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『車載電装デバイス&コンポーネンツ Select 2012(上巻)』まとまる(2011/11/4発表 第11104号)

インパネに集中した「情報」「安全」「快適」機能を進化させる自動車用電装システム・デバイスの世界市場を調査

2020年予測
ヘッドアップディスプレイ:189万台、265億円(10年比390%)欧州や北米で搭載の動きが更に強化
タッチパネル(静電容量式):1,378万枚、207億円(11年比103.5倍)スマートフォンから波及
ハプティックデバイス:4,312万個、150億円(10年比50倍)タッチパネルと合わせ需要が高まる
車載カメラモジュール:5,637万個、1,563億円(10年比4.7倍)欧米の搭載義務化で拡大へ

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町2−5 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、進展するカーエレクトロニクス市場をシステムとデバイス視点でとらえた調査を行い、20年までの世界の自動車用電装システムや機器市場と技術動向について分析している。
 今回の調査では、情報系デバイス6品目、情報系機器8品目、快適/安全系デバイス11品目、快適/安全系システム11品目、操作系デバイス6品目の5分野の42品目を対象とした。今回、特にドライバーと乗員に強く関わる「情報」「快適」「安全」分野を取り上げ、そのシステムやデバイスの動向を追い、機能が集約するインパネ(計器盤)や周辺機器の現状と将来予測を行った。
 その結果を報告書「車載電装デバイス&コンポーネンツ Select 2012〈上巻:情報/安全/快適制御デバイス&コンポーネンツ編〉」にまとめた。

注目される市場
ヘッドアップディスプレイ
10年 27万台、68億円 20年予測 189万台、265億円(10年比389.7%)

 フロントガラス、インパネ内、あるいは天井などに取り付けた透明パネルに、速度、エンジン回転数、進行方向、燃料や蓄電量、障害物など画像を表示する装置である。前方視線を大きく移動させることなく、走行に必要な情報を認知出来る利点がある。機能の向上やコスト低減、カーナビゲーションシステムや各種車載センサと連携した情報表示の多様化により、徐々に普及率が高まっている。ドライバーが高齢化する中でメーカーの採用が更に進むと予測する。
 11年の市場見込みは、前年比40.7%増の38万台である。特に欧州メーカーの車両を中心に搭載事例が増加している。欧米では高速道路走行が日常的に行なわれ、ドライバーの視線移動が安全上重大な問題を引き起こしかねない環境がある。15年には世界の販売台数は96万台に達すると予測する。高価格のためミドルクラス以下の車両への本格的な普及にはまだ時間がかかる。
 20年の市場は、10年比7倍、189万台と予測する。15年以降、価格低下や機能向上を背景に、欧州や北米を中心に、普及の動きが更に強まると見られる。その他の地域では、価格をどの程度低減出来るかによって、状況が大きく変化すると予測される。
 日本では、東日本大震災の影響もあり、11年は前年を下回る見込みであるが、トヨタ「プリウス」に低コスト製品が投入されたこともあり、中長期的には市場拡大に向かう。ただ高速走行する必要性が欧米より少なく、運転中のカーナビ操作に抵抗感や危険性を感じるユーザーが多くないこともあり、この利点と必要性を認識するユーザーは少ない。そのため普及が限定的になることも十分に予測される
タッチパネル(静電容量式)
11年見込 10万枚、2億円 20年予測 1,378万枚、207億円(11年比103.5倍)

 ディスプレイに直接入力するデバイスで、LED表示システムと一体化して使用する。静電容量式は、車載用途ではまだ主流ではないが徐々に搭載機運が高まっている。本格採用開始は11年からである。スマートフォンの普及をきっかけに部品メーカーの取り組みが前向きになり開発・改良が続けられている。12-13年には大量導入が開始され、その後コストも大幅に減少し、需要が急増すると予測される。20年には、11年比104倍、207億円になると予測する。
 この方式は、抵抗膜式に比べて軽いタッチ、スクロールがスムーズで直感的な操作感が優れている。ただ、手袋を装着して使用できず課題を残している。
ハプティックデバイス(カーナビ、カーオーディオ他インパネのタッチスイッチ類向け)
10年 22万個、3億円 20年予測 4,312万個、150億円(10年比50倍)

 バーチャルリアリティ(仮想現実)技術で、仮想物体の触覚の反発感を伝えるので、力覚提示デバイスとも呼ばれる。操作デバイスに電気やモーターで推力や反力を持たせて操作方向や感触を制御する。この技術を利用することで、X−by−Wire化時の操作感覚のフィードバックが考えられている。11年時点での搭載車は、トヨタ、ダイムラー、フォードの車両である。GM、クライスラー、現代自動車なども今後搭載すると見られる。20年に向けて、自動車のタッチパネルの静電容量式化と合わせてこの需要が高まると予測される。20年には、150億円、10年比50倍の市場になると予測する。
 スイッチの静電容量式化が本格的に開始されるに当たり、操作時のフィードバック感が失われるとユーザーにとって安心感を損なう恐れがある。そのためフィードバックとしてモ−タやピエゾ結晶体の疑似振動で操作フィーリングを与えて操作感を向上させる。操作が触覚で認識出来るため結果を視認する必要が減り、わき見運転の危険を減少することが出来る。
車載カメラモジュール(車室内をモニタリングする用途以外のカメラ)
10年 886万個、333億円 20年予測 5,637万個、1,563億円(10年比4.7倍)

 車載カメラは、バックモニタなど視覚確保用、先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driver Assistance System)に採用される画像認識用、ナイトビジョンなどの暗視用を対象とする。主に先進国市場を中心に標準装備が増加している。画像認識用カメラの主用途は前方監視であり、日本ではステレオカメラ方式、海外ではモノカメラ方式が主流である。ステレオカメラ方式は、レーダーシステムを用いずに車両停止までの制御が可能であることが最大の特徴とする。モノカメラ方式は安価であり、機能を複合させると費用対効果に優れる。
 11年の市場は前年比122.9%の1,089万個となり、15年は3,978万個(10年比4.5倍)まで拡大すると予測する。北米のバックモニタカメラの搭載義務化と、日本、北米、欧州におけるADASシステムの普及拡大が市場をけん引する。20年は、5,600万個を上回り、10年比6.4倍と予測する。市場は成熟期を迎え、17年以降は一桁成長で推移する。需要は単機能システム向けのカメラが縮小に転じ、画像認識機能システムにシフトすると考えられる。さらに欧米の搭載義務化の動き、サイドミラーのカメラ化などの動向次第では、この予測数値を大きく上回る。
調査結果の概要
 富士キメラ総研では、世界の自動車(乗用車、トラック、バス)生産は15年に1億台、20年には1億1,120万台(10年比143.3%)を予測する。BRICsの需要が10年に比べ73%拡大して市場を牽引する。
情報・快適/安全分野別車載電装品の世界市場推移(メーカー販売価格ベース)
分野2010年2011年見込2020年予測10年比
情報系機器3兆6,990億円3兆7,156億円3兆4,922億円94.4%
情報系デバイス1,617億円1,746億円2,292億円141.7%
快適/安全系システム3兆7,579億円4兆126億円5兆8,363億円155.3%
快適/安全系デバイス2兆2,996億円2兆4,631億円3兆8,518億円167.5%
操作系デバイス121億円115億円553億円457.0%
合計9兆9,303億円10兆3,775億円13兆4,648億円135.6%
注:億円単位で四捨五入しているため必ずしも合計とは一致しない。
 5分野42品目の世界市場の10年の実績が9兆9,303億円、11年は前年比104.5%の10兆3,775億円となる見込みである。20年には10年間で35.6%伸びて、13兆4,648億円になると予測する。
 今回調査の対象には、ドライバーと乗員に係わるシステムとデバイスを取り上げたが、快適性と安全性を追求したシステムのウェイトが高くなっており、今後もこの傾向が更に強くなっていく。また、それらのシステムを快適に操作したり、ドライバーが安全に運転出来るように視線を動かすことなく操作する操作系デバイスの採用が大幅に増加していくと予想される。さらにシステムの増加に加えて、各システムの高機能化やアプリケーションの拡充によりその構成デバイス数が増加し市場拡大の要因となっている。
内容の詳細につきましては『車載電装デバイス&コンポーネンツ Select 2012(上巻)』をご覧ください。
報道関係のお問い合わせは
富士キメラ総研広報担当 Tel. 03-3664-5697(窓口:富士経済グループ広報部)

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