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『2012年 エネルギー&エレクトロニクスマテリアルの将来展望』まとまる(2012/7/27発表 第12069号)

風力発電、太陽電池、HV・EVなど成長著しいエネルギー&エレクトロニクス10分野で注目される
部材/マテリアル21品目の市場を調査

2015年の市場予測と11年比伸び率
炭化ケイ素ウェハ:475億円(11年比365.4%) 11年以降平均成長率38.3%
ネオジム焼結磁石:2,100億円(11年比204.7% 同平均成長率19.6%
太陽電池用ケーブル:6,130億円(11年比191.0%) 同平均成長率17.6%

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町2−5 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、2012年4月から6月にかけて、高成長のエネルギー及びエレクトロニクス(E&E)10分野で使用される部材やマテリアルの市場を分析した。
 その結果を報告書「2012年 エネルギー&エレクトロニクスマテリアルの将来展望」にまとめた。
 調査では、高成長のE&E10分野を選びその市場の現状を整理し、使用量、注目素材動向を明らかにし、さらに使用される注目部材・マテリアル21品目をケーススタディしその詳細をレポートした。

 化石燃料の枯渇や地球温暖化問題を背景に、エネルギーを安定的かつ安全に確保するため、自然エネルギーを中心とした新エネルギーに対するニーズは年々高まり、新たなエネルギー源へシフトせざるを得ない状況となりつつある。
 現在本格化しつつある自然エネルギー市場では、各種蓄電池や電圧変換、直・交流変換など、これまでエレクトロニクス業界が培ってきた技術の応用が重要となってきた。この調査では、新エネルギーがエレクトロニクス技術を応用して実現する実態に注目して「エネルギー&エレクトロニクス分野(E&E分野)」の全体像とその動向を明確にした。採用部材・マテリアル市場はE&E分野の発展に伴い拡大するようになり、これまでエレクトロニクス分野をターゲットとして来た材料メーカーは、この市場を新たな成長市場と位置付けて製品開発を目指している。

調査のまとめ
対象エネルギー&エレクトロニクス10分野の世界市場(15年は予測)
 2011年前年比2015年11年比平均成長率
対象E&E市場13兆1,670億円114.6%26兆3,834億円200.4%19.0%
 この調査では、太陽電池、太陽熱発電、風力発電、リチウムイオン二次電池(LiB)、HV・EV、パワーデバイス、LED、ワイヤレス給電、エネルギー関連分離膜、エネルギー・ハーベスティングの10分野を対象とした。そしてこの分野は15年には11年の2倍の26兆3,800億円超と予測した。この市場を牽引する成長市場は、新エネルギー分野の太陽光発電に加え、風力発電や太陽熱発電などの市場である。また、HV・EVは今後EVの拡大、さらに関連市場としてパワーデバイスやLiBの需要増も予測される。エネルギー・ハーベスティングやワイヤレス給電などは既に一部実績があるが次世代技術に位置づけて15年以降本格的に拡大する次世代市場と推定する。
 11年のこの注目分野の採用材料についてみると、対象E&E分野の材料使用量は、465万5,666トンで(鉄筋コンクリートの数量は除く)その内訳は金属・合金系材料62.0%、セラミックス21.3%、樹脂素材14.3%となった。
 金属および合金類の合計規模は288万6,941トンであった。その内訳は、スチール(鉄系)が約半数を占める。風力発電や太陽電池など構造材として利用される割合が高い。スチールに次いで、特殊鋼やアルミニウム材の数量規模が大きい。スチール、特殊鋼、アルミニウムまでで全体数量の95%を占める。また風力発電、太陽電池、太陽熱発電の3領域で全体の90%の数量規模を占める。金属は構造材としての利用割合が大きい。
 セラミックスの合計規模は99万2,520トンであった。ガラスの使用割合が98.4%を占める。ガラス基板として太陽電池での使用割合が多くなる。風力発電ではブレードの軽量化目的にGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)が主に利用されている。その他ではアルミナや窒化アルミニウム、シリカなどのセラミックスが利用されている。素材が持つ耐熱性や放熱特性、反射防止(表面処理)特性などの機能性材料として利用が大半となる。
 樹脂素材の合計数量規模は66万6,776トンであった。主にエポキシやシリコーンなどの熱硬化系樹脂の割合が約60%を占める。次いで太陽電池用の封止材としてEVAが23.5%と大きい。PETフィルムも同じく太陽電池用として大きなウエイトを占める。LEDやパワーデバイス、HV・EV向けには各種エンプラが利用される。
 そしてこのケーススタディで選んだE&E分野の注目部材(7品目)・マテリアル(14品目)はいずれも高成長が見込まれるが、なかでもパワー半導体用素子として期待されている化合物半導体SiC(炭化ケイ素ウェハ)は11年から4年間の平均成長率が38%と最も大きく15年には475億円市場になると予測する。
 有機系マテリアルとして選んだ変性PPE、PPS、PBT、エポキシの中では変性PPEの成長性が11年から4年間で24.7%と最も高い。太陽電池用ジャンクションボックスではデファクトスタンダードの部材であり、その他HV・EVなど様々な用途でも展開が予測される。  金属系マテリアルでは、各種発電の屋外設備で長期使用することから、耐候性に優れる高耐食性溶融めっき鋼板が国内で11年から5年間平均22%の伸びが予測される注目マテリアルに位置付けられる。
注目される部材とマテリアル
1. 化合物半導体SiC(炭化ケイ素ウェハ)
11年130億円(前年比130.0%)15年予測475億円(11年比365.4%)年平均成長率38.3%

 現在、各種半導体デバイスは、Si素子ウェハが大半を占めている。しかし、新エネルギー分野(太陽電池や風力発電など)、HV・EVの普及に伴い、パワー半導体は、性能の限界や電力損失などが課題になり、シリコンを超えるものとして、化合物半導体(炭化ケイ素や窒化ガリウム)が注目を集めつつある。この化合物半導体(炭化ケイ素ウェハ)を対象とする。炭化ケイ素の特徴は、シリコンよりも電力損失が少なく高温で安定作動するため冷却構造がいらず小型化に寄与する。さらに高速スイッチングが可能でHV・EVなどに応用でき年々注目が高まりつつある。
 この市場は、現在LEDを中心に市場が拡大している。一方で、パワーデバイスとしても発展途上であるが、IGBT(電力制御用半導体素子)など向けでは大口径化と低価格化の進展が必要である。
 トップメーカーはCree社(米国)で、シェア90%以上を占めている。今後大口径化と低価格化が進むに連れて、量産化するメーカーが増えると見られ、国内で初めて新日本製鐵が6インチ大口径化ウェハの開発に成功し、量産化を目指す。SiC市場は、すでにLEDで実用化が進んでおり、市場が拡大している。LED向け市場も今後さらに拡大が見込まれ、この製品の成長要因となっている。この製品の本命はパワーデバイスであり、参入各社は大口径化ウェハの開発に力を注いでおり新エネルギーやHV・EV分野では、今後この製品にシフトして大きく市場が拡大する可能性が高い。
2. LEDリフレクタ(樹脂)
11年189億円(前年比119.6%)15年予測343億円(同181.5%)年平均成長率16.1%

 LEDパッケージ材料に使用されるリフレクタ用樹脂を対象とする。需要の大半が5種類の樹脂(ポリアミド、液晶ポリマー、シリコン、エポキシ、PCT)で中でもポリアミドが大半である。需要はLED市場の拡大に比例している。製品の世界規模は、11年には1万6,400トン、189億円であった。10年にTV用白色LEDで採用され前年比219.4%と市場が大きく拡大した。11年の世界トップメーカーはSolvay Speciality Polymers(米国)で約50%のシェアを持っている。リフレクタ用樹脂は、採用樹脂の増加に伴う参入メーカーの増加により、従来のポリアミドの採用率が低下している。樹脂間や、樹脂とセラミック間での競合はあるが、今後もLED市場の拡大に伴い、この需要も拡大すると予測される。
内容の詳細につきましては『2012年 エネルギー&エレクトロニクスマテリアルの将来展望』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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