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『業種別ITソリューション市場 2016年版』まとまる(2016/10/27発表 第16086号)

業種固有の業務フローや商慣習などに対応した業種特化型の伸びが注目されるITソリューションの国内市場を調査

2020年度予測(2015年度比)
ITソリューションの国内市場 5兆1,089億円(13.5%増)
農業、学校教育、製造業などの伸びが市場拡大をけん引
学校教育 803億円(49.3%増)
総務省および文部科学省の推進により授業や講義用途などでの導入を中心に伸びる

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、業種特化型と業種共通型の視点を軸にITソリューションの国内市場の調査を行い、その結果を報告書「業種別ITソリューション市場 2016年版」にまとめた。
 少子高齢化に伴う労働力の減少や国内需要の成熟化を背景に、今後大幅な需要拡大が期待しにくい市場環境の中で、売上や利益の向上を目的とした業務の省力化や省人化、あるいはノウハウの共有や継承のためにITソリューションの活用がより重要視され、特に業種固有の業務フローや商慣習などに対応した業種特化型の需要増加が予想される。
 この報告書では、農業、建設業、製造業、運輸業、小売業、金融業、不動産業、宿泊業、外食業、学校教育、医療業・社会福祉/介護事業、地方公共団体の12業種を取り上げ、各業種におけるITソリューション市場の全体動向およびITソリューションのパッケージ、クラウド、スクラッチといったシステム提供形態別市場の動向を分析し、将来を予想した。

調査結果の概要
ITソリューションの国内市場
ITソリューションの国内市場:市場規模推移グラフ
市場はシステム開発を対象とした
 2015年度の市場は製造業や金融業を中心に4兆5,004億円となった。2020年度は2015年度比13.5%増の5兆1,089億円が予測される。また、2015年度に業種特化型の占める割合は63.6%だったが、業種固有の業務フローや商慣習などに対応したITソリューションの需要は今後も増えるため2020年度には65.0%に高まると予想される。
 業種別では、政府がIT活用を推進している農業や学校教育などの大幅な伸びが予想される。農業は就業人口の減少や就業者の高齢化などの課題解決策としてのIT活用、学校教育は総務省や文部科学省の推進によるITの導入が期待される。また、製造業はIoTやビッグデータ、ディープラーニングなどの新技術を生産分野に応用する動きが強まり、生産業務に関わるITソリューションへの投資が伸びるとみられる。また、外食業はタブレット端末の普及を背景にモバイルPOSシステムや予約管理システムの導入が進むと予想される。一方、運輸業や金融業などは低い伸びにとどまるとみられる。
システム提供形態別
システム提供形態別:市場規模推移グラフ
 2015年度はパッケージ型の構成比が最も大きく53.1%を占めた。テンプレートの活用やカスタマイズによって、スクラッチ型より少ない工数でユーザーの業務に最適化なシステム開発が可能であり、メンテナンス性も優れているため、今後はユーザー仕様に合わせた個別開発であるスクラッチ型からの移行需要を獲得し2020年度の構成比は59.1%に高まると予測される。
 特に農業、製造業、不動産業でパッケージ型の増加が予想される。製造業はPLM(製品ライフサイクル管理)/PDM(製品データマネジメント)とMES(製造実行システム)、不動産業は売買仲介システムや買取再販システムなどを中心に利用が進むとみられる。一方、学校教育や宿泊業、医療業・社会福祉/介護事業などは、クラウド型への移行や新規導入が増えるためパッケージ型の構成比は縮小が予想される。
 クラウド型はSaaS(マルチテナント型)、ASP(シングルテナント型)、共同利用型サービスを対象とする。初期投資を抑えながら迅速にシステム構築が可能なことや、導入規模に応じた柔軟な拡張性などの利点がある。また、システムを業務に合わせるのではなく、業務をシステムに合わせることで投資対効果を高めるといった考えが浸透しつつあることもクラウド型の成長要因としてあげられる。クラウド型の構成比は2015年度に13.5%であるが、今後大きく伸びるとみられ2020年度の構成比は16.9%が予測される。
 業種別では農業、外食業、宿泊業の伸びが期待される。これらの業種はITソリューションの導入が遅れていたが、業務改善を目的に最低限のリソースで可能なクラウド型の導入を検討するユーザーが増加している。また、学校教育、建設業、医療業・社会福祉/介護事業は、各業種に特化したクラウド型の充実により、新規導入が増えるとみられる。建設業は工事需要の増加によって中小企業を中心にユーザーの裾野が広がっており、構築時の利便性や手軽さにより基幹系システムの統合工事管理システムなどのクラウド利用が増えている。金融業でも大手メガバンクがパブリッククラウドの利用を開始しており、今後の需要増加が予想される。
 スクラッチ型の構成比は2015年度に33.4%だったが、2020年度には24.0%に低下が予想される。
業種別の注目市場
学校教育
 2016年度見込2020年度予測2015年度比
業種特化型524億円744億円151.5%
業種共通型49億円59億円125.5%
合計573億円803億円149.3%
 学校教育は、園務支援システムおよび校務支援、学務支援システムなどの事務支援システムに、財務/会計や人事/給与、文書管理、グループウェアなどの業種共通型の機能も包括した業種特化型の構成比が高い。
 総務省の「先導的教育システム実証事業」、文部科学省の「先導的な教育体制構築事業」では、ITを活用した学習環境の整備が目標とされており、実証事業に加え補助金などの施策が普及を後押しするとみられる。特にeラーニングシステム、協働学習支援システム、デジタル教材といった授業や講義用途などで導入増加が期待される。
農業
 2016年度見込2020年度予測2015年度比
業種特化型37億円64億円193.9%
業種共通型7億円11億円157.1%
合計44億円75億円187.5%
 農業は、農業従事者の高齢化に伴う後継者不足やクラウドの普及進展、センサーの低価格化による導入ハードルの低下、また組織経営体(農業法人)の増加などの要因により、ITソリューションの導入が増加している。特に農作業負荷の軽減、生産性と品質の向上を目的に、センサーデバイスやクラウドを利用したIoTソリューションの有望分野として注目が高まっている。また、大規模農家に限らず中小農家でも農作物のブランド化指向が強まっており、生産管理システムを中心に中小農家へとユーザーの裾野が拡大している。
 現状はスクラッチ型の構成比が高いが、ユーザーはシステムを保有する人的リソースや投資体力が不十分なため、クラウド型を中心とした市場拡大が予想される。生育状況の管理や環境情報などの収集によって生産性や品質向上を実現する生産管理システムを中心に、迅速かつ簡易にシステムが導入できるクラウド型のラインアップが充実してきており、市場拡大をけん引するとみられる。また、AIを活用した栽培管理の高度化、ロボットを活用した農薬散布の省人化など新たなソリューション領域の検証も進められている。
製造業
 2016年度見込2020年度予測2015年度比
業種特化型1兆207億円1兆2,368億円128.7%
業種共通型1兆1,040億円1兆1,950億円111.9%
合計2兆1,247億円2兆4,318億円119.8%
 2012年度頃から徐々に基幹系システムのリプレースが増えており、リプレースが完了した企業ではより強い生産体制の構築を目的に製造現場関連システムの構築/再構築の取り組みを進めている。特に「スマートファクトリー」の構築に向け、IoTやビッグデータの活用のため生産現場の情報をリアルタイムに把握、見える化するPLM/PDMやMESの導入を進める動きが活発化している。製造現場の情報管理の進展により、ERPなど経営情報と生産情報の一元管理の動きもみられる。また、機械学習を取り入れた産業機械制御製品やサービスの提供など、AIを活用したITソリューションの導入も進むとみられる。
 グローバル拠点の新設に伴い、これまで国内工場で使用していたスクラッチ型をグローバル共通にするためパッケージ型へ移行するといった動きや、拠点単位/事業部単位で管理していた生産データを一元管理するためのシステム構築などの動きも目立っている。
内容の詳細につきましては『業種別ITソリューション市場 2016年版』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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