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『2011年 微粉体市場の現状と将来展望』まとまる(2011/6/14発表 第11053号)
セラミックス、金属、金属酸化物など微粉体市場の調査を実施
- ■2014年予測
- ■銀粉:3,900トン 3,294億円(2010年比196%)
■フッ素樹脂(ETFE):2,000トン 136億円(2010年比203%)
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 田中 一志03-3664-5839)は、新素材や複合材料の開発におけるキーマテリアルとして位置付けられている微粉体の市場を調査分析した。その結果を報告書「2011年 微粉体市場の現状と将来展望」にまとめた。
この報告書では、無機系材料、有機系材料の微粒子・パウダー52品目を素材分野別にセラミックス、金属酸化物、金属、プラスチック、ナノマテリアル、汎用無機材料の6分野に分類し、その市場動向を調査分析した。微粉体の粒径サイズは、ミクロン、サブミクロン、ナノサイズを主な対象とした。
- ■注目微粉体市場
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品目 2010年 2014年予測 伸長率 銀粉 数量 2,700トン 3,900トン 144.4% 金額 1,680億円 3,294億円 196.1% アルミナ 数量 32万3,400トン 36万8,000トン 113.8% 金額 298億円 341億円 114.4% フッ素樹脂(ETFE) 数量 1,000トン 2,000トン 200.0% 金額 67億円 136億円 203.0% -
■銀粉
導電性能に優れていることから、導電性ペースト材料として使用され、PDPや太陽電池の電極材料用途を中心に需要が増加している。また、ナノ微粒子化が進んだことにより、焼結温度低下による用途拡大(紙やPET素材への印刷など)が進展しており、将来的には印刷技術による配線形成材料としても採用が進む可能性がある。粒子の形状にはフレーク状と球状があり、前者は主にダイボンド材として、後者はPDPや太陽電池の電極材料向けで採用されている。
実装関連、電極向け(プリント基板/部品、リードフレーム)に用途が限定されていたが、銀ペーストがPDP電極材料に採用されたことから市場が拡大してきた。近年は、FPD市場において競合製品であるLCDが優勢となっていることもあり、PDP電極材料向けの伸び率は鈍化している。しかし、太陽電池市場の拡大により、シリコン太陽電池の電極材料向けの需要が急速に伸びているため、銀粉の需要は拡大している。2011年は、震災の影響を受け、プラス成長は維持するものの伸び率は鈍化するとみられる。主な需要エリアが海外であるため(日本は10%強)、需要が急減することはないが、夏場に関東地方の工場で電力不足が懸念され、生産に影響を与えるとみられる。
タッチパネルの電極材料やLEDボンディング材用途に関しても、技術的には既に使用可能なレベルにある。現在は急増する太陽電池向けに優先的に対応しているが、タッチパネルやLED向けの開拓も徐々に進むとみられる。銀地金単価の高騰が問題で、この状況が続いた場合ユーザーが使用量を削減したり、代替品(銅粉に銀コーティングなど)を使用したりする懸念もある。 -
■アルミナ
アルミナは、酸化アルミニウムの通称であり、ボーキサイトを原料として作られるアルミニウムに製錬される前段階の中間生産物である。アルミナは、耐熱性、絶縁性、耐摩耗性、耐食性等の優れた物理的、化学的特性を有することから、各種用途に幅広く使用されている。構成成分や性質により、汎用アルミナ、低ソーダアルミナ、易焼結アルミナ、活性アルミナ、高純度アルミナなどに分類される。このうち、高純度アルミナは純度が99.99%以上のアルミナである。高純度アルミナは、LED基板材料やリチウムイオン電池(LiB)セパレーターなど、今後の有望用途での採用検討が進められている。
アルミナは、耐火物をはじめ、エレクトロニクス、自動車、エンジニアリングなど広範な用途分野で使用されている。2009年は、世界的な景気低迷から、内需、輸出分共に大きく需要が減少した。2010年は前年の減少の反動もあり、ピーク時の水準とほぼ同等レベルにまで回復している。市場の約半分は安価な汎用アルミナが占めている。今後は、高純度アルミナを適用したLED用サファイア基板やLiBセパレーター用途での本格的な用途形成が期待される。これらの有望用途での本格的な需要形成は2013年頃からと予測される。LED用サファイア基板用途は、本格的な需要開拓が確立されれば、相応のボリュームが見込めるため、国内大手各社も注力度を高めている。一方で、高純度アルミナの新たな用途開拓には、価格高がネックとなることも予想され、コスト低減がポイントの一つとなる。 -
■フッ素樹脂(ETFE:テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体)
ETFEパウダーは、表面を硬くできるという特長を有する。また、耐食性に優れ、腐食性を持つ物質に侵されないことから、金属イオンの流出を防止する必要性のある製品に使用されている。ETFEパウダーの主要用途は、ライニングやコーティングである。ライニングは主にタンクや配管、バルブ、ポンプ、タンクローリー等の回転成形に使用される。コーティングは静電粉体塗装が行われており、半導体プロセス装置や液晶製造装置の排気ガスダクトの内面をコーティングしている。近年、レアメタルなどの鉱物資源を取り出す際に強酸や強アルカリを使用する配管やタンクなどで、耐食性に優れるETFE製品の需要が拡大している。
レアメタル等の鉱物資源を取り出すために強酸や強アルカリなどを使用するが、近年、中国等で規制が強化され、安全に鉱物資源を取り出すために配管やタンク等に耐食性のある当該品を用いたライニング需要が拡大している。
海外では、半導体プロセス装置のエッチング排ガスダクトは難燃パイプが利用されてきたが、近年は腐食防止・防火を目的にETFEパウダーのコーティング需要が増加している。日本の需要は横這いとみられるが、中国、韓国、台湾、東南アジアの需要は拡大していくとみられる。日系メーカーは鹿島や千葉に工場があり、震災の影響を受け、工場の稼働が止まっているメーカーもある。8月頃までは需給は逼迫するとみられている。
内容の詳細につきましては『2011年 微粉体市場の現状と将来展望』をご覧ください。
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- 富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)