020年までは高い伸びで市場は拡大していくが、2025年頃にはCO2レーザーからの切り替えが落ち着くため、伸びが鈍化するとみられる。
エキシマレーザーは希ガス、ハロゲン、バッファーの混合ガスを媒質に発振するレーザーである。微細な加工が可能で非熱性であるため、熱に弱い角膜組織に悪影響を与えることがないことから、大部分がレーシック装置向けに採用される。レーシック装置市場は高齢化社会の進展と共に、世界的に需要が増加しており、エキシマレーザーもそれに伴い市場が拡大するとみられる。
極短パルスレーザーは、パルス発振レーザーのうち、ピコ秒のオーダー以下のパルス幅で発振する低温・非熱加工を可能とするレーザーである。近年は微細加工や非熱加工向けの需要が増加しており、市場は拡大している。ミシガン特許が切れたことで市場参入が相次いでいる。 また、計測・分析分野では、フェムト秒レーザーを搭載した多光子顕微鏡向けの需要が増加している。
CO2レーザーは炭酸ガス(CO2、CO)を媒質に発振するレーザーである。近年は切断や溶接、マーキングなど材料加工分野において、よりエネルギー変換効率の良いファイバーレーザーへの切り替えが進んでおり、市場は縮小しているが、厚みのある加工対象の切断などではCO2レーザーの需要がある。
- ■注目のレーザー搭載アプリケーション市場
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■材料加工分野
| | 2015年 | 2025年 | 2015年比 |
| 板金切断 | 9,920台 | 12,200台 | 123.0% |
| 板金溶接・スポット溶接 | 6,460台 | 7,990台 | 123.7% |
板金切断は、レーザーを対象物に照射して溶融させ、アシストガスでその溶融物を吹き飛ばすことによって切断する板金切断装置を対象とする。CO2レーザーが主流だったが、近年、ファイバーレーザー搭載製品の比率が高まっている。ファイバーレーザーの搭載により高反射材料の切断が可能となったことに加え、筐体の小型化により使用シーンが増加したことで、市場は拡大している。2015年、ファイバーレーザー搭載製品の比率は全体の半数を超えた。
板金溶接・スポット溶接は、レーザーを熱源として金属などに照射し、局部的に溶融・凝固させることで接合する溶接機を対象とした。CO2レーザーからディスクレーザー、ファイバーレーザーに切り替えが進んでおり、市場は拡大している。ファイバーレーザー搭載タイプは価格の安さ、メンテナンスの簡易さ、設置面積のコンパクトさといったメリットがあり、筐体が大きいCO2レーザー搭載タイプと比べ、運搬が容易であるため、船の上など工場以外での需要増加が期待される。
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■ヘッドアップディスプレイ【ディスプレイ・エンターテインメント分野】
| 2015年 | 2025年 | 2015年比 |
| 2万台 | 120万台 | 60.0倍 |
ダッシュボードなど内部から投影される光源をフロントガラスやコンバイナーと呼ばれる専用パネルに反射させ、速度などを表示させる装置で標準装備やメーカーオプション品を対象とした。
ヘッドアップディスプレイは採用車種が増加していることから、市場は大幅な拡大が予測される。非通信用半導体レーザーを光源として使用している企業はまだ少ないが、参入各社はレーザー光源の研究開発を進めており、2020年頃からレーザーを光源とした製品が増加するとみられる。
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■多光子顕微鏡【計測・分析・センシング分野】
| 2015年 | 2025年 | 2015年比 |
| 250台 | 270台 | 108.0% |
高い密度の光子の実現と、試料へのダメージを避けるために、超短パルスであるフェムト秒レーザーが励起レーザーとして使用される顕微鏡を対象とする。
多光子顕微鏡は米国政府が脳神経系の研究に力を入れ、多額の予算が付いたことから2013年以降、米国で急激に市場が拡大した。また、中国でも理化学系の研究が盛んなため需要が増加している。
米国での需要は一過性のものとみられ、2016年あたりがピークでその後横ばいから微減が予測される。また新興国では、製品が高価格であるため購入が難しいこともあり、今後大幅な市場の拡大は期待できない。
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■レーシック装置【医療・美容分野】
| 2015年 | 2025年 | 2015年比 |
| 2,050台 | 3,000台 | 146.3% |
極度の近視などの視力回復治療をするための角膜屈折矯正手術(レーシック)装置を対象とした。
レーシック装置の市場は米国を中心に、堅調に拡大している。近年ではインド、中国、韓国の需要が大きくなっている。角膜形状を整えるレーシック手術全てにおいてエキシマレーザーを搭載したレーシック装置による角膜手術が行われている。その他、フェムト秒レーザーが、角膜のフラップを作成するために使われている。
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内容の詳細につきましては『2016 高効率レーザー関連市場総調査』をご覧ください。
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- 富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)