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『2013年 自動車用ケミカル材料の現状と将来展望』まとまる(2013/7/10発表 第13053号)

自動車用ケミカル材料の世界市場を調査

2016年世界市場予測
自動車用ケミカル材料の世界市場:5兆5,043億円(12−16年平均成長率4.3%)
サスティナブル需要を背景に高付加価値材料が成長
ポリフェニレンサルファイド(PPS):604億円(12−16年平均成長率6.8%)
HV・EVの出荷拡大により需要は増大
溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR):3,750億円(12−16年平均成長率8.3%)
低燃費タイヤの普及により市場拡大

 マーケティング&コンサルテーションの(株)富士キメラ総研(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 田中一志03-3664-5839)は、13年4月から5月にかけて、自動車用ケミカル材料市場の動向に注目し、各材料の市場分析とともに研究開発の動向を整理し、市場の方向性を明確化し、その結果を報告書「2013年 自動車用ケミカル材料の現状と将来展望」にまとめた。
 この報告書では、自動車用途の汎用樹脂6品目、エンプラ13品目、熱硬化性樹脂4品目、熱可塑性エラストマー4品目、合成ゴム7品目、その他4品目を対象とし、加えて自動車部品11品目を調査した。

 自動車は、従来の内燃機関車に、HV、PHV、EV、燃料電池車が加わり、多様化している。その背景には、CO2排出量削減、低燃費化、排気ガス規制等への対応強化、部品・材料の低環境負荷(リサイクルの推進、バイオマスプラスチックの利用拡大等)を求めるニーズがある。
 現在、環境配慮において「サスティナブル(持続可能な)」というキーワードが象徴的に用いられており、自動車が次世代に向けて持続・発展する上でも、ケミカル・高分子材料が、生産、使用、廃棄のライフサイクルを通じて、CO2排出削減、省資源化、リサイクル等の要件に配慮して開発されることが重要である。
 そこで、自動車のCO2排出削減対策、軽量化、HV/EV化などを背景に、重要度を増している樹脂およびエラストマー等を取り上げ、市場規模を把握し、各材料の現状と今後の方向性を整理した。加えて、その他材料、注目部材や製品類を取り上げ、自動車を取り巻くケミカル材料を広く捉えた。

調査結果の概要
自動車用ケミカル材料の世界市場
分野2012年2016年予測12−16年
平均成長率
汎用樹脂1兆4,174億円1兆6,098億円3.2%
エンプラ1兆4,181億円1兆7,995億円6.1%
熱硬化性樹脂8,181億円9,288億円3.2%
熱可塑性エラストマー1,591億円1,790億円3.0%
合成ゴム8,396億円9,872億円4.1%
合計4兆6,522億円5兆5,043億円4.3%
億円単位で四捨五入しているため、合計が一致しない年がある
 自動車の生産台数は2009年に前年のリーマンショックの影響により落ち込んだものの、それ以降は順調に増加しており、自動車用ケミカル材料に関しても堅調に市場は拡大している。2012年は各分野ともに金額ベースで前年比3%〜6の伸びとなっており、市場全体で1,258万トン(前年比6.0%増)、4兆6,522億円(同4.6%増)となった。自動車の生産台数増に加え、車体軽量化やリサイクル、EV/HV/PHVなどの次世代自動車向けといった「サスティナブル」をキーワードとした需要への対応により、付加価値の高い樹脂、エラストマー、ゴムの市場が拡大した。
 汎用樹脂分野は、2012年に663万トン(前年比5.4%増)、1兆4,174億円(同4.6%増)の実績となった。PPは成形加工性、軽量、コスト面でのバランスに優れ、内装ではインパネ、ドアトリムパネル、外装ではバンパーに使用されており、自動車用ケミカル材料の中で市場が最も大きい。また、PEは燃料タンクに採用され、軽量化と共に燃費向上に貢献している。他に、コンソールボックス等の内装品に多く使われるABS、ワイヤーハーネスや内装表皮材などで採用されているPVCが市場の中心である。
 エンプラ分野は、2012年に245万トン(前年比5.6%増)、1兆4,181億円(同3.3%増)の実績となった。品目別では、PA(PA6/PA66/PA11・12を対象とする)の販売量が最も多く、内燃機関の燃焼室に空気を送り込むインテークマニホールドに使用されるなど、耐熱性と軽量化ニーズに応える材料として金属からの代替が進んでいる。他には、ヘッドランプレンズに多く使用され、レンズの大面積化により需要が拡大しているPC、摺動性に優れギア・カム類などに採用されているPOM、コネクターやハウジングなど幅広く使われるPBTなどの需要が高い。
 熱硬化性樹脂分野は、2012年に161万トン(前年比4.5%増)、8,181億円(同5.7%増)となった。PURは耐久性やクッション性能から大部分の車種でクッションシートとして採用され、PFは長期使用が可能な高い耐久性が認められて機構部品に多く使われている。UPはヘッドランプリフレクターなどで幅広く採用されている。EPは現状では塗料用が大半であるが、今後は軽量化ニーズを受けてCFRP(炭素繊維強化プラスチック)用の需要拡大が期待される。
 熱可塑性エラストマー分野は、2012年に26万トン(前年比8.3%増)、1,591億円(同5.4%増)の実績となった。外装品に多く採用されているTPV・非架橋TPOの比率が7割以上となっている。TPVは軽量化、リサイクル性、生産性向上等からEPDMなどの加硫ゴム代替で採用が拡大している。
 合成ゴム分野は、2012年に163万トン(前年比9.3%増)、8,396億円(同6.0%増)の実績となった。低燃費タイヤ向けに需要が急拡大しているS-SBRが市場伸長分の大半を占め、その他の品目は横ばいから微増となっている。
 また、上記の市場には含まれていないが、その他材料としてCNTや炭素繊維の需要拡大が期待される。CNTは燃料チューブやバンパー、炭素繊維は軽量化を目的にシャーシなど大型部材へ採用が拡がると考えられる。
注目品目
ポリフェニレンサルファイド(PPS)
 2012年2016年予測12−16年
平均成長率
世界市場465億円604億円6.8%
 PPSは、耐熱性、耐ガソリン性、電気的特性の良さを活かして、電装品やエンジン周辺部品として自動車の心臓部分に採用されている。主に欧米系自動車メーカーの高級車を中心に採用が広がり、2012年の市場は前年比19.2%増の465億円となった。今後はHV、EVへの適用も進み、採用部位も拡大してさらなる市場拡大が予測される。
 用途動向としては、近年は電装化の進展から電装品のウェイトが高い。また、耐薬品性や高強度を活かして冷却系部品や燃料系部品にメイン材料として使用されている。軽量化を目的に、アルミなどの金属代替として需要が拡大しており、アルミダイキャストなどの金属代替、PBTや汎用エンプラ等の他樹脂代替が進んでいる。
 また、HVでは耐熱性の面からインシュレーターやコンバーターなどエンジン周り部品で採用されている。ガソリン車ではPPSの使用量は1台当り400〜500グラム程度であるが、HVではPPSがモーターインシュレーター用材料のスタンダードとなっており、電動ウォーターポンプの筐体部分に使用されるなど、PPSの使用量はガソリン車の3〜4倍の1,200〜2,000グラム程度となり、需要が増大すると考えられる。
 アルミなどの金属代替、HVでの採用・使用量の増加により、2016年の市場は2012年から年平均6.8%成長し、604億円が予測される。
内容の詳細につきましては『2013年 自動車用ケミカル材料の現状と将来展望』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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