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『2016 ネットワークセキュリティビジネス調査総覧(上下巻)』まとまる(2017/2/1発表 第17007号)

法人向けセキュリティサービスやセキュリティ製品など国内ネットワークセキュリティビジネス市場を調査

2020年度の市場予測
セキュリティサービスは1,882億円(2015年度比33.0%増)、セキュリティ製品は2,989億円(同22.0%増)

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、サイバー攻撃の増加や相次ぐ情報漏えい事故など、依然として増大する脅威やリスクとともに拡大する国内のネットワークセキュリティビジネス市場を調査した。また、参入するプロバイダーやベンダーの事例分析を行った。その結果を報告書「2016 ネットワークセキュリティビジネス調査総覧(上下巻)」にまとめた。

 この報告書は、上巻・下巻で構成され、上巻の市場編ではセキュリティサービス15品目、セキュリティ製品29品目の市場を分析し、今後の方向性を明らかにした。また、下巻の企業編ではセキュリティソリューションプロバイダー29社、セキュリティツールベンダー25社の事例分析を行い、ソリューショントレンドを明確化した。

調査結果の概要
国内ネットワークセキュリティビジネス市場
国内ネットワークセキュリティビジネス市場:市場規模推移グラフ
 セキュリティサービス市場は、主にマネージドセキュリティサービスが拡大をけん引している。セキュリティ脅威が高度化、複雑化、グローバル化している状況の中でユーザー企業自身がセキュリティ製品を導入し、運用することは困難となっており、高度なノウハウや最新知識を保有するセキュリティベンダーへと運用や監視をアウトソーシングする動きが強まり、マネージドセキュリティサービスの伸長につながっている。その他では、サイバー攻撃が猛威を振るう中で、社内のセキュリティ対策や体制の見直しや、セキュリティインシデントへの対応を迅速化し、被害を最小限にとどめるCSIRT構築支援などのコンサルティングサービス、サイバー攻撃対策としてWebアプリケーション脆弱性検査サービス、メール標的型攻撃訓練サービスなどが伸びている。
 セキュリティ製品市場は、ファイアウォール/UTM関連製品やウイルス対策ツールなど、以前から利用されてきたセキュリティ対策製品が安定的な需要を獲得している。その中でも、標的型攻撃対策として、標的型攻撃対策ツールやWebフィルタリングツール、セキュリティ監視ツールなどが市場拡大をけん引している。一方で、ユーザー企業のクラウドサービス利用拡大や他製品との機能競合によって、需要が減少する製品も出現し始めている。こうした中で、国内ネットワークセキュリティビジネス市場に占めるセキュリティサービス市場の比率は上昇していくとみられる。
 国内ネットワークセキュリティビジネス市場をゲートウェイセキュリティ、メールセキュリティ、Webセキュリティ、IDセキュリティ、コンテンツセキュリティ、端末セキュリティ、制御セキュリティ・その他の7カテゴリーに分けてみると、セキュリティ対策製品として早くから導入されてきたファイアウォール/VPN/UTM関連製品を含むゲートウェイセキュリティが市場の47.3%(2015年度)を占めている。ファイアウォール/VPN/UTM関連製品は更新需要を中心とした安定した需要を得ており、加えて、サイバー攻撃対策としての標的型攻撃対策ツール、DDoS対策サービスおよびツールの需要がゲートウェイセキュリティの伸びをけん引している。成長率が高いのはWebセキュリティである。企業においてWebアプリケーションを利用したサービス、業務アプリケーション、Webサイトなどが増え、それに伴ってWebアプリケーションに対する攻撃も増加しており、Webアプリケーション脆弱性検査サービスやWebアプリケーションファイアウォール、WAF運用管理サービスなどが伸びている。IDセキュリティでは、内部および外部からの不正アクセス対策として、認証を強化する動きが強まっている。多要素認証の利用拡大や、生体情報を活用した強固な認証需要の拡大、特権ID管理強化、シングルサインオンなどの需要が伸びている。制御セキュリティ・その他では、セキュリティインテリジェンス対応としてSIEMの関連サービスおよびツールやセキュリティインシデント発生時の事後対応を強化するCSIRT構築支援、IoTによって新たなセキュリティ脅威が発生したことへの対応策としての産業用制御システム/組み込み型セキュリティ製品などが市場を押し上げている。
 セキュリティ製品市場をソフトウェア、SaaS、アプライアンスといった提供形態別にみると、2015年度はソフトウェアが1,104億円(市場構成比45.0%)、SaaSが151億円(同6.2%)、アプライアンスが1,196億円(同48.8%)であった。2020年度までの年平均成長率は、SaaSが15.8%であるのに対し、ソフトウェアは3.9%、アプライアンスは2.3%と、緩やかな成長が予想される。SaaSは、“イニシャルコストが低い”“導入期間が短い”“運用管理コストが低い”などのメリットから、中堅企業以下まで導入が進んだことが市場拡大に影響を与えた。ただし、ユーザーのネットワークや端末側(オンプレミス)でセキュリティ対策を行う必要がある場合や、大量なトラフィックを高速に処理する場合などでは、“SaaSでは機能が限定される”もしくは“対応自体が難しい”といったデメリットもある。今後はセキュリティ対策の場面、利用条件などによって、ソフトウェアやアプライアンスとのすみ分けが進むとみられる。
注目市場
1. SIEM運用管理サービス
2016年度見込2015年度比2020年度予測2015年度比
9億円150.0%19億円3.2倍
 SIEM(Security Information and Event Management)は統合ログ管理とセキュリティイベント管理を行うセキュリティ対策ツールである。ここではユーザー企業が導入するSIEMを外部ベンダーが運用監視を代行するサービスを対象とした。
 市場は2014年から立ち上がり、現在は黎明期となっている。SIEM市場の拡大に伴い、このサービスにも注目が集まっており、徐々に市場が拡大している。特に、SIEMの導入を検討、または導入している企業で“運用面に人員を割けない”“専門家に運用面を任せたい”などのニーズから利用が進んでいる。ただし、セキュリティポリシーから、SIEMの自社運用を選択する企業もあり、「SIEMの導入=当該サービスの利用」という流れは考えにくく、ユーザー企業の状況に合わせたすみ分けがされるとみられる。
2. メール標的型攻撃訓練サービス
2016年度見込2015年度比2020年度予測2015年度比
10億円142.9%15億円2.1倍
 ここではメール標的型攻撃に対する訓練として、従業員に対し疑似的な攻撃メールを送付し、開封率やアクセスログなどの分析レポートを提供するサービスを対象とした。
 2011年頃から特定企業の従業員を標的に、ウイルスや特定サイトに誘導するメールを送付する「メール標的型攻撃」が相次ぎ、企業における対策の重要性が増してきた。こうした状況下、システム面のセキュリティ対策に加え、従業員のセキュリティ意識を高め、被害を防ぐサービスとして注目され、市場が形成・拡大してきた。
 このサービスを利用していない企業はまだ多いことから潜在需要は大きいとみられ、市場は堅調に拡大していくと予想される。 一方で、各ベンダーは差別化を図っているものの、疑似メールを送信・集計するといった基本機能に関しては多くがパッケージング化して提供しており低価格サービスもみられるため、市場成長率は徐々に鈍化していくと予想される。
3. 標的型攻撃対策ツール
 2016年度見込2015年度比2020年度予測2015年度比
ゲートウェイ型105億円131.3%135億円168.8%
エンドポイント型25億円178.6%38億円2.7倍
 サイバー攻撃の一つである標的型攻撃に対して、マルウェアがダウンロードされた端末の挙動などを検知し、情報の流出や実行をブロックするツールを対象とした。標的型攻撃対策は、攻撃対象となるエンドユーザーのPC保護を目的としたエンドポイント型とゲートウェイ上に仮想のエンドポイント環境(サンドボックス)を用意し、脅威の検出によるシステム全体の保護を行うゲートウェイ型(サンドボックス型)とに大別される。
 特定の企業や団体、施設などを狙った標的型攻撃は、防衛産業や官公庁、大手企業における機密情報の搾取、システム障害を目的に行われ、近年その攻撃は高度化、巧妙化し、攻撃自体も依然として増えており、標的型攻撃対策ツールの需要も大きく増加している。
 これまで標的型攻撃対策ツールは、ネットワークやメールなどのゲートウェイにおける対策としてゲートウェイ型が市場を拡大させてきたが、ゼロデイ攻撃などの脆弱性を狙った攻撃に対し、クライアントなどエンドポイントにおける対策の必要性も高まっており、エンドポイント型を展開するベンダーが増えている。エンドポイント型は、ゲートウェイ対策と合わせたより強固な攻撃対策の提案が強化、推進されており、市場が拡大している。ゲートウェイ型に比べると規模は小さいが、2020年度には2015年度比2.7倍の38億円が予測される。
内容の詳細につきましてはこちらのページ(上巻下巻)をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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