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『2012年版 エレクトロニクス高分子材料の現状と将来展望』まとまる(2012/5/1発表 第12040号)

半導体、実装・基板、FPD、タッチパネル、エネルギー・電池関連…エレクトロニクス分野における高分子材料の世界市場を調査

主要エレクトロニクス高分子材料 世界市場
2015年予測:6兆7,314億円…高成長分野は「LED」「エネルギー・電池関連」「FPD」

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町2−5 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、エレクトロニクス分野で使用されている主要高分子材料(一部低分子材料含む)の世界市場を調査した。
 その結果を報告書「2012年版 エレクトロニクス高分子材料の現状と将来展望」にまとめた。
 エレクトロニクスの構成部材において、導電性や絶縁性、放熱性など高分子材料の機能性は欠かせないものである。この調査では、半導体分野11品目、実装・基板分野8品目、FPD(フラットパネルディスプレイ)分野13品目、タッチパネル分野5品目、LED(発光ダイオード)分野5品目、エネルギー・電池関連分野15品目の計57品目の高分子材料について、市場の現状を分析し今後を予測した。

調査結果の概要
主要エレクトロニクス高分子材料世界市場
分野2011年2015年予測平均成長率
LED604億円1,059億円15.1%
エネルギー・電池関連1兆3,712億円2兆3,497億円14.4%
FPD2兆2,121億円3兆3,172億円10.7%
タッチパネル1,337億円1,880億円8.9%
実装・基板3,120億円3,648億円4.0%
半導体※13,628億円4,058億円2.8%
合計※24兆4,524億円6兆7,314億円10.9%
※1:インクジェット用PI絶縁インクは除く。
※2:数字を四捨五入して億円単位にしているため、必ずしも合計とは一致しない。
 エレクトロニクス分野における主要高分子材料の世界市場は、2011年に前年比7.1%増となる4兆4,524億円となった。日本では、東日本大震災を受けてユーザー企業が部品材料を確保するために在庫を抱えた反動で、夏以降には需要が急激に落ち込んだ。一方、世界的には、欧州の景気後退を受けて半導体や太陽電池関連で需要が落ち込んだ品目もあったが一部に留まり、有機ELや電子ペーパー、タッチパネル、リチウムイオン電池、燃料電池などに関連した品目を中心に拡大した。
 2015年の市場は6兆7,314億円、2011年から2015年にかけて年率11%程度で拡大していくと予測される。LED照明やLCD(液晶ディスプレイ)バックライト用途が牽引するLED分野、蓄電や創エネ・省エネを目的に急拡大するエネルギー・電池関連分野、新興国におけるLCDテレビの需要増などが後押しするFPD分野において、それぞれ年率10%以上の高成長が予測される。
 なお、高分子材料の採用素材は、アクリルやEVAなどの汎用樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPC(ポリカーボネート)などのエンプラ、無機材料である。
 1) LED分野
 照明やLCDバックライト用途でLED市場が急成長しており、高分子材料市場も連動して推移する見通しである。2011年から2015年にかけて、6分野中最も高い年率15.1%の成長が予測される。
 高分子材料は成形性や軽量性などに優れているが、品目によっては技術的な課題や他素材との競合が存在する。LED電球や直管形LEDランプ(“LED蛍光灯”)の表面を覆うグローブはガラス素材と競合しているが、軽量性や耐衝撃性で優位なPC樹脂素材へのシフトが進んでいる。一方、ヒートシンク(放熱フィン)ではアルミ・アルミ合金素材の採用が圧倒的であり、放熱フィラーと樹脂素材を使用した放熱コンパウンドは少ない。放熱コンパウンドはまだ黎明期にあり、アルミ・アルミ合金素材に比べて成形加工性や軽量性に優れているものの、コストや熱伝導性では劣っている。LEDパッケージの構成材料であるリフレクタでは、ポリアミドなどの樹脂素材とセラミックが一部で競合しているが、高輝度タイプ以外では樹脂素材が採用されている。
 2) エネルギー・電池関連分野
 太陽電池、燃料電池、リチウムイオン電池市場の拡大と連動して、高分子材料市場も高成長が見込まれる。燃料電池用電解質膜、燃料電池用セパレータ、燃料電池用ガス拡散層(GDL)など大半の品目において、2011年から2015年にかけて年率15%以上で成長していくと予測される。
 このうち、太陽電池はFIT(Feed-in Tariff)制度の見直しにより欧州市場が減少しているものの、新興国でもメガソーラーの設置などが計画されており、世界的に需要が増加している。これを受けて、高分子材料市場も拡大してく見通しである。また、リチウムイオン電池はノートPCやスマートフォン用途といった小型電池に加えて、自動車や産業用途といった大型電池の増加が期待される。高分子材料市場も拡大する一方、大型電池においては材料の使用量が多くなるため、ユーザーのコストダウン要求も強まると考えられる。
 3) FPD分野
 FPDは、先進国におけるLCDテレビの需要が一段落した一方、新興国での需要が今後期待されるほか、LEDテレビの展開、スマートフォンやタブレット端末の急成長、有機ELテレビの立ち上がり、電子書籍端末向け電子ペーパーの拡大により、高分子材料市場も拡大が予測される。ただし、材料単価が下落しており、成長率は鈍化していく見通しである。
 LEDテレビやスマートフォンを始めエッジライト方式バックライトユニットの採用が広がっており、導光板の需要が増加していく見通しである。一方、拡散板は直下型バックライトユニットの採用が少なくなっており、縮小していくとみられる。また、有機ELに関連した高分子材料の成長率が高く、有機ELディスプレイに加えて有機EL照明の本格的な立ち上がりが期待される。
内容の詳細につきましては『2012年版 エレクトロニクス高分子材料の現状と将来展望』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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