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『2012 SaaS・ICT基盤市場総調査(上巻:SaaS市場編)』まとまる(2012/1/27発表 第12008号)

国内企業向けSaaSサービスの市場を調査

2015年度市場予測
汎用系サービス:10年度比1.5倍 2,299億円 中小製造業を中心に導入広がる
特定系サービス:同2.8倍 660億円 業種間、業務の標準化から利用ニーズ拡大中

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町2−5 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、ネットワーク経由のアプリケーション提供サービスSaaS(Software as a Service)の国内市場の規模推移や占有率、市場概況、環境変化などの調査を実施してこの市場の動向を把握し、今後の市場予測と展望を行った。

 この調査では、企業向けSaaSについて、汎用系SaaSサービスを「業務系」「情報活用系」「Web系」「音声/映像系」の4グループに分けて28品目、特定系SaaSサービスではエネルギー管理や介護施設業務管理など主要特定業務17品目の国内市場を分析した。

 その結果を報告書「2012 SaaS・ICT基盤市場総調査(上巻:SaaS市場編)」にまとめた。

調査結果の概要
市場規模推移
注:四捨五入して億円単位にしているため、合計と一致しない年度がある。
サービス形態2010年度2011年度見込2015年度予測10年度比
汎用系1,547億円1,696億円2,299億円148.6%
特定系239億円304億円660億円276.2%
合計1,786億円2,000億円2,958億円165.6%
 産業の空洞化に加え、国内市場も頭打ちになっている中、日本のICT産業の今後はクラウドコンピューティングによる新規需要の創造と、グローバルビジネス展開の実現がポイントとなる。さらにクラウドコンピューティングがこれまで遅れていた中小企業のICT化を促し、企業間競争力を高める原動力となる。
 11年3月の東日本大震災は、企業及びキャリア/サービスプロバイダ、データセンタ事業者のICTインフラ構築構想に大きな変化をもたらした。物理的な距離による遅延や外部へのデータ配置によるセキュリティ問題などを懸念しICTインフラの外部委託を敬遠していた企業も、データの損失リスクやシステムダウンリスクに対するBCP(事業継続計画)対策として、クラウドに対するニーズが拡大した。
 11年第1四半期は東日本大震災の影響から取引案件の凍結、先送りが見られたが、第2四半期以降はBCP対策、計画停電対策として、SaaSに対する評価が高まり、11年度は10年度の1,786億円から12%伸び2,000億円となり、15年度2,958億円と年平均10%超で堅調に拡大すると予測する。
 汎用系SaaSの一部サービスではコモディティ(日常一般)化も見られ始め、価格競争による利益率低下が懸念されている。こうした商品価値の低下を回避するため、個別SaaSの提供からSaaS間の連携による付加価値向上が積極的に行われており、統合による進化が見られる。
 一方、業種や業務で標準化できる機能を特定の業種・業界向けに提供する特定系SaaSに対するニーズも高まっており、今後SaaS市場は汎用性と特定性という顧客要求の二極化が進んでいく。
カテゴリ別市場動向
サービス形態2010年度2011年度見込2015年度予測10年度比
汎用系1,547億円1,696億円2,299億円148.6%
├ 情報活用分野795億円871億円1,196億円150.4%
├ 業務分野470億円506億円686億円146.0%
├ Web分野144億円164億円215億円149.3%
└ 音声/映像分野138億円155億円201億円145.7%
特定系239億円304億円660億円276.2%
 10年度のSaaSサービスでは先行した情報活用分野が全体の44.5%、汎用系の51.4%を占めたが、主にCRM(顧客管理クラウド コンピューティングモデル)やインターネットFAXが牽引している。周辺開発や他のSaaSとの連携などが活発化しており、今後も市場を牽引していくと予測する。特にCRMは業種を問わず知名度が高まっており、他のSaaSとの機能連携がさらに進み、今後も市場全体を底上げすると予測する。  業務分野は10年度の470億円から15年度686億円(10年度比146.0%)に拡大すると予測する。10年度の時点では購買・調達のSaaSサービスが68%を占めている。購買・調達システムは大企業と取引する流通業、製造業の中堅・中小企業に広く普及している。人事・給与SaaSサービスは、従来給与計算代行などのBPO(外部業務委託)事業者への委託が進んでおり、SaaSに対する抵抗感も少ないと見られ、BPOにおける付加価値サービスとして業務分野での位置づけを高めていくと予測する。  その他、グループウェアやメールなど、高い利用率を誇るアプリケーションがオンプレミス(自社構築型システム)からSaaSへと移行しつつあり、この市場は今後も高い伸びを示す。  Web分野はWebサイトの構築サービスと地図配信サービスが先行して立ち上がった。Webサイト構築サービスは、今ではECサイト構築サービスが80%強を占めている。経済産業省「平成22年度我が国情報経済社会における基盤整備」報告によると国内電子商取引は7兆8千億円にのぼり、リーマンショック以降の景気低迷の環境下でも上昇を続けている。このEC市場に連動して拡大して15年度は103億円(10年度比137%)に拡大すると予測する。  音声・映像分野では、テレビ・Web会議サービスがブロードバンドの普及やデジタルTVの価格低下など周辺環境の変化に加え、テレビ会議システムの低価格化、機能及び操作性の向上が進んだことから社員の異動や出張に伴う時間及びコストの削減を実現できた。Web15年度には年97億円(10年度比210.9%)に拡大すると予測する。
 特定系SaaSサービスは、汎用系SaaS市場に比べて規模はまだ小さい。企業にとっては、業界や業種特有の商慣習やビジネスモデルに適合した機能を自社向けに構築することなく利用できるSaaSのメリットは大きく、企業の業務プロセスに組み込まれれば利用定着率、システムの継続利用率が非常に高くなる。また業界の大手企業が導入すれば、傘下企業、取引先、同業者などへと業界内で横展開できるメリットも挙げられる。  まだ市場規模は小さいものの、SaaSとオンプレミスのメリットを兼ね備えた特定系SaaSが存在感を増していくと予測する。今後期待される市場は、クラウドの実証実験が進む地方自治体、高齢化時代の産業振興策となるヘルスケア分野が挙げられる。
注目SaaSサービス市場
購買・調達サービス(業務分野汎用系)
10年度 320億円 15年度予測 390億円(10年度比121.9%)

 主にEDI(電子情報交換)を提供するサービスである。EDIは商取引に関する情報を標準フォーマット化し、企業間で電子的に交換するシステム。見積もり、受発注、決済などのデータをブロードバンド回線で送受信する。07年に業界標準規格が策定され、11年3月に流通大手15社が共通化を発表して導入が着実に増加している。
内容の詳細につきましては『2012 SaaS・ICT基盤市場総調査(上巻:SaaS市場編)』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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